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レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: すみ いちろ
第一章 呪霊解きの世界……。『ウィズ ゴースト レインボー』
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結成……。



「と言う訳でじゃな。早速、動いてもらえんかの? (カエデ)くん。そうそう。今日から(カエデ)くんに夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんもこの寺に住むが良い。幸い、空き部屋がたくさんある」



 さっきから、俺と夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの三人は、寺の奥にある本堂の床に座布団を敷き、正座して話を聴いている。

 ストーブが焚かれているが、寺の本堂は広く、寒い……。

 俺の足が、そろそろ(シビ)れてきた……。


 会長にして住職である夢葉(ユメハ)祖父(じい)さんと、夢葉(ユメハ)が「お爺ちゃん」と呼んでいたアレな夢葉(ユメハ)曾祖父(ひいじい)さん。

 二人が、寺の本尊である毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)を背にして話を続ける。

 小さなアレな夢葉(ユメハ)曾祖父(ひいおじい)さんが、薄ボンヤリふわふわと後光を放ちながら宙に浮いている。

 俺と夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの目の前で。


 

 話を(さかのぼ)ると、会長(じいさん)とアレな曾祖父(ひいじい)さんの話は、以下になる。



「かねてからのワシらの悲願。未浄化の呪霊を浄化させる。これらは、世界各国至るところにおっての? 世に人災天災を装いて厄災を招く。つまり、それらアレな(マイナス)のエネルギーが何時(いつ)までもこの世に留まり、不吉な事象を数多(あまた)もたらしておる。ワシらも私財を投げ打つ覚悟じゃが、なかなか祓える者が、おらんくての? 呼びかけても我が身の命惜しさに誰も成り手がおらん。ワシらのように有志やボランティアで行う少数派もおるが、てんでバラバラ。横の繋がり、連携が取れておらん。そこでじゃ……」



 嫌な予感が、した。


 この話の流れで行くと、絶対に俺は断れない。

 『(かのう)グループ』の社員でもある俺は、会長直々の会社指示をまるっとそのまま、まるまる飲み込むよりほか仕方がないのだろう。


 戸惑う俺の思考の中に、線香の香りが漂う……。

 お香の良い香りが俺の鼻をくすぐる…。



「お茶とお菓子をどうぞー……」



 夢葉(ユメハ)のお母さんが、俺、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃん三人の分をそれぞれの前に置いてくれた。



「ど、どうも。ありがとうございます……。いただきます」



 俺は、手を合わせ、お茶と和菓子をいただく。

 

 夢葉(ユメハ)は、例によって湯呑みを持ち、舌先を「チロチロ」させている。

 熱かったのか「熱っ!」と、そのまま舌先を出している夢葉(ユメハ)


 黒音(クロネ)ちゃんは、先程の一連の出来事で疲れたのか、会長(じいさん)曾祖父(ひいじい)さんの二人を目の前にして、コックリコックリ船を漕ぎながら正座したまま眠っている。



「あ、ちなみにじゃな。今のお主らは、レベル『1』じゃな。ワシ、こう見えても所謂(いわゆる)ロールプレイングゲームが、好きなんじゃ!」

 


 ん……?

 何の話かと想う。


 寺の住職(ぼうず)にして会長が、ロープレ好き?

 レベル『1』とは、何のことだ?



夢葉(ユメハ)戦士(ウォリアー)。素手でも仏具(ブキ)持ちでも闘える。黒音(クロネ)ちゃんは魔導師(ウィザード)。さきほどの霊力(ちから)はまさに魔力(マジック)!しかし自在には使えんはずじゃ。そして、(カエデ)くん。君は言わずもがな勇者(ヒーロー)じゃ!」



 え?

 俺が?

 この(トシ)で?

 

 悪くない……。

 俺の厨二心が(うず)く……。


 何の話かと想うが、会長(じいさん)が言うには、こうだ。



「これで、(カエデ)くん、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃん三人パーティーじゃ! 結成を祝して今宵は飲もうぞ!! 乾杯じゃ!! と言う訳でじゃな。明日からは、(カエデ)くんのこの寺への引っ越しを進めつつ、ワシらの『浄霊指令(ミッション)』をこなしつつ少しずつ『レベル上げ』をして欲しいっ!! 頼んだぞっ!!」



 つまりは、異世界(ゲーム)でいうところの王様が、会長(じいさん)曾祖父(ひいじい)さん。


 俺、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんが、冒険の主人公。つまりは、冒険者(プレイヤー)だ。


 しかしながら、この日本や世界各国にも会長(じいさん)が言ってた有志やボランティアを名乗る浄霊師(プレイヤー)たちが、他にも存在するわけだ。



 何やら、話が、大きくなって来た。

 とは言え、ここは現実世界。


 さっきの黒音(クロネ)ちゃんの霊力(ちから)には驚いたが、この先、この世のモノとは思えないアレな者たちと対峙しないとイケないわけだ。


 俺は不安になる。


 けれども、何も無かった俺の人生に、ようやく花を添えることが出来る。

 いや、まだ生きてるんだし、とにかく引き受けよう。

 会長(じいさん)からの依頼(クエスト)を。


 少しばかり、胸が躍る。



「さ、そうと決まれば、準備しなきゃねー。お昼、食べてってね?」



 時折、こちらにやって来ては、俺たちの話を聴いていた夢葉(ユメハ)のお母さん。



「はい。よろしくお願い致します……」



 俺は、痺れた足を(かば)いながらも、正座したまま頭を下げる。


 夢葉(ユメハ)のお母さん、会長(じいさん)、アレな小さな曾祖父(ひいじい)さんに。



 俺たちのアレなモノたちと対峙する冒険(リアル)が、明日から始まる。


 俺は、両隣に座る夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの「たゆんたゆん」を、この目にしかと焼き付けた。















 


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― 新着の感想 ―
[一言] 仏具と書いてぶきですと!?(゜Д゜;) これまた面白いルビっすね( ´∀` ) そしてそして……まさかのクエストっすか( ´∀` ) でもってこの世界は拙作『紫煙伝』世界とは違ってそういう…
[良い点] まさかのロールプレイングゲームキターー!! 楓くん、勇者さまだなんてカッコイイ\(//∇//)\ 夢葉ちゃんも黒音ちゃんもハマり役ですね☆彡 個人的に夢葉ちゃんのお母さんもかなりのモノをお…
2022/03/18 07:03 退会済み
管理
[一言] 冒険物語のミッションスタートですね~(*´∀`)♪ ヒーローの楓くんは何をするのでしょうか?(^ω^)←決まってますよね("⌒∇⌒") ヒーローはヒロインを守るんです!o(^o^)o が…
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