49 ミーハーになりたい見晴らし
砦に来てから俺は移動を制限されたいた。
イリンの様子を確認したかったのだが向こうから来てくれた。
「ケイス・・・じゃなくてギスケさん!」
泣きそうな顔で部屋に入ってきた。
そこで無理に新たな名前への訂正を入れなくてもいいような気がするが・・・。
「よお、元気そうだな。」
「私は大丈夫です。
それよりトレンテの様子は?」
俺は帝都を脱出するまでの経緯を話した。
おそらくイリンが最も聞きたかったのは、父親であるゼギスが無事であるかどうかだろう。
残念ながら俺はその情報を持っていない。
だから伝言だけ伝えることにした。
「ゼギスから伝言だ。
自分より強くなれとさ。」
「・・・。
分かりました。
私は聖騎士を目指します。」
「いや、女は騎士になれないんだろ?」
「それでもなります。」
「お、おう。
頑張れよ。」
「はい!」
なんだかよく分からないがイリンの進路が決まったらしい。
まあ、俺にはこの国の決まり事などどうでもいい。
どんな柵があるのかは知らないが、もしエスフェリアが皇帝になったら、そんなものはいくらでも変更できるだろう。
突然、部屋の外が慌ただしくなっていることに気がつく。
いや、部屋の外だけで無く、砦の中全体だろうか。
「敵が来たぞ。
魔族だ!」
そんな声が聞こえる。
ついに来たか。
すると一人の兵士が部屋に入ってきた。
「ギスケ殿、こちらへ。
フェルベルド隊長がお呼びです。」
どうやら俺は今回の戦いの頭数に組み込まれたようだ。
俺が兵士の後についていくと、さらにその後ろをイリンが付いてくる。
まあ、俺は別に構わないが、向こうで追い返されても知らないぞ。
そして俺は砦の最上部に案内される。
見晴らしのいい場所だ。
そこにはフェルベルドとケルガがいた。
「ギスケ殿、あれを。」
フェルベルドが指を指した先には、魔物の群れがいた。
その数ざっと二千。
徒党を組んで砦を参拝に来るとは、なかなか熱心な砦信者だ。
「こっちの戦力は?」
「騎兵三十、歩兵三百、その他非戦闘員が二百じゃ。」
ケルガが答える。
「少な。」
「この砦はもともと国内での有事の際の拠点であって、魔族と戦うことを前提にはしていないのです。
ですので戦力的には心許ない状況。
敵の数を考えれば砦に取り付かれた時点で事実上敗北です。
弓での迎撃を試みますが、守り切るためにギスケ殿の魔法の力をお借りしたい。」
フェルベルドが言った。
「分かった。
状況を見ながらこっちで勝手にやるが、構わないか?」
「お願いします。」
そしてクミシュ砦防衛戦が始まる。




