三人パーティー……。
「うぃ~。ひっく!」
宵の宴。
結局、お寺の檀家さんとか、たくさん呼んで、盛大に宴が繰り広げられ盛り上がっている。
パーティー結成だとか言って。
会長も叶総理事長も、酒を飲む口実がただ欲しいだけじゃなかったのか? なんて想う。
俺は、ようやく宴会の席を抜け、酔い醒ましに寺の本堂の縁側の廊下に、ペタリと胡座をかいて座る。
それにしても二人とも酒に強い。底無しか? とも想う。
俺だって、そこそこ飲めるが、ほどほどに相手をしないと、あそこまで浴びるほどに飲めない。
坊主は底無しとも聴くが、絵に描いたように典型的に酒に強い。
俺の身がもたない。
「うぃ~。ひっく!」
「ゆ、夢葉!?」
「楓~……。飲んでる?」
アレな存在のはずなのに、酒を飲んでいる? 夢葉。
酔うのか? いや、アレなのに酔うのかっ!?
たぶん「チロチロ」と、いつものように舌先を出して味わったに違いない夢葉。
血筋だろうか? どうも、叶一族というのは酒好きのようだ。
夢葉の守護霊とかいう曾祖父さんも、踊り出しているではないか。
俺は宴の席を抜け、寺の本堂の縁側に座り、遠目に様子を見ている。
待てよ? 霊感ゼロの俺が、なぜ視えている?
いや、もとより最近は、アレな夢葉と黒音ちゃんの姿が、当たり前のようにハッキリクッキリ視えるようになっているわけだが。
「大変なことになったねぇ~? ひっく!」
いや、夢葉。他人事? じゃないよね?
俺は君のこと、すんごく頼りにしているんだけれども……。
心細い。
俺は、少し前に、昼間とは少し様相の変わった宴会の席でのアレな夢葉の曾祖父さんの言った言葉を想い出す。
「楓くんや。ワシの息子がロープレなどと言っておったが、リアルに現場に行けば、心してかかって欲しい。未浄化霊とは言っても、元は人。よほどで無ければ闘うことになるなど滅多にない。それより心して祈るのじゃ。君が、黒音ちゃんにシてあげたようにの? さすれば、必ずや天に還り成仏される。もしもの時は、闘うより逃げるのじゃ。なんと言っても、楓くんも夢葉も黒音ちゃんも、まだレベル『1』じゃからの?」
やっぱり、ロープレだ。
親子、揃って、どんだけロープレ好きだ?
って言うか、闘うのかっ!?
もしもの時は、逃げるのじゃ……って。
しかしながら、なぜ、二人とも浄霊をロールプレイングゲームになぞらえるのだろう?
それこそ、不謹慎じゃないのか?
さっぱり、分からない。
そもそも、レベル『1』の俺たち三人にやらせること自体が、危険極まりないことなのではないか?
しかし、レベル『1』とは言え、具体的な浄霊方法すら聴いていない俺は、酒の席だが、薄ボンヤリとふわふわ光る夢葉の曾祖父さんに、浄霊方法を確かめた。
「いや、なに……お線香とお水とを持ってシて心より祈れば良いのじゃよ? 簡単なことじゃ。アレな本人の写真とか好きな物を供えて祈れば尚、良いのじゃがの? さすれば、浄化の助けとなる。まあ、それらが無くとも、1ヶ月……長くとも3か月も祈り続ければ成仏なされるじゃろうて」
長いな。
けっこう長いな……。
いや、バチ当たりか? 考えを改めよう……。
しかしながら、会長と夢葉の守護霊曾祖父さんから俺に与えられた新たな任務。
会社指示だ。
受けないわけにもいかない。
そんな風に想っていた矢先。
隣にいた夢葉が、尋ねる。
「楓……?」
「ん?」
「結婚……」
「うん……」
いや。待って。待ってください。夢葉さん。黒音ちゃんが、聴いているかもしれない。
「驚いたね?」
「うん」
「アレな私だけど楓と結婚できるなんてさ……」
いや。待って! 待ってください! 夢葉さん!
酔ってる? あー。酔っているのですね。夢葉さん……。
気持ちは、嬉しい。とっても嬉しい。
アレであろうと無かろうと、俺は、すぐさま君にオッケーさ!
けど……。
昼間の黒音ちゃんの悪夢が、蘇る。
それにしても、さっきから黒音ちゃんの姿が、見あたらない。
「聴いてんだけどもー……?」
アレな黒音ちゃんが、俺の胸もとから、ニュルリニュルリと、蛇のような姿で突如出て来て、そのまま何時もの黒音ちゃんの姿になった。
「私。傷心。だよ? 夢葉?」
「く、黒音! い、いたの? ど、何処から出て……」
「聴いてたよー? 夢葉。結婚? 楓くんと? 良いなー。みんなに認められてさ?」
「く、黒音は、楓と結婚してるようなもんじゃない! どうせ、何時だって、楓の身体の中に居るんでしょっ!!」
「アハ! バレたか。なら、痛み分けってことにしとく? 夢葉?」
「う、うん? い、いや。楓の身体の中に入る方法! 夢葉にも教えてよー!!」
「やだ。教えなーい。てか、教えたじゃん?」
「う゛っ……」
なっ!?
俺と黒音ちゃんが、結婚……シているようなものだとっ!?
い、一体……。どういうことだ? 夢葉?
なぜか、さっき、黒音ちゃんが、俺の胸もとから出て来た。
少しばかり、黒音ちゃんを見かけないと想っていたら……だ。
しかしながら、「たゆんたゆん」な黒音ちゃんが、いつでも俺の胸の中にいると想うと……。
いや。やめておこう。
とりあえず、いつもの三人は、いつもどおり「ここ」にいる。
三人、揃って……。それで、良い……。
そう言えば、俺と夢葉、黒音ちゃんのパーティーの名前は、何にしよう?
「たゆんたゆん」……。
いや、やめておこう……。




