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自然現象です

色々とツッコミ処満載ですが宜しくお願いします。

誤字修正しています

「じゃあ、私達が留守の間の一月は息子さんの家に行かれるのですね!」


ニルビアさんはご主人をすでに亡くされている。お子さんは男女のお二人いらして、どちらも近くに住んでいるのでナッシュ様が遠征でいない時は交互に泊まりに行っているらしい。


「でも、どちらも孫がいるから…お世話するのがなかなか大変でねぇ…正直ナッシュ様の方が手がかからないわ~」


大人のナッシュ様を孫と同列に扱うニルビアさん素晴らしいっ。こう見えてニルビアさんは元皇宮魔術師団の副団長をしていたらしい。所謂キャリアだね。当然、高魔術保持者なのでナッシュ様のお世話係に任命されたと言う訳だ。そんなニルビアさんから少しづつではあるが魔法を教えてもらっている。


「討伐地に行かれたら洗浄の魔法は必要ですものね…もし湯殿が使えなければ基本、これで清潔にはなりますし…」


ああ、あの牛乳を綺麗にしたあれね?わあ、教えて!


「それに女性は月の物が来ますし、その洗浄もすぐ出来ますからすごく便利ですよ」


そうだった…異世界マジックでそこは何とかして欲しかったが…月一の生理だけはやってくる。当て布を何枚かは持っては行くが、生理痛だけは仕方ない…結構お腹痛くなるんだよなぁ…憂鬱…


「いくら洗浄魔法で綺麗になったとはいえ、女性は湯殿でお湯を浴びたいですものね。ご不便ですね…討伐期間中はナッシュ様は全然平気でしょうけど…」


……今、引っかかるワードが出て来たよ?ナッシュ様は平気?


「ニルビアさん、気になることがあるのですが…普段、ナッシュ様は湯殿はどうされているのでしょうか?」


…そうだよ。夜ご飯食べた後、ニルビアさんがナッシュ様に「湯殿の準備出来ましたよ」的な言葉かけてるの見たことないよ……まさかまさか?


「いえ?ナッシュ様は普段から浄化魔法を使われてしまうので、最近は湯殿は使われてないのではないかしら…ね」


いやあぁぁぁぁ!気分的に不潔よっ!いくら浄化魔法使えるからってっ…ちょっと待ってぇ!?洗ってもない手で私…あちこち触られてたのっ!?信じられないっ!


「ナッシュ様っ!」


私は居間に飛び込んだ。夕食後、私が作ったソーナおかきをポリポリ摘まんで、お酒を飲んでいたナッシュ様の前に立つ。


「な…何?」


「体を洗って下さいませ」


「は?いや…別に必要…「洗って下さいませ」


ナッシュ様はソファにダラッ…と凭れかかった。


「なぁんでそんな面倒なことしなきゃいけないんだ~?浄化魔法あるからいいではないか~?」


「私の気分の問題ですが…そんな不潔な方の隣に立ちたくないだけです」


ナッシュ様は目を丸くしてからニヤニヤし出した。


「どうしようかなぁ?そんな面倒な事したくないなぁ…手伝ってくれるならいいけどぉ?」


あきらかな変態臭ではないものの、確実にエロいことを考えている目だな?


「いいでしょう…手伝いましょう」


ナッシュ様はガバッと起き上った。


「分かったっ!入ろうっ言質は取ったからなっ?今更ダメだとかはナシだぞっ!?」


はいはい…ナッシュ様はそう言って湯殿に向かって行く。


私は一旦部屋へ引き上げると例のブツをクローゼットから出して来た。


「遂に日の目を見る時が来たのね…フフフ…」


私はブツを装着した!ああ、気が引き締まる…私は急いで湯殿前の脱衣所に向かった。


……っておい!ナッシュ様、全裸じゃないかっ!こらーーっ確かに色っぽ…ではないっ!


「前を隠してくださいっ!一応…辛うじて私も女性なんですよ!」


私がそう怒鳴りながら脱衣所に入っていくと、ナッシュ様は驚いた顔をした後、満面の笑顔になった。ちょっと…久しぶりの変態が入ってない?大丈夫?若干ハァハァ言ってない?


