62:地下採掘施設とサーディの顔なじみ氏
地下採掘施設に行く話
――第5の街ファイで新しいクエストを出したけど、ボクはそれを急いで進めるつもりもなく、今は前日に紹介所で許可を貰った地下採掘施設へと向かっていた。
『ここは地下採掘施設だが、許可証はあるか?』
「えっと、これだっけ」
施設の前に立つおじさんに紹介所で貰った絵馬みたいな形の木札をアイテムボックスから出して見せると、彼はひとつ頷き、少し重そうなその施設の扉を開けてみせた。
『入ってすぐの受付で必要備品を受け取ってくれ。そこから先についてはその受付で説明されるからな』
「あ、はい」
重たい扉を抜けて、少し薄暗さもあるその施設の中、建物前のおじさんが言ってた通りに入ってすぐにとてもライトで明るい受付があった。そこに近寄り、紹介所で貰った木札を見せればその受付に座ってる人が説明を始めてくれた。
『この施設では、採掘のスキルを持ってる人と持ってない人では案内先が変わりますが……あなたはどちらですか?』
「持ってないほうです」
『では、まずこちらに木札を置いてください』
受付には木札が収まりそうなくぼみがあり、そこに持っていた木札を置くと受付の人は何かを確認してから説明の続きをしてくれた。
曰く、採掘スキルなしの場合、絶対に奥まで進んではいけないということ、それから拾った石はここで解析してくれるということ、そしてそれを買い取ってもらうことができるということ、忘れてはいけないのは採掘スキル持ちがスキルを使用してるときは近づいてはいけないということなどを教えてもらい、必要な備品を借りた。
『それでは、初回は1と書かれているエレベーターで降りてください』
「わかりました」
地下へと降りるエレベーターは全部で5基あって、初回の1が本当に小さい子や、そんなに重労働が得意ではない人向けの採掘所で、出てくる石は稀にすごく希少な石が出るくらいであとはただの石や銅、鉄が確認されてるということだった。そして、エレベーターの数字が上がるほどいい素材が拾えるが、3以降は有料らしい。
とりあえずエレベーターに乗る前に受付で借りた備品を装備した。頭にヘルメットとライト、手には分厚い手袋、足は少し緩い安全靴で、石を入れる為の袋を腰のベルトに括り付け、装備完了。さっそくエレベーターに乗った……は、いいけど揺れとかが割と酷かった。
エレベーターが目的地に着いたけど……その先は思いのほか暗かった。まぁ、落ちてる石で使えそうなのはマーカーが付いたけど。時間で言えば、3時間くらい、ボクは袋いっぱいに落ちてる石を拾うことができた。
――結果から言えば、地下採掘施設で拾った石は受付で確認をしてもらい、そのままいらなそうなただの石は引き取ってもらい、他の石素材はもともとあるアイテムボックスにしまった。なお、レア度の高い石は出なかったからやっぱり運も必要だと思ったのは事実だ。
とりあえず、サーディの鍛冶場の次男さんにここで取れた石を見てもらうためにサーディに移動して次男さんに説明をすれば、彼は目を輝かせて普通の石じゃない銅の埋まった石や鉄の埋まった石を隅から隅までじっくりと観察をしてから教えてくれた。いくつかある銅の石の中にちょっといろんな石の要素が混ざっている銅の石があったと、次男さんが教えてくれた。
『こういう複合系の石は研磨の仕方によって綺麗に両方が取れるか、それとも片方の素材だけが綺麗に出てくるかがある種のギャンブルになってるんだ』
「やっぱりそういうのあるんだね」
『まぁな。でも、ファイの地下施設だろ? あそこに1回でもいいから潜ってみたいけど……まぁ、無理だから珍しいの出たらまた見せてくれ』
「出たら持ってきます。でも、あの施設はなかなか暗かった……」
そのことに関して、と次男さんが教えてくれた。なんでも、長い間日に当たってない人は目が暗闇に慣れすぎて暗い場所から急に明るい場所に行くと目がおかしくなっちゃうからあの暗さらしい。
「地下作業って大変そうだなぁ……」
『山の採掘場もそうだけど、珍しいものとかはある程度奥まで行かないと出てこないからな。それが欲しい人の方が割合多いってとこだ』
「あー……なるほど」
そんな感じで次男さんと話をしてたけど……ここでもファイの食堂の件が知られてることを知った。
食堂の件は後回しでも問題はない。が、先に攻略した人がいたらクエストは未クリア扱いになったりする。




