76:いざ第7の街へ
第7の街セブに到着する話
――第5の街、ファイから地下採掘施設を通り抜けてカズや白鳳と川の向こうまで来たボクだったが、出口から出てすぐの場所から第7の街、セブは影も形も見えなかった……
「とりあえず川と反対の方に行ってみる?」
「多分それが手っ取り早いだろうな」
そういうことで、ボク達は軽く戦いつつ川から東の方向へと歩いて行く……と、蜃気楼のようにぼんやりと時折何かが見えるような気がして……一度足を止めて何かが見えたような気がした方を見れば、カズも同じように足を止めていた
「向こうだな」
「向こうぽい?」
「隠してるんだろうなぁ……ま、行ってみればわかるだろ」
結局そういう結論になるのは当然と言えば当然で、とにかく蜃気楼みたいに見えた方向に進むのに異論が出るはずもなかった。だからさっきまでと同じように軽く戦いつつ歩みを進めていれば……そして、見えてきたのはかつては立派だったと思えるくらいにはしっかりとした城壁で、そこがセブなのは間違いなかった。
『ようこそ、ここはかつては王都だったセブだよ』
「こんにち……あ、“隠された宝を確認する為に”」
『“鍵はこれだよ”まぁ、ここに鍵はないんだけどね』
セブの入口には衛兵さんがいて、合言葉を言ったらその衛兵さんは返しを言った後にそう笑ってからセブについての説明をしてくれた。とは言え、教えてくれたのがこの街が元王都だということやファイからでしかこの街にたどり着けないということくらいだから知ってる割合の方が多かったけど……
「サーディの方からは無理なんですか?」
『サーディからは、無理だね。さて、門をくぐる前にこれで犯罪歴を確認させてもらうよ』
そう言った衛兵さんの手には手のひらサイズの水晶らしきものがあり、それに触れることでこの世界基準の犯罪を行っていたかどうかを確認できるとのことだった。もちろん、3人ともちゃんとそれに触れて、衛兵さんが教えてくれた青ならセーフの言葉を信じて輝く青い光から目を離せば……
『なるほど、君は精霊様の加護を受けたことがあるんだね』
「そういうのもわかるの?」
『もう一度触ってもらえばわかると思うけど、白い光が混ざってるのが見えるかい?それが加護を受けたことがあるとそれが出るんだよ』
「なるほど」
そう説明されながらもう一度水晶ぽいものにボクが触れば確かに青い光の中に白い光もあり、逆にカズ達の方は青い光だけで、白い光がなかったのだからそういうことなのだろう。
『しかし、まさか精霊様の加護を受けたことがある者が来るとは……もしかしたら……』
衛兵さんはそうぽつりと呟いていたけど、それからすぐに気を取り直したようにあっさりと街に入ることを許可してくれていた。
『この街はこの見えている大通りが城跡まで続いているんだ。そして城跡の前には精霊様の像がある。冒険者はまずそこに行くといい』
「なるほど、ありがとございます」
そうして3人でセブへ入り、衛兵さんに言われた通りにまずは街の奥の方にあるらしい城跡前へと向かうことにしたのだった。
「セーフティゾーンでさっさと登録しないと唐ヶがもうログインしてるみたいだし」
「あ、ホントだ。……ヒカタ、唐ヶがシクルの商会で面白そうなクエスト起こりそうだから一緒に行こうだと」
「あそこかぁ……まだログアウトしないからいいよ」
ということで、少し先の予定も決まり、たどり着いた精霊様の像はやっぱりセーフティゾーンで、ボクの知ってる精霊様で間違いなかった。まぁ、登録したからすぐにシクルに飛んだんだけど。
「……は、3人でセブに行っただと……」
「合言葉が3人用だったから」
「まぁ……そもそも俺のログインも今さっきだったから仕方ないか……」
それから唐ヶから商会で一定金額のお買い物をしたらご飯が食べれるというクエストが起こることを教えてもらってお買い物をしたのは言うまでもなく……
「カズ半分食べて」
「おう」
クエストで美味しいお肉をカズと半分こにして食べたら商会で使える半額券を貰えたから文字通りに美味しいクエストには違いなかった。ただ、唐ヶが驚いていたけど多分気にしなくていいはずだよね?
第6の街シクルにある商会で起こるクエストは別に1人で食べろというクエストではないっていう話でもある。




