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そう遠くない未来。  作者: 薄桜
朋花×航
23/26

俺の目標

「朋花×航」の5話目です。

ではどうぞ。

教室の窓際の机に、行儀悪く座って窓からグランドを眺める。

ちなみにここは、俺の席じゃない。

野球部とサッカー部がネットで隔てられ、そのさらに向こう側の長細いスペースで、陸上部が練習をしている。

あまりに遠過ぎて、どれが朋花かなんて分かりゃしない距離だ。


朋花に「今日は一緒に帰ろう。」と誘ったものの、部活なんかに入ってない俺はする事も無く、時間を潰す場所なんかも別に無くて、それを見越した朋花が愛用の音楽プレイヤーを貸してくれた。

見た事のないロゴの海外製で、かなり操作に癖があるからと、部活に行く前に使い方をかなりしっかりレクチャーしてくれた。

けど、まぁ、イヤホン耳に突っ込んだまま、ランダムに流れる曲を聞き流して、ぼんやりしてるだけだから、そんなに使い方の説明いらなかったけどな。

しっかし、見事にロックばっかりだな。

そういう雑誌を読んでるのは知ってるけど、聞くのもこんなんばっかなんだな。

激しいドラムのリズムと、響き渡るギターのメロディー、音を締めるベースの低音、そして見事に男の声ばっかのボーカル。

延々聞いてると、俺に嫉妬させる気でこれ置いてったんじゃないだろうなって、妙な事を考えてる自分がいて・・・思わず、んな訳ねーだろって、自分で突っ込んだ。



「頑張るよなー、朋花。」

「そう?」

「朝練に、帰りもこんなだし。勉強もちゃんとしてんだろ?」

「当たり前じゃん。航が何もしてないだけだって。」

「・・・だよなー。」


教室でぼんやりしてる時に、それを考えていた。

帰宅部は帰宅部なりに楽しいんだが・・・聡太ん家に、俺ん家じゃ見れない物持ち込んでの鑑賞会とか時々やってたし。

あいつ最初は嫌がるくせに、結局は見てんだよな。

本当こういう時は、親の帰りが遅い家って便利だよな。

うちは母ちゃんずっといるから、んなもん見る隙なんかありゃしねえ。

あいつのとこみたいに、自分の部屋にテレビなんか無ぇしさ。

しっかし、それもやり辛くなったな・・・

二人がようやくまとまって・・・まさか、こんな所に影響してくるとは思いもしなかった。


「航、自覚があったんだ。」

「・・・あるよ。」

まぁ自覚したのは、ついさっきだけどな。

「何かやる事ねーかな?」

それまでは頭に花が咲きそうなくらい、何も考えて無かったけどな。

窓の向こうの芥子粒みたいな一生懸命な朋花を見てると、俺本当に何やってんだろう?・・・って、本当はどれが朋花か分かんなかったけど、みんな必死に走ったり飛んだりしてたんだと思う。

「やる事って・・・部活か、バイトくらいじゃない? そうだ後は勉強して成績上げるとか?」

「・・・何かやだ。そういうんじゃなくてさ、何か熱中できるもんねーかな?」

「熱中ねえ・・・あ、それじゃぁバンドやんない?」

「バンド?」

「今日貸したやつに、いっぱい入ってたでしょ?」

そう話す朋花は、目をキラキラ輝かせ身を乗り出して来て、俺は思わずたじろいだ。

「あ、あぁ・・・それしか無かったな。」

「うん、だからバンドやろう。」

「・・・何が『だから』? 何で断定?」

「えー、だって、バンドマンの彼女ってポジション良くない?」

「・・・そんな理由かよ?」

「で、メジャーになってくれたら、私は嬉しいよ? 鼻が高いよ? ほらほら彼女喜ばせてみない?」

朋花は、本当に楽しそうな顔してて、実現したら本当に喜んでくれるんだろうなって、そんな夢みたいな話に、ついこう返事をしてしまった。

「そうだな・・・じゃぁ考えてみるか。」

「へ?」

こう言わせた本人は、逆に驚いて動きを止め、大きく目を見開いた。

「けど、俺バンドよく知らねぇからさ、教えてくれよ?」

「・・・あ、うんいいけど、本気?」

「朋花が喜んでくれるなら、本気でやるよ?」

モテたいって動機でバンド始めるヤツはいっぱいいるんだ。彼女を喜ばせたいからって動機だって、おかしかないだろう?

戸惑いながら見上げてくる朋花に笑いかけ、また不意打ちでキスをした。

そしてその直後、キキーッという甲高い耳障りな音と、その後に、

「コラーっ、安田!! 何やってんだお前っ!!」

っていう覚えのある怒声が、後ろから聞こえた。


以前にうっかり航と朋花の未来を、ノリでやってしまったので

そこへ向けての布石です。

えぇ、全然違う話で。

パラレル設定でもいいかなーとか、一瞬思いはしたものの、

やっぱりそれもなーって。

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