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鈍痛

お腹空いた

…。

瞼を開けるが意識はまだない。

理解が生き返るに連れて、

記憶が起き出す。

家に帰れたのだ。

3年間離れていた安息が実感できる。

だが、ここに長居はできない。

一度は決別した場所だ。

心残りだった兄は昔と変わらず、

落ちた自分を家に入れてくれた。

それだけで。

震えが止まらない。

日々の鍛錬で作り上げた心の鎧。

死を覚悟した時でさえ傷一つつかなかった最後の守りが崩された。

素っ気ない態度で自分を隠すことしかできなかった。

(お兄ちゃんには勝てないなぁ…。)

「起きたのか?。」

…。

声に出していたかもしれない。

私は赤面してしまい、

これ以上失態をおかさないように口を堅く紡いだ。

「一応、夜ご飯はできてるんだけど?…。」

懐かしいテーブルには、

湯気が立つスープやハムなどが隊列を組んでいる。

剣が刺さっているのを忘れたのか、

お腹が音を上げてしまう。

この奇跡をもってしても、

食欲からは逃れられないようだ。

私は完全に緩みきった口で

厚く切られたハムを口に運ぶ。

騎士や女といったプライドは既に

飲み込まれた後だった。

やっぱりお腹空いた

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