「な……なんだそれっーーすごいっいいぞっアオイっ足がキレ…「早く前を隠せっ!」


そう…私はシテルンリゾート計画を踏まえて、海辺で泳げないか確認しようと水着を制作していたのだ。防水の魔法を覚えてからの本格使用にはなるが…自分好みのあまり露出が無く…そしてさり気なく足がチラ見えする、膝下くらいのワンピースタイプの水着を作ってみた。この世界にしては露出はすごいと思うけど肩は丸出しである。


取り敢えずナッシュ様は腰にタオルを巻いてくれた。一安心だ。


「それなんだー下着?」


「違いますっ!水着…と言って異世界では水辺で、水遊びする時に着用する専用の服装なのです。因みにこれでもまだ露出は抑えています。異世界じゃ局部くらいしか隠していない、ほぼ全裸で水遊びが普通ですから…」


「見たい」


「何が…?」


「ほぼ全裸」


テンションを低く見せておきながら…実はやっぱり変態なんじゃないのか?イヤ…男の人ってこんなものなのかな…?私はゆっくりとスカートの紐を解いた…この水着は巻きスカートにしていたのだが…まるでストリップショーみたいになっているのはただの偶然だ。


ナッシュ様はナジャガルの皇子様なのに…まるで最前列に座るおじさんのようになっている…コロンド君達には見せられない醜態である。


私は巻きスカートを外して床に落とした…


「!」


「!」


お互いに見てはいけないものを見てしまったのか…ナッシュ様は一瞬で湯殿の中に入って扉を勢いよく閉めた。


「す、すまんっ!不可抗力だっ!」


「いえ…私こそお目汚し失礼しました」


「目など汚れるかっ!眼福だっ……すまん……」


「いえ…今日は湯殿でお体しっかり洗って下さいね…」


どうしよう…私の方が逆にセクハラ発言みたいになってしまった。スゴスゴと脱衣所を後にする。


どうしよう…ワンピースタイプでこの反応よ?と自分の水着…濃い紫色のワンピース水着を見る。もしハイレグとかビキニとかだったら色々な原因でショック死しちゃうんじゃない?


異世界の水着は色々と刺激が強そうだ…普通の膝丈くらいのワンピースを防水加工にしただけで十分かもしれない…


異世界生活6日目


ナッシュ様は意外?にも爽やかに普通に起きて来た。照れてる素振りもない。まあ、あからさまに照れられたらコッチもやりにくいし…ある意味大人の対応である。


ニルビアさんにしばしの別れのご挨拶をして、ナッシュ様のヨジゲンポッケに私の荷物を入れて頂く。あの不良品のヨジゲンポッケは後日返品交換ということで…昨日カステカートへの出国申請を出して来たのだ。


「ワープみたいなのあるんですねぇ…」


「ん?」


「いえ、転移門です…すごいですね。主要都市に瞬時に移動できるなんて…」


転移門とは…各国主要都市を繋ぐ移動手段まさに『ワープ』である。一応出国、入国手続きはあるが乗り物に乗り継いで…とか大荷物を持って…とか煩わしさがないので非常に便利である。しかし利用料金を聞いたが結構な高額乗り物?であることが分かった。


「結局は各国の王族と金持ち専用の移動手段だな…」


ジューイの言う通りである。今回の討伐はジューイはお留守番である。


「なんで用もないのにゾロゾロ行かなきゃならんのだっ」


とか言ってたけど、あなた第三部隊の副官ですよ?もっとやる気を見せてよ。というか、実際は私やフロックスさんの居ない間の書類仕事がたまるとまずいので、致し方なくだという事らしい。


その転移門に第三部隊の7人が集まる。他のメンバーはお見送りに来ている。ご家族が来ている人もいるようだ。ああ!アレ、フロックスさんの奥さんとお嬢さん!?めっちゃ可愛いじゃないのさ。思わず挨拶に行ってしまったよ。娘さん3才とハグしちゃったよ~可愛いね。


「ではっ!」


「いってらっさいっ!」


ジューイに手を振りナッシュ様の横に立つ……実は平気なフリしてますが、めっちゃ緊張していますっ!怖いっめちゃくちゃ怖いっ!冷や汗が止まらない…


「アオイ…手を握ろうか?」


優しい声がして隣を見るとナッシュ様が微笑んでいる。うん、握らせて下さい…藁にも縋る思いです。


ナッシュ様の左手を両手で強く握り締めた。そして転移が始まった時にナッシュ様が右手で私を体ごと抱き締めてくれた。ああ~これ安心するわ…今日だけは許しますよ~


「着いたぞ」


「ふぇ?」


も、もう?2秒くらいじゃなかった?慌てて周りを見る。どこかのお庭のようだ…これが討伐地のご領主のお屋敷なのか…あっけない…もっとドカーンとかババーンとかなるもんだと思ってた。


