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可憐に撃つべし!!~御転婆令嬢、斯く凶禍を討滅せり~  作者: 月見里清流
第1章 いっつも暴れてばっかりじゃない
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プロローグ

 ――私の()()だッ!



 神宮司ミエコは走っていた。

 暗い中、上がる息をも気にせずその細い脚で一生懸命に駆け抜ける。全力で、高等女学校の授業でも出したことがない全力を、今この瞬間に発揮して。



 ――私がそそっかしいからッ!



 自責の念が胸を詰まらす。

 悔いても遅い。後悔先に立たずと思っても、何の慰めにもならない。たった独り、頭の中で思索がグチャグチャに掻き混ぜられ、混乱と情動の坩堝(るつぼ)に堕ちる。



 ――いっつもこうだ!



 ()()()()()()()()()()()

 楽しい事も多かったが、反省する事も多かった。面白そうだったら面倒ごとでも首を突っ込んでしまう。

 思慮深いなんて私らしくない――、物心覚えた頃には自分を規定してしまっていたが、生来の気性はやっぱり変えようがない。三ツ子の(たましい)百まで。きっとおばさんになっても、おばあちゃんになってもずっとこのままだろう。

 それでも……、これではいけない。



 ――これじゃいけないのッ!



 私が不幸になるのは良い。

 因果、自業自得、自分の行動の責は全て自分が背負うべき。

 当たり前だ。

 だけど人を巻き込み、人を不幸にしては絶対に駄目なんだ。



 私の()()で――、()()()()()()()絶対駄目なのッ!

 喩えこの身が(りん)(らく)しようと、喩えこの身がカタストロフ(悲劇的大破局)に潰えようと構わない。面皰連の野郎共(わんぱくゴロツキ)をぼこぼこにしてやっても全然気にしない。



 だけど、()()のは違う。

 将来の全てを奪ってしまう。

 改心する機会も、隠れた良心を発露する機会すら奪われてしまう。それに何も悪くない人が、自分の行いに巻き込まれて死ぬなど、天地がひっくり返っても納得出来ないし、()()()()()()()()()



 だから走る。

 只管(ひたすら)に走る。

 頬を撫でる暗闇を拭い、飛び込んだ先で後悔しないように、駆けて、駆けて、駆け抜けるしかないんだ。後悔しないために。




 ――死なないで……、お願い!

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