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レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: すみ いちろ
第一章 呪霊解きの世界……。『ウィズ ゴースト レインボー』
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浄霊指令(ミッション)……。




「では、ワシらからの依頼じゃが……」



 会長(じいさん)が、早朝から俺と夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんを叩き起こし、だだっ広い寺の本堂に座布団を敷いて座らせる。


 欠伸(あくび)の止まらない黒音(クロネ)ちゃん。

 まだ半分寝ている夢葉(ユメハ)


 いや、アレになっても寝るのかっ!?


 と、想いつつも危うく二日酔いになりかけた頭を抱えつつ、どうにも寝苦しかった昨日の夜のことを想い出す俺。


 そう。


 あの後、何だかんだで、布団を敷いて三人で寝た。


 いや、寝たと言っても三人「川の字」になって普通に寝ただけである。


 アレな夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんだが、結婚云々の話をしながらも、二人で俺の身体(カラダ)媒介(シェア)して、俺の(タマシイ)との結びつきをナントカカントカって話をしていた。


 要するに、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんと同じように、俺の身体の中に存在したいらしい。


 有り難いことだ。

 ここまで、誰かに切に必要とされたことのなかった俺。


 しかしながら、二人は疲れたのか、いつの間にか俺よりも先に、無防備な姿で寝始めたのである。


 アレなのに。


 予想どおり、アレな夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの「たゆんたゆん」が、俺の目の前に(さら)されることになる。


 眠れるワケが無い。


 と言うワケで、俺は二日酔いよりも夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの「たゆんたゆん」を見続けた睡眠不足のせいで、会長(じいさん)の話を半分も聴けていなかった。



(かつ)っ!!」



 会長(じいさん)の『(かつ)』の声が、だだっ広い寺の本堂にビリビリと震える。

 さしもの黒音(クロネ)ちゃんも夢葉(ユメハ)も、一瞬、目が覚めたように背筋が伸びる。


 俺は、会長(じいさん)の『(かつ)』のせいで、心拍数が上がり目眩(めまい)を起こしそうになる。

 もともと不整脈なんだ。俺は。

 アレを浄化する前に、俺がアレになったら、どうしてくれるんだ?


 

「──ゴホンっ!! もう一度、話すがの……」



 やっぱり、会長(じいさん)は一度、俺、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんに一通りの説明をしていたようだ。


 改めて聴く。

 

 最初の『浄霊指令(ミッション)』について──



「ワシらの棲む山の裏手には高速道路があっての? 高速バスが走っておるのじゃが、前々からネットで「バス停でアレを見た」と言う(うわさ)が広まっておるのじゃ。んで、肝試しに行った連中の中には身体の具合を悪くする者が多くあっての。まあ、当たり前の話なのじゃが……」



 会長(じいさん)の話では、高速道路のバス停の上り方面によくアレが現れるという。


 にしても、会長(じいさん)がネットって。

 

 いや。

 ロープレ好きの会長(じいさん)なら、オンラインで毎日のようにプレイしまくっているに違いない。


 とは言え、アレな存在は、どうも母親と小さな女の子らしい。

 昼間は姿を見せず、日没後に姿を見せると言う。

 

 高速道路のバス停のすぐ下には公衆トイレがあり、共用スペースでもある車椅子用の個室トイレでの目撃例があるようだ。


 それと、バス停の真下にある高架下のトンネルの中では、丑三刻(うしみつどき)になると、少女の泣く声を耳にした者が多数いるという。

 

 

「と言うワケでじゃな。日本(ジャパン)高速道路(ハイウェイ)サービス株式会社から直接、ワシらに依頼があっての。真夜中の高速道路バスストップでの肝試しは危険じゃから、高速道路(ハイウェイ)サービス会社からも強く警告しておるのじゃが、どうもアレな者たちが生きておる者たちを呼び寄せておるような気がするのじゃよ。そこでじゃ。有事となる前に、(カエデ)くん、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんに、調査を頼みたいのじゃ」



 会長(じいさん)の話では『浄霊指令(ミッション)』を、もっとも身近なところから開始(スタート)させ、近隣を守りつつ『レベル』を少しずつ上げていって欲しいとのことなんだが……。

 

 なんで、ロープレなんだ?

 会長(じいさん)趣味(シュミ)だからなのか?


 趣味(シュミ)と言えば、会長(じいさん)は、夢葉(ユメハ)のことを『戦士(ウォリアー)』と言い、仏具を武器として扱えるとも言っていた。

 素手でも闘えるとか?


 ともかく、俺、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんは、夜になるまでの昼間の内に、初めての『浄霊指令(ミッション)』を遂行すべく準備を整える。


 ん?


 夢葉(ユメハ)には、戦士(ウォリアー)としての力。

 黒音(クロネ)ちゃんには、魔導師(ウィザード)としての魔力。


 俺には?



 何も無い……。



 夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの「たゆんたゆん」を堪能しながら、『法力(ほうりき)』でも高めよと言うのか?


 俺は、お経とか、そう言った類のことを一切(いっさい)、知らない。


 不安になり、ガクガクと震える俺の胸の内を他所(ヨソ)に、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんが「たゆたゆ」胸を震わせて目を輝かせている。



「大丈夫だよ? (カエデ)くん。(クロネ)が、いつでも(カエデ)くんの中にいるから。安心して?」



(ユメハ)は、(カエデ)の勇気あるとこ見てみたいなー。ま、そんなにビビんなくても、大丈夫だよ?」



 心強い二人。

 夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんに、後押しされる俺。


 さしずめ、俺たちも『肝試し』的なノリになっているような気もするが、良いのだろうか?


 まずは、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの「たゆんたゆん」な胸を拝ませて欲しい。


 

南無三(なむさん)……」



 俺は、首をかしげる夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの「たゆんたゆん」を前に、手を合わせる……。












 

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― 新着の感想 ―
[一言] もしや横島忠夫みたいに煩悩で霊力増大か(ォィ さぁ、一祓い行こうぜ!
[良い点] 三人一緒に寝るだなんて(*ノωノ) 「たゆんたゆん」が至近距離にあると寝れませんよね(*´ー`*) ネトゲするおじいちゃん好きです( *´艸`) いよいよ初ミッション……! すごくワクワク…
2022/03/20 07:52 退会済み
管理
[良い点] さて、パーティの初ミッションですね◎ どうやってハンティングしていくのか楽しみです☆彡
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