表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界の国に召喚されたら、いきなり魔王に攻め滅ぼされた  作者: 空雲
本編 魔神の誕生と滅びの帝都
50/52

50 オークが多くやってくる

 砦の実質戦力は三百余り。

 二千の魔物達と戦うには心許ない。

 どうするかと言えば、地の利を生かすしか無いだろう。


 砦は防御のための施設だ。

 つまり敵の攻撃を待ち、防衛しつつ敵の兵力を削っていくというのが基本的なプランとなる。

 援軍が期待できるなら、何とか持久戦に持ち込むという方法もとれる。

 しかし帝都が陥落するのが前提なのだから、どこから援軍が来るのかという話になる。

 敵を撃破するしか生き残る道は無いのだ。


 まず最低条件として、防衛のためには敵を砦に入れないことが重要だ。

 つまりここで騎兵が死兵となる。

 外に出られない騎兵は何の役にも立たないのだ。


 歩兵は弓を装備し持ち場についた。

 どの程度の練度があるか分からないが、あまり期待できそうに無い。

 理由はハッキリしている。

 先頭のオーク達が大きな盾を装備して隊列を組み、ゆっくり近づいてくるからだ。


 さらに後続のゴブリン達がハシゴのような物を持っている。

 あれで取り付かれたら、砦の中への侵入を許してしまうだろう。

 敵は多少の犠牲が出ようとも、数の差で押し切ることが可能なのだ。


 しばらくすると、こちらの弓の射程に入ったのだろう。

 号令がかかり、弓がほぼ同じタイミングで斉射されていく。

 束になった弓は空で弧を描きながら、雨が降るかのごとく先頭にいるオーク達の部隊に落下していく。

 命中・・・してはいるが、盾を貫通できていない。

 敵の歩に影響を与えることすら無かったのだ。


 このまま行けば負ける。

 俺は確信した。


 さてどうしたものか。

 光魔法で薙ぎ払えば、二千のうち一割ぐらいは倒せるかもしれない。

 もちろん砦にある魔力を使い切ることになる。

 残りの敵は千八百。

 俺は為す術も無く、ここが陥落するのをを眺めることになる。


 氷の魔法を細かく撃っていくべきか。

 距離がありすぎて、ある程度誘導しても、盾で防がれるか剣や斧で叩き落とされるだろう。


 炎の魔法を凝縮して爆裂魔法を放つべきか。

 部分的に敵にダメージを与えることは出来るだろうが、敵の数が多すぎて敵の突入を防ぎ切るには至らないだろう。

 そして最終的に魔力切れだ。


 魔力切れを防ぐために、俺が砦の外へ出て遊撃するべきか。

 敵が一斉に襲いかかってきたら、俺は為す術が無い。

 多少の敵を道連れに、俺もあの世逝きだ。


 魔力の消費を極力抑え、最大限の効果を得る方法。

 それは回復魔法にヒントがあった。

 燃費の悪い攻撃魔法の使用を諦め、味方への補助魔法を使えばいいのだ。


 俺は歩兵達に能力向上の補助魔法を構成した疑似魔術回路を設置していく。

 足下に突然出現した疑似魔術回路に驚いた兵士達だったが、俺が支援魔法だと説明すると納得した表情をしてくれた。

 そして能力強化が発動している兵士の一人が敵に向かって弓を引き絞り放つ。


 矢は・・・敵には当たらなかった。

 通常弓は重力と風向きを考え直線的では無く、ある程度の角度を付けて放つのだ。

 そしてその角度が完全に間違っていた。

 能力強化によって速度を増した矢は、敵の頭上を越え遙か彼方へと旅立っていったのだ。


「そうじゃない、敵を直接狙え。」


 俺は兵士達に叫んだ。

 能力強化済みの兵士達は、角度を付けずに敵を直接狙い弓を引き絞る。

 そして放った。


 矢はオーク達の持っていた盾を貫通する。

 矢を受け呪いのような叫び声を上げるオーク。

 それを見た他の兵士達も、同じように次々に矢を放つ。


 先頭のオーク達が次々に倒れる。

 能力強化の維持に使用する魔力は攻撃魔法ほどでは無い。

 このまま行けば勝てる。

 その時、俺は楽観的にそう思っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