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神様が仕事を放棄して下界に降ります  作者: 三宮 琳
第二章〜白女神祭の大波乱〜
32/37

こんな所で見かけるとは

 「よし、ここらで一旦休暇にしよう!」


 その勇者の掛け声で、各々近くの岩などに腰を下ろす。


 魔物狩り大会も制限時間の半分が過ぎ折り返しの時間となっていた。


 「みんな、聞いてくれ!先ほど他の冒険者達の情報を得るため、本部でポイントを見てきたがどうやら僕達のパーティーが現在トップみたいだ!やったな!」


 そりゃそうだろう。選りすぐりの勇者パーティー達だ。そんじょそこらの冒険者共に負けるはずがない。だが、次に勇者が言った言葉は俺を驚かせた。


 「でも、余裕で1位というわけではないんだ。わずか数ポイント差まで迫っているパーティーが1つある。」


 へえ、すごいな。高ランクの冒険者達で組まれたパーティーか何かだろうか?


 「確かパーティー名は⋯⋯『クランネちゃん親衛隊アルアーラ王都支部』だったかな?」


 ⋯⋯⋯⋯は?今なんて?


 「どうやら彼らはこの大会の優勝景品を狙って出場しているらしい!僕達も負けられないね!頑張ろう!」


 「そうね!」


 「ですわ!」


 「はい!」


 三者三様の返答をする勇者パーティーガールズ達。


 が、しかしどうして親衛隊が?今回の優勝景品は確か身につけると素早さが上がるブレスレットとかだったはず。


 奴らが必要とするとは到底思えない。と、疑問に首を傾げていると、


 「そっちだ!そっちに行ったぞ!狩れぇ!」


 「おうとも!おらっ行くぜ!!!」


 「クランネちゃんのために!」


 土埃をあげ、ものすごい勢いで魔物を追いかけ回す冒険者達が俺達の前を横切って行った。


 「す、すごい迫力だったね。」


 勇者も驚いているみたいだ。


 「あれが二位の親衛隊だぞ。負けられないんだろ?がんばれよ。」


 そうやって適当に励ましを飛ばしておいた。できることならあんな所と競い合いたくない。


 「う、うんそうだね!頑張らなきゃ。よし、休憩終わり!みんなペースアップして1位を取ろう!」


 「「「おー!!!」」」


 まあ、競わないといけないみたいだが。俺はひとつ伸びをして元気いっぱいに魔物を探しに出ようとする勇者パーティーに続いた。
















 その頃天界。神王城に務めるある神の自室にて2人の神がお茶会をしていた。


 「~~♪」


 「あら楽しそうじゃない?どうかしたの、転生神ちゃん?」


 「これから勇者くんを見てみようと思って⋯⋯あ!貴女も見てみる?豊穣神ちゃん。」


 「ええ、是非!」


 「それじゃあ⋯⋯よっと。」


 そう言って転生神が腕を振ると空中に映像が浮かび上がる。そこにはパーティーで魔物を狩っている最中の勇者達が浮かび上がった。


 「あーもう!今日も凛々しいわ!」


 「本当に格好いいわね。転生神ちゃんが気に入るのもわかるわ。」


 「でしょ!⋯⋯でも、あれ?」


 「何かあったの?」


 「この人⋯⋯勇者パーティーで見たことないわ。」


 「この人って黒髪の?」


 「そうそう、どことなく神王様に似ているわね。」


 「えっ本当?神王様じゃないの?」


 「ううん、違うと思うわ、だって勇者君に神王様を見つけたら何よりも優先してわたしに連絡するようにお願いしているもの。」


 「そうなの、それじゃあ他人の空似ね。」


 「うん。そうだと思うよ。」


 そう言って、黒髪の青年から興味をなくす2人の女神。


 言わずもがな、この青年が神王であるのだが、勇者を信じすぎていた転生神は深く調べようと思わなかった。


 実際、転生神が勇者に教えた神王の情報は『とても強い』、『神様の力(神気)を使う』だけなので、神王が力を隠せば勇者は正体を知りようがないのだが、どこか抜けた転生神はその事に気づかなかった。


