ロリータ?
久々に
アルアーラ王都の外壁の外、『魔物狩り大会本部』にて、多数の冒険者たちが集まりその結果を心待ちにしていた。
「これより、魔物狩り大会上位成績者を発表する!」
ごくり、と隣にいる勇者が神妙な面持ちで喉を鳴らす。
「どうだろうか?シオン君。僕らは勝てるかな?」
さあどうだろうか?何せ相手はあの狂信者達。簡単に勝てるとは思えない。
「それでは第10位!⋯⋯」
順に得点の高いパーティーが発表されていき、ついに残るは2位と1位となった。せっかくここまで来たのなら1位を取りたいものだが⋯⋯
「第2位⋯⋯」
勇者パーティーのシルフィーナ、イネアも手を組み必死に勝利している事をを祈っている。
普段は気楽そうなカーラまでも目が離せないというように発表者の方を見つめる。
「『クランネちゃん親衛隊アルアーラ王都支部』!」
瞬間。
「「「くそぉぉぉぉ!!!」」」
という絶叫が響き渡る。その声に遅れて勇者パーティー達がやっと状況を理解する。
「親衛隊が2位ってことは?」
「私達の勝ちですわね!」
「よかったよー。」
イネア、シルフィーナ、カーラの順に安堵と歓喜の声をあげる。
「第1位は『勇者パーティー』です!なんとドラゴンを狩ってきました!過去最高成績です!」
次いで司会者が勇者パーティーの優勝を発表する。これで俺達の1位は揺るぎないものとなった。
「ありがとう!みんなのおかげだ!」
感極まった勇者がパーティーメンバーをまとめて抱きしめる。
イケメンがやったから許されるのかもしれないけれど、普通のやつが女の子3人を抱き寄せると周りから白い目で見られますよ。
ちなみに俺も巻き込まれそうだったのでもちろん回避した。冴える『逃亡』スキル。
「あっ⋯⋯。」
「は、恥ずかしいけれど嬉しいですわ。」
「おうおう!やったね!」
抱きしめられた神官娘と王女さんが乙女モードになっている。
唯一カーラだけが、気前よく勇者のことをバンバン叩き返して喜んでいる。
まあなんだ?話が進まないからそれ以上のイチャつきは帰ってからやって欲しいな。
と、その一方で
「くそっ!俺達が不甲斐ないせいでスイーツチケットが⋯⋯」
「クランネちゃん⋯⋯ごめんよ。僕に生きている資格なんか⋯⋯。」
「かくなるうえはあの勇者を闇討ちして奪うか⋯⋯。」
すごく物騒な感じになっている親衛隊のみなさん。仕方ない、俺が交渉しとくか。
「あのー落ち込んでるところすまんが、ちょっといいか?」
と、親衛隊の中の一人に声をかける。
「お前は勇者パーティーに味方していた男!何のようだ!笑いに来たのか!」
なんでそんなに話が飛ぶの。
「違う違う。ちょっと話したいことがあってな。あんた達はクランネにスイーツチケットを渡したかったんだろう?なら俺が渡しといてやるよ。もちろん王都の親衛隊からって伝えてさ。」
その言葉に親衛隊達がざわめく。
「な!それは本当か?でも信用していいのかどうか⋯⋯。」
そりゃあ、いきなり関係ないやつにこんなこと言われてもな。使いたくなかったカードだが、ここで切るか。
「安心してくれ、一応俺もその⋯⋯親衛隊の名誉隊員?とやらなんだ。俺は普段ヒズミルで冒険者をやってるんだよ。」
「それは本当なのかっ!?では先日の親衛隊報告会で聞いた親衛隊本部にあの『聖布』を譲った名誉隊員とは?」
なんだよその会。ろくでもなさそう。
「あー、多分俺だな。」
「なんとっ!?それなら信用できる!是非ともお願いしたい。だが、勇者パーティーはチケットを譲ってくれるのか?」
「俺が今回の勇者パーティーメンバーに加わった報酬はチケットだけでいいって言って交渉してやるよ。」
「あなたが神かっ!」
そうだよ。
そんなことで、俺は親衛隊を落ち着かせることに成功したのだった。
大会が良い結果で終わり、俺たちはそれぞれの自室へと別れた。スイーツチケットは今回の報酬としてしっかり受け取った。若干勇者パーティーガールズが残念そうな顔をしていたが、狂信者共を相手にはしたくないんだ。すまんな。
そして去り際に勇者の放った、
「明日の白女神様の面会は緊張するね!」
の言葉で完全に忘れていた目下最大の厄介事を思い出し、若干気分が落ちたのは言うまでもない。
ちなみに今日は白女神祭の初日だったわけだが、初日は教会や貴族のお偉いさん達の挨拶。それにイベントとして魔物狩り大会があるだけで、祭らしい屋台などは今日は準備中らしい。
なんでも今日大量に取れた魔物の肉などで屋台をするのだとか。魔物って美味しいの?美味しいみたいです。
ともあれ本格的に民衆が参加して楽しむ祭りは二日目と三日目だそうだ。
だが、俺は白女神と会わないといけないらしく、気が気でなくて楽しめそうもない。どうやって穏便にこの厄介事を切り抜けようか。
そんなふうに明日の計画を練り、自室へ向かっていると、前方から見知った顔が歩いてきた。
「あ!あんた、偽勇者!」
いえ、そもそも勇者じゃないです。
と、俺に失礼な声掛けをしてきたのは赤髪ツインテールに強気な表情、そしてチビでぺったんなワガママ聖女。
そう⋯⋯
⋯⋯⋯⋯⋯⋯名前なんだっけ?
「お、おう。えー⋯⋯聖女ロリータ?」
「ロゼッタよ!馬鹿にしてんの?」
ロゼッタがキッと睨みつけてくる。だってそんな体型じゃん。それに、
「なあ、聖女様は何歳なんだ?」
素朴な疑問をぶつけてみる。
「あんたヒズミルのルナさんとも知り合いなんでしょ?なら聖女じゃなくてロゼッタでいいわよ。名前で呼べることを感謝なさい!⋯⋯それと質問の答えなんだけど⋯⋯いったいあんたには何歳に見えてるわけ?」
ルナさんとはヒズミルの町にいる聖女の事だ。苦労人だがいい人である。そしてロゼッタが何歳に見えるかというと、
「え?14歳くらい?」
冒険者学校中等部2年くらい?つまり女子中学生。JC。まあ妥当だろ。
「失礼よあんた!18よ!もうとっくに成人してるわよ!」
え、嘘。タメかよ。まあ俺のは設定上の年齢だけども。
「それなのにぺったん⋯⋯」
「あ?なんか言った?」
殺気がすごい。これが聖女だと⋯⋯。ともあれロゼッタからも何やら面倒事の気配がするので、ここは早々に立ち去ろう。
「いや何でもないよ。それじゃ、俺は明日に備えて寝るから。おやすみだな!」
と言って、通り過ぎようとするも、
「ちょっと待ちなさいよあんた!」
引き留められてしまった。嫌な予感しかしない。
「な、なに?」
「その⋯⋯ちょっと⋯⋯うーん⋯⋯。」
ちょ、急にモジモジすんな!いきなり態度を変えないでくれ!面倒事の予兆なんだよ。
「あんた⋯⋯
あたしの勇者様とのデートプランを考えなさい!」
何でこうなるのさ!
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