「ナッシュルアン皇子殿下、お待ちしておりました」


このちょっとふくよかな体のおじ様がここのご領主様のようだ。


「ナバロン卿も息災で何よりだ」


もう皇子様モードで悠然としていらっしゃるね…昨日のストリップショーの面影はございませんな…


「アオイ様、お礼が遅くなりまして…クッキー頂きました。ごちそうさまでした」


声をかけられて振り向くとコロンド君のお友達のドレンシー君が笑顔で立っていた。


「いえいえ、お粗末様~今日から一月宜しくね、ドレンシー君」


ドレンシー君はコロンド君と違って割と大柄だ。私より頭一つ大きい。


「アオイ様が一月食事のお世話をされるとか…すごく楽しみです!でもお手伝いはしますので何でもお申し付けください」


「わ~ありがとう!頼っちゃおうかな…」


とか言ってると背後からヌオッと影が覆いかぶさって来た…何やってるんですか?ナッシュ様。


「何を頼るのだ…ドレンシー早く行け。フロックスが待っている」


「はっはぃ!」


ドレンシー君は慌ててフロックスさんの所へ走って行った。しかし…何で不機嫌モードなの?おまけにすごくくっ付いて来るし…


「アオイ…」


「なんですか?」


「今…気が付いたんだが…執務室にクッキー忘れてきた」


ぉおいいい!!なんだそれっ!?不機嫌の理由はそれかいっ!私は鬱陶しくくっ付いて来るナッシュ様を適当にあしらいつつ…討伐地のヤウエン地区に向かった。


ヤウエンはグローデンデの森に隣接しており、魔素の濃い森からは魔獣、魔物…時には魔人が現れることもあるらしい。国の特別警戒地区になっており普段、人はもう少し離れた所に住んでいる。実は10年ほど前までは普通に生活出来るくらい魔獣の出現無かったらしい。


「ここ10年で魔の物が増えたのは原因があるのですか?」


私はここヤウエンの領主ナバロン伯爵に聞いた。実はコロンとふくよかなナバロン様も昔は第三部隊に入っていたらしい。動かないで食べてばかりで太っちゃったんです…と、本人談である。耳に痛い話である。


「あくまで推察の域を出ませんが、ガンドレア帝国がまったく討伐をおこなっていないのでは…というのが私と昨年一緒に調査して頂いたシュテイントハラル神聖国の調査団の方々の見解です」


なんと…シュテイントハラル神聖国とは、あの例のアイザックのおっさんの胸糞事件の被害国ではないですか!今は仲良くしているの?ナッシュ様を見てみる。少し微笑んで頷いているナッシュ様、成程…


「討伐を行ってない?では魔獣や魔物が野放しということですか?」


それじゃあ自分の国にも被害が出るよね?何故、討伐しないの?


「それがな…隣接するカステカート王国に侵略行為を繰り返しているんだ」


ナッシュ様が答えてくれる。はぁ?自国の国民を助けないで他国に攻め入るって何事よ?


「どうもカステカートを手に入れてそこに逃げればいいじゃないか…というとんでも理論で攻め入っているらしい…あくまでらしいだ」


どういう理論だっ幼稚園児かっ!


「らしい…てガンドレアに聞かないのですか?ていうか調べないのですか?」


「聞かんでも各国に避難民が溢れて来てな…難民から情報は入って来る…カステカート、シュテイントハラル、ナジャガルが三ヶ国協定を結んで避難民の受け入れをしている最中なのだ。それに再三、困っているならば交渉の席に着こうではないか…とシュテイントハラルの国王陛下が呼びかけているが無視されるらしい」


なんとも…そんなので良く国として成り立っているね。イヤ…もう瓦解しているのか、だから避難民が出る…


「取り敢えず、政府間交渉は各国の外相に頑張ってもらって、軍人は露払い…と言う訳だ」


なるほどね


喋っている間にヤウエンの今は無人になっている討伐地に到着した。この辺りが一番、魔の眷属の目撃情報が多いらしい。森の穴?みたいなのが開いているのかな。いつも使わせてもらっている元宿屋で宿泊の準備をする。取り敢えず、伯爵様は日没前には帰られるらしい。護衛の方もいるけど危ないから気を付けてね?


