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第64首 人を待って
こぬひとを まつほのうらの ゆうなぎに やくやもしおの みもこがれつつ
来ない人を待つ、松林の茂るこの岬で。
夕なぎのころ、藻塩が焼けるようにじりじりとした気持ちで。
【ちょこっと古語解説】
○来ぬ人をまつほの浦……「まつほ」の部分に、「待つ」と「松帆」が掛けられている。「待つ」は、上につながり、「来ぬ人を待つ」すなわち「来ない人を待つ」の意となり、「松帆」は下につながり、「松帆の浦」となる。松帆の浦は、淡路島の最北端の海のこと。
○夕なぎ……夕方風がやんで、波が静まった状態。
○藻塩……海藻から採る塩。
来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ




