オタク必死の対抗策
薄く開いた瞼をまた閉じたくなるような倦怠感。
また・・・・死ねなかったな
女の子は狼になると夜と昼の区別がつかなくなる。それほどに夜目が利いた。徐々に明るくなる視界を悲しく感じながら、体に気を使ってゆっくり首だけ起こした。とりあえず自分の体に異常がないことを確認する。そのせいで目の前の闖入者に気づくのが遅れた。
「ーーッ!?」
確かな人の気配。それも自分の存在を隠そうとしていない、自分に存在を認識させる気満々の気配だ。
もしかしたら、私を捕まえようと。
「ゥゥル・・ゥゥゥゥ・・・・」
体が戦闘態勢に入ると同時に喉から地鳴りのような唸りが鳴り出す。四肢の血管に熱いものが流れだしていく感覚を呼び起こす。これだけでこの体は信じられないほど速くなるのだ。逃走を数年続けられたのはこの能力のおかげだ。
あと跳びかかり、体を突き飛ばし、首に牙を突き立てるだけだーーーー
「おいそこの人狼!!」
しかし、その突進は森中に響くぐらいの大声の指名で止められた。見れば目の前の男が自分に向かって指を指していた。
「俺はお前と!」
私と、何をする気だ。一緒に地獄へ落ちる、とかか。くっ、やはり刺客だったか。早く処理をしなければ。
狼は全身をバネのように縮め、次の瞬間目にも止まらぬ速さで飛び出した。
しかし、それも結局止められることになる。
「俺はお前と結婚する!!」
「?!」
自分の耳が信じられなかった。狼は思わず足を止め、開いた口をだらしなくそのままにするしかなかった。あと一歩、あと一歩分進んで噛み付けばいいだけなのに、足が動かない。
頭に先程の宣言が何度も何度もリピート再生され、その度の意味不明すぎて思考が止まる。
いや、意味は分かっているのだ。しかし聞き間違えでないとすると、自分は母親とした約束がある。その約束がこの男を殺せなくさせることになる。
ウソ・・でしょ!
女の子は目の前の男を問いただすために、生まれつき持っている呪いを解いた。
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