後ほど巡回を始めるそうなので、私も魔の眷属とやらが見てみたい!と呑気に巡回に立候補したが男性陣は難色を示した。


「異界って結構平和だって聞いたけど…?」


フロックスさんの殺し屋アイズが私を射抜く。平和って言うか私の住んでいる国が比較的安全なお国で…


「そんなボケっとした国出身の、お嬢が大丈夫かね?」


この口の悪いのが今回の神7の一人、ジャックスさんだ…まあ口は悪いけどいい人っぽい。


「まあ、問題ないか…基本アオイは私と一緒に行動だし」


ちょっと待って?何、勝手に決めてるの?そんなこと事前に決めてましたっけ?ナッシュ様のご尊顔を睨む。


「それなら別にいいか…」


おいっ!ジャックスッ!


「一番の安全策ですね」


フロックスさんまでっ!


「アオイ様、正直に申し上げると殿下の御側が今一番安全な場所ですよ?魔獣は兎も角、魔人に遭遇したら、肉を引き千切られて食べられてしまいますし…」


ドレンシー君の言葉に仰天する。


ぎゃあああ!?何よそれ!?ま、魔人てそんなに危険なの?ちょっと剣でヒラリと切れば死んじゃうんではないの?


「魔人の強さは別格だからな…並の剣士では力負けして魔人の餌になって終わりだ」


ちょ…何、怖い発言してるのよ。ルル君…ルル君は20才前半?くらいの選抜7人の内の一人だ。常に無口で冷静だけど鋭いツッコミをする。銀髪のカッコいい男の子だ。


「殿下は単独行動は大丈夫だけど、我々は全員で動くからな魔人対策だ…」


もう一人のメンバー、ごっつい熊みたいなシーナさんがちょっと笑いながらそう言った。


「……ナッシュ様、ご一緒いいですか?」


背に腹は代えられん…死んでは元も子もない。ちょ…おいっナッシュ様…何故、両手を広げている?誰が飛び込むのだ。ドレンシー君を代わりに押し出しておく。男同士抱き合うがよろし。ナッシュ様の怒声?とドレンシー君の悲鳴が聞こえた。


私はキッチンを覗いて見た。レイゾウハコがある。隣の部屋にセンタクハコもある。フムフム…ナッシュ様のヨジゲンポッケから取り敢えず2、3日分の食材を取り出してレイゾウハコに入れた。足りなければまた出せばいいか。


「『タクハイハコ』はどこに置きますか?」


ドレンシー君がフロックスさんに聞き覚えのある言葉を言った。何だって?タクハイ…宅配なのか?


「居間の窓際でいいだろう。基本誰でも触れるところがいいし…」


「了解です」


思わず居間を覗いて見た。鶯色の宝箱?みたいなフォルムの箱がチョコンと置いてある。あれが『タクハイハコ』?


「あれが珍しいか?」


振り向くとナッシュ様が居た。


「タクハイ…どういう用途の魔道具ですか?」


「ん~?送り先を魔法陣付のアテナックで記入して送りたいモノの上に張り付けて、その送りたいモノをハコに入れる。それで送り先に届く訳だ。個人宅前に『テンソウハコ』が無い場合はその送り先の最寄りのタクハイ所に取り置きされる。届け物は送り先にそのタクハイ所から配達される…そういう仕組みだ。但し、入れるモノは生き物は厳禁だ。偶に遊びで無茶やって死亡事故が起こる…」


アテナック、宛名か。ここにもユタカンテ商会のドラミンの気配を感じる…流石ドラミン。


ナッシュ様にお借りしていたヨジゲンポッケを返した。


「さて…フロックス達は東回りを巡回だ、私達は西回りに行くよ」


よーーしぃ!頑張るぞぉー私達は元宿屋を出て西へ歩き出した。


「魔人出ないといいねぇ~いや~1体なら余裕だけど3体以上来たら負けちゃうかな~いや~怖いね、千切られちゃうしなぁ~」


………おいっいい加減にしてよ!何、ニヤニヤしてるのナッシュ様?さては私をビビらせる、嫌がらせだね?本当ムカつくなぁ。


最前列のお(う)じさん…

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