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第66首 言ってない
なこそとは たれかはいいし いわねども こころにすうる せきとこそみれ
来ないでください、なんて誰が言ったのかな。
誰も言っていないのに、早とちり。
勘違いで自分の心に関を作って、わたしに会いに来ないなんて。
【ちょこっと古語解説】
○なこそ……「な~そ」で、「~しないでください」という柔らかな禁止を表す。「こ」は「来」の変化。全体で、「来ないでください」の意。
○かは……「~だろうか、いや~ではない」という疑問の形を借りた否定を表す。このような否定のしかたを、反語、という。
○云わねども……「ね」は、「ず」の変化。「ず」は「~ではない」という否定を表す。「ども」は「~だけれども」という逆接を表す。
○関とこそみれ……「みれ」は、「見る」で、こそという語の効果によって、「みれ」という形になっている。「こそ」は、訳に影響を及ぼさないので、全体の訳としては、「関であると見ている」くらいになる。
なこそとは誰かはいいし云わねども心に据うる関とこそみれ




