90:その気付きは
戦い後に1人で考えて納得する話。
――セブの墓地でクエストを始めて、そのクエストを進めてるうちに戦闘区域という場所が出てきて、フレンドを呼ぶことができるから呼んでボスっぽいケモノを倒した後、カズ達はすぐに消えた。まぁ、登録済みの一番近い街に飛ばされてるってモニターが出たから特に問題もなくて。
「ん-? 形はゴリラぽいけど……ゴリラじゃない、かなぁ……」
ボスっぽいケモノの本体は確かに一見したらゴリラとかそれ系な形をしていて、背中にある大量の腕は細く、小さく……
『おにいさん……だいじょうぶ?』
「あ、うん。友達が強かったから」
『……先に進む?』
「ん-……ちょっとここ調べてもいい?」
ボクの言葉に泣いてた子は頷き、ボクが動き出すとその後をついてきて、一緒に消えてないケモノを覗いた。
「やっぱり子供の腕っぽいなぁ……」
うつ伏せ状態で倒れているケモノだからこそその背中の様子がよく見え、その腕らは完全に背中から伸びるように生えていて、後付けとは違う感じで、それぞれの腕というか手の甲部分にはそれぞれ色の違う石が埋め込まれている。
『おにいさん、これ魔法石だよ』
「魔法石? 水精石とかと違うの?」
『属性石はこの世に存在する属性が封じ込められている石の総称で、魔法石は魔法そのものが封じ込められているんだよ。その石が割れるまではその中にある魔法が使えるの』
「なるほど」
よくよく見れば、その埋め込まれている石の真ん中にはなにか紋様のようなものが見え、水精石とかは言うなら中心に向かうほど色が濃くなる感じだったから確かに違いがあった。
ちなみに、魔法石は取り出すことが出来ればもちろん使うことも出来るらしいけど……取り出す気がないなら壊すのが一番らしい。
なお、ボクはもちろんひとつひとつ壊したけど。
「……ねぇ、本来なら多分ここをまっすぐ抜けるべきだよね?」
『別の道でもあったの?』
「うん、多分」
と、いうのも。ケモノの足元をよくよく見れば四角く切り取り線みたいなものが見えたからなんだけど。その先が通り道になってるのか、ただの見せかけなのかはもちろんわかってないけど気になるからこそボクはその切り取り線を開けてみることにしたのだった。
――結果論で言えばボクの選択は正解だった。
床の切り取り線の先にあったのは、よくありそうな実験施設で、何かが入っていたであろう檻や、小さな何かが浮いてるカプセル、それから強いモザイクがあるけど多分骨。
「あー……そういうことかぁ……」
泣いてる子の身体、それは多分……ここにある。
ケモノだけど獣要素はないと言ったな! とりあえず腕と上半身が太くてゴリラっぽいというイメージでお願いします。
そしてクエストのゴールは次回で。