勇者は間に合ってますので
闘技場から場所変わって、ここはアルアーラ教会。
俺はあの後教会に戻り、今度は教会の神官さんらしき人に教会の中を案内された。
あの小生意気聖女と違って丁寧に案内してくれたから気が楽だったぜ!
それで今俺は、夕食を食べるために教会を出て、アルアーラの街へ繰り出そうとしているところだった。
教会で食事を貰うことも出来たのだが、それだと教会のお偉いさん達との食事になりそうだったので、俺は自分で適当に街で食事をとる旨を伝えて、外食することにした。
闘技場で稼いだお金もあるしね!
何を食べようか、王都の人気店とかを事前に調べておけばよかったかもしれない。それにパーティーメンバーのリリとカイ、それに友人のカイ、苦労人の聖女ルナあたりにもお土産を買っていこうか。
クランネは⋯⋯まあいいか。
と思ったが、買わなかった場合むくれて、うざったく絡んでくるのが目に見えてたので買ってやることにした。
俺って寛大だな!
と、そんなことを考えながら教会の出入口まで到着すると、そこには何やら3人の冒険者らしき人達がいた。
「みんな、今日の依頼もお疲れ様!もう少ししたらカーラが帰ってくるから、そしたらみんなでご飯に行こうか!」
「ええ、楽しみですわ!」
「私も待ちきれませんっ!はやく帰って来てくださらないでしょうか?」
「ははっ、シルフィもイネアもそんなに食事が待ち遠しいのかい?」
「⋯⋯もう。」
「私達が楽しみなのはブカイブさんとのお出かけなのに⋯⋯。」
うわ、この男両手に花かよ。しかももう一人くるのかよ、爆発しとけ。
あ、俺もリリが居たわ。あとで爆発しとこ。
すると冒険者達の中心にいた男がこちらに気づき、話しかけてきた。
「やあ、こんにちわ!教会の奥から来て、神官の服を来ていないということは、君も白女神様に招待された人かな?僕の名前はブカイブ=シャイニングハート。よろしくね!」
そう言って彼は右手で握手を求める。
うわ、名前すげえ。ぶれいぶしゃいにんぐはあと君だってよ。
「お、おう。俺は冒険者のシオンだ。同じく白女神様に招待されたらしい。よろしくブカイブ。」
と、名前を呼び捨てにして握手に応じたところ、両側にいた少女達が目をぱちくりさせて驚いていた。
え?また俺なんかやらかした?
「あ、あなた驚かないんですのね。」
「私、勇者様と初対面で平然としている人初めて見ました。」
⋯⋯⋯⋯あっちゃー、勇者様だったか。地雷踏み抜いたな。確か、勇者は転生神のお気に入りだったはずだ。
白女神でも面倒なのにそこに転生神も加わるのは本当に勘弁。
「あーその、田舎出身なもんで、勇者様の事をよく知らなかったんだ。」
「冒険者なのにですか?」
「変⋯⋯ですわね。」
いいから突っ込まないで!
「まあまあいいじゃないか、別に僕は貴族でも何でもないんだから。普通に接してもらって結構だよ!」
勇者君助け舟ありがとう!君への感謝は忘れないよ!それじゃあ。
「そうだ!君もこれから夕食かい?もう一人待ち合わせしているんだけど、もし良かったらその娘が来たら君も一緒に夕食に行かないかい?せっかく同じ招待された者同士なんだし!」
やめろ!引き止めんな!
「あー残念だが⋯⋯。」
すると、勇者君の両サイドからじーっと威圧の視線を感じる。
「(まさか勇者様の誘いを断りませんわよね?)」
「(勇者様を残念がらせたら私許せません!)」
こ、断れる雰囲気じゃなくなった。
「ありがたく⋯⋯ご一緒させてもらいます⋯⋯。」
勇者の顔がパーっと晴れてにこりと笑う。
「良かった!それじゃあもう一人の娘が来るまで詳しく自己紹介でもしようか!」
シオンです。一番偉い神です。全能です。はい、言えるわけありませんね。
「シオンだ。ジョブは『斥候』でヒズミルの町で冒険者稼業をしている。何かの手違いでジョブの選択欄に『勇者』が出たから今回呼ばれたんだと思う。」
すると三人は驚いた顔をしたが、普通に自己紹介してくれた。
「僕はアルアーラの勇者、ブカイブ!転生神様によってこの世に生を受けたんだ!いつか魔物達を統べる王、魔王を倒すために各地を旅しているんだ。先日、『修行の塔』を攻略したところ、白女神様に呼ばれたよ!」
「わたくしはシルフィーナ=アルアーラ。この国の第二王女ですが、畏まらなくても結構ですわ。冒険者では『魔導姫』の名を名乗らせて頂いています。ジョブは『魔導士』ですわ。」
「私はイネア=ホワイティです。白女神教の神聖騎士です。今は冒険者『聖心姫』として勇者様の旅のお手伝いをしています。ジョブは『神聖術師』です。」
勇者に王女に神聖騎士か、すごいメンバーだな。
ちなみに『魔導士』は魔法使いの最上級職、『神聖術師』は僧侶職が、神聖騎士になった場合に転職できる最上級職だ。と前読んでいた本に書いてあった。
あくまでも神聖騎士はジョブじゃなくて団体の名前みたいなもんだから、『神聖騎士』というジョブは無い。
お互いに自己紹介をしていると、外から教会へ帰ってくる人物がいた。
「三人ともただいまー。うち、ちょっと今日疲れることがあって⋯⋯。」
そう、最後の勇者パーティーのメンバー『炎舞姫』カーラだ。
こいつの存在を忘れていた訳では無いが、先程食事に誘われた時は、2人の眼力に怯んで首を縦に振ってしまった。
「あ!カーラ、おかえり!紹介するよ、この人はシオンさん。今日僕達と夕食に行くことになったから。」
するとカーラがこちらを向き、
「⋯⋯⋯⋯え?キミ、闘技場の⋯⋯」
しーっ!しーっ!またその話をするのは面倒なので俺は必死の形相で口元に人差し指をやって、口を噤むように伝える。必死すぎてカーラさん引いてるが、厄介な出来事が起きるのに比べたらなんでもない。
「ん?カーラ、何かあるのかい?」
「ううん!何でもない。それより夕食?行こっか。」
うん、神様聞き分けのいい子は好きだよ。
すると、カーラが夕食を取る酒場へと向かう最中に耳打ちしてきた。
「今日のこと後で聞かせてもらうからね!今度は逃げないでよ!」
むう、逃がしてはくれないのか。『逃亡』しようかな。無理があるか。
ちなみに、酒場へと向かう途中で聞いたのだが、勇者の二つ名は『聖剣の勇者』。ジョブは『勇者』。
カーラの二つ名は聞きなれた『炎舞姫』。ジョブは『舞闘家』。何でも舞闘家は踊り子と武闘家を極めたら転職できる最上級だそうだ。
そんな事どうでもいいから俺に静かで平穏な休暇をくれ!そう切実に願うシオンであった。
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