覚悟を決めて行き止まりへ
アニオタは自分の崇拝するアニメのために何時間も冬空を仰ぎ待ち続けることができる。彼らは自分の娯楽のために、たかがそれだけのために身を削っている。俺もそんなことを何回も下覚えがある。そして皆と同様に他人に何度も馬鹿にされた。しかし俺にあるのは充実感と満足感。苦痛や後悔など一片たりとも覚えていなかった。
今思い返すと……どうだろうか。たしかにあの時は幸せだった。だが一度死んですべてを失ってみると、そこまで大切なものだったろうか。
否定はできないが、ふと考えると疑問が残る。
「さて、と」
俺は思考を切り替えるために頭をぶんぶん振った。今はそんなことはどうでもいい。ていうか、俺はこの世界でもオタクであり続けると、ついさっき決めたばかりじゃないか。もう揺らいでどうする。しっかりしろ。
ついさっきだ。俺はよく覚えていない夜道をなんとか辿り、狼とともにいた場所へと戻ってきた。今俺の目の前には数時間前と同じまま、狼が寝息を立てている。
どうしたものか。状況は一転して、さらにもう一転して元通りになった。ここから悪夢の結末を避けるか否かは俺の行動による。早く画期的な対策を練らなければ。
まず狼を抑えつけるのは却下だ。実力的にも心象的にもよくない。ていうか多分無理だ。
そして狼との対話。これは絶望的だろう。悪夢の結果へとそのまま辿ることとなる。一番やってはいけない行動だ。
どうする。あの悪夢では時間帯はわからないが、少なくとも夜が明けていなかったのは確かだ。この狼が起きるまでそう時間はない。とにかく早く対策を捻り出さなければ。
「でも・・押さえつけてもダメ、歩み寄ろうとしてもダメじゃあどうしろってんだよ・・・・」
俺はうなじのあたりをボリボリと掻きながら、負け惜しみのような声音で呟いた。
ブクマ登録が増えた記念投稿~。
・・・・代わりに一件減って±0なんだけどね(泣き)




