夕暮れの街
ごとっ。ミコは叩きつけられるように「街」へと落とされた。見渡してみれば赤、赤、赤。とにかくすべてが赤く感じられる。
「不気味なような、落ち着くような…… 変な感じ」
「きこえてる?」
「へ?」
「きこえてる?」
「ふぇ? うあああ! ぬいぐるみが! え?」
物言わぬはずのうさぎのぬいぐるみが喋っていた。びっくり仰天。そのままぬいぐるみを放り投げた。しかし、うさぎのぬいぐるみはまるで痛みを感じていないかのように立ち上がり話しだす。
「聞こえてるんだね。良かった」
ミコのことなど気にもしないように続ける。
「私はナギ」
ナギと名乗ったうさぎのぬいぐるみがあまりに悠長に話すので、ミコはずっと尻もちをついたままである。
「驚かせちゃったよね。だいじょうぶ?」
「え? でもさっきまで喋れてなかったのに……」
「ここは 『あの子達』が作った空想の街。だから私も喋れるの」
わけのわからない理由を聞かされ、ミコの頭の中は「?」だらけだった。それが顔に出たのだろう。ぬいぐるみ、いやナギは落ち込むような安堵したようなため息をついて言った。
「まあ最初はわかんないよね……」
ミコが口を開こうとしたとき、全く別の声が聞こえた。
「あっ! また別のお友達だぁ」
振り向くとどこからともなくきた子供がそこには居た。
「! 逃げて、早く、少しでも遠くへ!」
ナギの少なくともはたからみれば異常とも言えるほどの焦り方にミコも圧倒されてすぐに「う、うん わかった」とだけ答え、走り出した。




