ウェルカム新メンバー、ノーサンキュー親衛隊
さて転生し青年となったゴーストの姿を見てみる。
筋肉がバランスよく付き引き締まった身体に、整った目鼻だち。少しくせっ毛の茶髪、そしてキリッと締まった表情が勇ましい。10人⋯⋯いや100人に聞いても格好良いと言われるであろう。
我ながらいい仕事!
青年はこちらを見て尋ねる。
「俺は⋯⋯生まれ変われたのか?」
「あぁバッチリだ。格好良いぞ。」
「そうか⋯⋯。」
感慨深そうに自らの手のひらを開いたり閉じたりする青年。
「それでお前は新たな生命で何を望むんだ?」
大切な事だ。しっかり聞いておかなければ。
「俺は⋯⋯そうだな。俺を馬鹿にしていたアイツら2人に羨ましがられるくらい価値ある人間になりたい。それが当面の目標だ。」
「おー、それはいいな。見返してやろうぜ、きっとできるさ。」
さらに俺は具体的なこれからの行動について聞いてみた。
「しばらくは冒険者になって名を上げようと思う。だが今は無一文だしな。そう言えば俺はどんな祝福を貰えたんだ?ギルド登録する時にスキルなどを知っていないといけないんだ。神様は鑑定できるか?」
「俺のことはシオンでいいぞ。というかそう呼んでくれ。神様うんぬんは秘密にしているんだ。喋るなよ?」
「了解した。」
「鑑定はできると言えばできるが、この町でしっかりとした身分を確立したところを誰かに見てもらうために、教会かギルドで鑑定してもらおうぜ。」
「なるほど、わかった。」
そうして俺達が二人はリリとクランネが待っている外へと行くことにした。
「あ、ご主人様おかえりー!ってそのイケメン誰っ!?ねえねえ教えて!」
「この人は⋯⋯。」
やばい転生する際に、これからのコイツの設定を聞いていなかった。
「⋯⋯どうする?」
と青年の耳元で確認する。
「シオンの都合のいいように紹介してくれ。名前も頼む。」
「よしわかった。こいつはカイだ。さっきのゴーストを除霊した時に屋敷の反対側から丁度来て除霊を手伝ってくれたんだ。俺と同じ神を信仰しててな。ちょっとした顔見知りなんだ。」
「へーそーなんだー!アタシはご主人様の奴隷のリリ!サキュバスだよー!あなた格好良いからご主人様の奴隷になる前ならアタックしてたかもー。」
「よろしくリリさん。俺はカイだ。シオンさんには何度かお世話になったことがあるんだ。今は冒険者をしている。」
どうやら上手に俺のでっち上げた設定に乗ってくれたみたいだ。
「へー冒険者!ならご主人様と一緒だね。仕事中会うかもー、仲良くしてね!」
「ああ、それなんだがカイ、提案があるんだが。」
と俺は言う。その提案とは
「俺らのパーティーに入ってみないか?」
パーティーへの勧誘だった。
「それは⋯⋯願ってもいないことだがいいのか?」
「もちろんだ。この家にはパーティーメンバーで住もうと思ってるんだがな、広すぎて掃除も大変そうだし。家事もリリ一人じゃ面倒そうだ。だから家賃替わりにこの家で働きつつパーティーメンバーになって欲しい。リリもいいか?」
「大歓迎だよー!」
「よし、なら決まりだな。よろしく頼むぞカイ。」
「カイくんよろしく!」
「あ⋯⋯ああ、よろしくお願いする。」
こうして半ば強引に3人めのパーティーメンバーが加わった。転生して後は頑張れでポイっとするのは可愛そうだしな。
それにしても神王、サキュバス、元幽霊のパーティーって混沌としすぎてるな⋯⋯。
と、そこでリリの横で眠っていた人間が身じろいだ。
「うむぅ⋯⋯幽霊こわい⋯⋯ですぅ。」
もう少しで目を覚ましそうだ。そこで俺は2人に相談を持ちかけた。
「2人とも、俺は事情があって実力、素性その他もろもろを隠しているんだ。だから今回の手柄もクランネのものって形にしたい。協力してくれ。」
「わかった。」
「オッケーだよ!」
そうしてクランネが目を覚ますのを待機した。
「ふっふふーん!あ、シオンさんこれもお願いですぅ。」
「はいよ。」
そう言ってクランネの買い物袋を受け取る俺。
