よーいどん
皐月が一通り盛り上がり終わったのを確認すると私は口を開いた。
「では作戦名を発表します。」
「作戦っ!!?」
「その名も『え、ちょ、まじでー?俺達似た者同士じゃん。』作戦です。」
・・・驚いていた彼の顔がみるみるなんか可哀相な子を見る顔に変わっていく。
んだよ、その顔は。
「え、え〜っとぉ・・・」
なぜか言いにくそうに口を開いたかと思うと
「その作戦上手くいくと思ってん「作戦内容を説明します。」
思ってません。
私は昨日あらかじめ準備しておいた、長方形のうすっぺらい紙を彼の目の前に突き出した。
「まずはここにある3枚の映画チケット。」
「!!?もしかしてそれってあたしが密かに見たかった『わさ「そんなこと知らないし、違います。」
皐月の顔が目に見えてしゅんとした。
私は思わずぐっと身じろぐ。
-かわいいなちくしょう。
皐月のこの顔はいわゆる私のキュン死にポイントだ。
「・・・じゃあなんの映画なの?」
少し不服そうな声で問いかけてきた。
「チャップ2」
「は!?」
「これに江藤君を誘いましょう。」
「や、意味分かんないし!!しかもなんで3枚!?」
「それは私も行くからです。」
「なんで!?」
「・・・はぁ?じゃ、なに?あんたはたいして親しくもない野郎に映画誘われて行くわけ?仲良くおてて繋いで映画デートして、映画館の席近いな・・とか手があたってどきっ・・とかのドキドキラブハプニングでも起きると思ってるわけ?ありえないから。それ、最近の恋愛ドラマでも失笑ものだから。そもそも男二人とかむさ「ごめんなさい。一緒に来てください。」
私は満足気にうんうんとうなづいた。
身長が170くらいある彼が少し恨めしそうに163の私を見下ろしてくる。
「なんかカミングアウトしてから柚子の素と敵意がちらほら」
「オカマが女に幻想抱くんじゃねーよ。」
「やばい、なんか泣きそう・・。」
皐月は涙を隠すかのように上を向く。
私はそんな彼を無視して話を続けた。
「それじゃ、明日誘ってみるから。決行は土曜日ね。」
皐月の前に満面の笑みで手を差し出す。
「頑張りましょ。」
皐月もしょぼくれていた顔を持ち直して笑顔を向けた。
「えぇ。」
そして彼の手が触れるか触れないかの所で
「じゃぁ映画代しめて3600円。早く払え。」
彼は無言のまますっと尻ポケットの財布に手を方向転換させた。
やばいその泣き顔、くせになりそう。