 そうして女神達のお茶会は続いていく。
















 ⋯⋯⋯⋯あぶねー!?今、どこかの神に見られていたぞ。


 魔物を狩っている途中に勇者の上の方から神気を感じ、こちらを上から見る能力を使われると理解した時は冷や冷やした。


 やはり勇者を見ている神は多いのだろうか?多いのだろうな。


 顔を見られるわけにはいかないし、かと言って能力の範囲から急に逃げ出したら、見られている事に気づいてるのでは?とその神に疑われてしまう。


 改めて、勇者パーティーには近づかない方がいいと認識するのであった。


 それと、話変わって、何故クランネちゃん親衛隊が必死に景品を求めているかわかった。


 それは副賞だ。勇者に確認してみてわかったが、優勝景品はブレスレットともう一つ、副賞に『王都有名スイーツ食べ放題』のチケットが手に入る。


 これは確かにクランネが喜びそうだ。


 目下最大の面倒事を前に俺は少し憂鬱になった。


 「みんな!もう少しで制限時間だ!気を引き締め直して頑張ろう。」


 その勇者の言葉で憂鬱の国へ飛びかけていた俺の意識が現実へと戻される。と、その時、ぐうおおおっと唸り声が聞こえ、俺達の前に巨大な魔物が降り立った。


 「ド、ドラゴンですわ。」


 シルフィーナが恐る恐る口に出す。


 「みんな、これが今日最後の獲物だ!行くよ!」


 勇者の喝入れによりドラゴンの迫力に呆気に取られていたメンバーたちも素早く戦闘体制に移行する。


 始めに、イネアが全員の防御力を上げる呪文を唱えた。それを鬱陶しく思ったらしいドラゴンはイネアに向けて爪を振り下ろす。


 しかしそこに勇者が割り込む。振り下ろされた爪と切り上げた勇者の剣がぶつかり、激しく競り合う。


 が、それもつかの間、勇者と競り合う事に気を取られたドラゴンに、背後からカーラが近づき、ドラゴンの脚へ向けて思いきり突きを放ち、ドラゴンを転ばせた。


 すかさずシルフィーナが高威力呪文の詠唱を始める。


 だが、ドラゴンが起き上がる方が少しだけ早そうだ。ドラゴンもカウンターを狙い、口の中に炎をためながらブレスの準備と共に起き上がろうとする。


 ちょっとまずいかな?そう思い俺は、一瞬でドラゴンとの間を詰め、地に伏したドラゴンの顔の前まで来るとすかさずドラゴンの目に手を当て思いきり『聖光』を放った。


 急に視界が潰れ頭を振り苦しむドラゴン。ブレスもあらぬ方向へ吐き出されたので、勇者パーティーに被害はなかった。


 そこでシルフィーナの詠唱が完了したようだった。勇者パーティーはシルフィーナを残し、一斉に後ろへ下がる。


 「くらいなさい!複合魔法!『氷刃の竜巻(アイシクルトルネード)』!」


 その叫びと共に、ドラゴンを竜巻が覆う、その竜巻の中にはいくつもの氷の刃が舞っていた。


 次々とドラゴンに刃がささり、竜巻が消える頃には氷漬けとなり砕け散ったドラゴンの残骸が残った。


 なかなか連携取れてたじゃないか。


 「みんな!お疲れ!凄くいい動きだったよ!」


 勇者が賞賛と労いの言葉をかける、全員達成感に満ち溢れ、嬉しそうだ。


 「シオンさん、アシスト感謝しますわ。」


 と、シルフィーナが礼を言ってきた。


 「おうお疲れ、MVPはシルフィーナだな。」


 「いえいえ、そこはもちろん勇者様ですわ!」


 何としてもそこは譲らない、というようにシルフィーナが答える。やっぱり筋金入りだな。だが、とてもいいパーティーだな。と思った。


 その後、ドラゴンの部位を回収し、本部へ到着したところで時間いっぱいとなった。


 さて、後は結果発表だが、果たしてどうなることやら。

明日は更新できないかもです。

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