俺たちは現在、クランネのショッピングに付き合っています。あの後目を覚ましたクランネに幽霊はお前が討伐したという旨を伝えた。するとクランネは最初は半信半疑だったのだが、俺達がこれみよがしに褒めちぎるとすぐに調子に乗り出した。
そして今回頑張った御褒美にショッピングに行きたいと言い出して今に至るのだった。
「シオンさんシオンさんわたしのこと見直しましたかぁ?」
「ああ、意識を失いながらも浄化の仕事をきっちりこなすとは驚きだ。流石。神官様だな。」
「むふーん!そうでしょう、そうでしょう!リリちゃんも見てましたか?わたしすごいんですよぉー!」
「うんクラネっち格好よかったよー!」
「それとそこの⋯⋯カイさんでしたっけ?」
「ああ、あなたの仕事を見させてもらった。あんなに迅速な浄化は初めて見た。いいものを見させてもらった。」
「いい気分ですぅ!もっと褒めてください!」
ぐ、コイツ流石に調子に乗りすぎじゃ⋯⋯。まあコイツに勘違いさせておくために我慢しなきゃな。
「お買い物も満足ですぅ!あ、ちょっとそこのカフェ寄りましょう。」
そうしてカフェに入り、休憩してところ何やらカフェの窓の外から異様な視線を感じた。
「じー⋯⋯。」
「あいつら断りなくクランネちゃんに近づきやがって⋯⋯。」
「判決⋯⋯有罪!」
そう、クランネちゃん親衛隊の皆さんだった。やばいあいつら何しでかすかわからない!
「んー?シオンさんなんか、顔が真っ青ですよぉー?わたし気分がいいので心配してあげますぅ!どれどれ?」
そう言ってクランネが俺の額に自分の額を当ててきた。お互いのおデコがぴたっと合う。もちろん親衛隊に見られている。
なに煽ってくれてんの?やばいよ!
「だ、大丈夫だから!」
慌ててクランネを引き離し親衛隊を確認する。
「じろー⋯⋯。」
「今の見たか!?あいつ⋯⋯殺す!!!」
「有罪!!!有罪!!!」
やばい激化してる!親衛隊たちは今にも店に殴り込んできそうだ。
と焦る俺を助けてくれたのは意外な人物だった。
「皆さん、落ち着いてください。」
あれは⋯⋯隊長!あ、ありがとう。あんた良い奴だよ!
「彼は我が親衛隊の名誉隊員。前に我が親衛隊に聖布を届けてくださった恩を忘れたわけではないでしょう?」
「ですがしかし!」
「いえよく考えなさい。聖布を独占せず渡してくれるほど徳の高い彼が、規律を勝手に破るなどの愚行をするはずがありません。」
いいぞ!もっと言ってやれ!隊長頑張れ!
「彼は聖布に次ぐ新たなる聖なるアイテムを手に入れるべく秘密裏に活動しているのです。」
「そうだったんですか!」
え、俺も初耳なんだが⋯⋯というか雲行きが怪しい。
「ええ、近いうちに彼は必ず我が親衛隊に聖なるアイテムを譲ってくれるでしょう。」
「なんて良い人だ、俺が間違っていた!」
「ですので、今は彼を応援して立ち去りましょう。ここにいると何かと目立ち彼の邪魔になってしまうかも知れません。」
「はいっ!」
そう言って親衛隊たちは去っていった。
ど、どうしよう⋯⋯。これはただクランネに付き合って遊んでいただけだとバレたらただじゃ済まなさそう。それにしても聖なるアイテム⋯⋯。そんなもん今の俺は⋯⋯
持ってたー!!!そうこれ!カイが憑依していた布!これには、このアホシスターの⋯⋯⋯⋯鼻水が染み込んでいる!!!
あいつらなら鼻水もありがたがるはず!何とかなりそうだ⋯⋯。
そう一人で慌て、一人で助かったようにホッとするカフェでの一幕であった。
クランネのショッピングが終わって彼女と別れたあと、すっかり日も暮れていたが、リリとカイ、そして俺はそのまま屋敷を買いに商人のもとに行った。
商人は一日でゴースト退治を終えたことにびっくりしていたが、すぐに俺たちが強い冒険者であり、関係を持っていた方がためになると考えたらしく。家具の手配などを無料で行なってくれた。
こうして俺たちはとても長く感じた一日を終え、無事に家を手に入れることが出来たのだった。
『神王』は『パーティーメンバー』と『屋敷』を手に入れた。
よろしければ↓にあるポイント評価お願いします!




