30 約束は守りましょう
ごはん会
討伐した事はしたのだが、残ったのが腕輪だけだったので信じてもらえるか不安だったが、この腕輪を収めた事で納得してくれた。
その手の物は大抵、鑑定を通される物なのだが、これは表の家業は通さなかったらしい。私が解析した所「未来視:残り0回 悪霊:0匹」だったので、ベルジュとの戦闘中に壊れてしまったのだろう。比較的近代の物は、古代文明のものより劣る事が多い。その腕輪も劣化版だったわけだ。
かくして私達は必要経費プラス報奨金でお財布が豊かになったのである。え、指名依頼ってこんなに貰えるの!?これはランクが上のパーティーが金が有るように見える訳だ。しかし、冒険者は装備のメンテナンスで結構お金が飛ぶと聞いた。つまるところ、私にとっては丸々臨時収入になるわけだ、やったぁ!
でも私は平凡な庶民なので、金銭感覚が狂わないように貯金しよう。ようやく淡々とした日常に戻れるのだ。
とにかく事件は終わったという事で、一時的に借りていた家も退去するし、その前にお疲れ様パーティーをする事になった。前にご飯を作る事も約束していたしね。
家に戻ってくると、もはや「帰って来た」とすら思える。
荷物を置くと、ガイアスさんはケーキの調達、三人と私は食材の調達で市場に行く事になった。ケーキの調達というと、あの王室ご用達のケーキが思い出されて、期待してしまう。アレ美味しかったなあ……。
四人に献立の希望を聞くと
「またセルフィちゃんのハンバーグが食べたいわ」
「唐揚げ食べたいです」
「自分はピザがいい」
「俺はコロッケ」
見事にバラけたので、さっさと買い物を済ませて準備を始めないと間に合わない。
それにしても、おかずが茶色すぎないか。わんぱくか?お肉や野菜をみつくろった後に、荷物を持ってもらって帰る。
とりあえず手を洗い、ピザ生地の強力粉、薄力粉ドライイーストを混ぜて捏ねる捏ねる捏ねる。表面が滑らかになったら一時寝かせておくので、その間に玉ねぎを炒め、ジャガイモを茹でておく。別のボウルに牛乳とパン粉が浸しており、玉ねぎの粗熱を取ってから挽肉と混ぜる。こっちはハンバーグ。ジャガイモは茹でたら熱いうちに潰して、挽肉を少し混ぜるてコロッケ分のタネは完成。
玉ねぎを炒めるのとかハンバーグ焼くのとか、細かな準備はセイカさんとイクリスさんも手伝ってくれるので助かる。
ちなみにサーリャさんはテーブルでサラダ作りである。サラダくらいは作れる……よね?
発酵した生地を伸ばしていき愚材を散らしオーブンへGOである。ちなみに、他がお肉ばかりなのでシーフードピザにした。
そちらを焼いている内に、横でハンバーグ係のイクリスさんの焼き加減をチェックしながらコロッケを揚げる。衣がキツネ色になったら完成だ。
美味しくなりました!!
ちなみにここまでの過程でベルジュはピザの打ち粉にダイブして白く粉塗れになったので、水洗いして窓際に干している。少しは反省して欲しい。
オーブンからピザを出し、テーブルに並べる。大皿に乗せて、サラダ以外はバイキング形式だ。しかし、こんな家庭料理で良かったのだろうか。でも”氷雪”の皆が希望するメニューがコレだからなぁ。人様の好みにケチを付ける訳ではないけど、料理がプロ級とかでは無いので喜んでくれるかどうか不安である。
「ただいま」
丁度ガイアスさんが戻って来て、ケーキの到着だ。ああっ、あれも美味しいお店のやつ!入手困難なお店の紙袋を見て拝んでしまう。私、ガイアスさん(のケーキに)着いていきます。
さて、いざ!実食!!
私がドキドキしながら見守っていると
「美味しい、やっぱりセルフィちゃんのハンバーグ最高!」
「やっぱりセルフィさん、料理上手ですね。唐揚げの味と衣美味しいです」
「このコロッケ、ホクホクしてるね。少しお肉も入って……あ、チーズ入ってる!?」
「ピザもいいな、エビがぷりぷりしているのとイカがマッチしている」
どうやら大盛況である。
かなり多めに作ったのだが、みるみるうちに彼らの胃袋に消えていった。冒険者すごいな、胃が底なしだわ。食後に紅茶を淹れてケーキを優雅に食べる。今日の私はチーズケーキだ。
「しかし、今日でここともお別れなのね。また自分の家に戻るとなると、何か寂しいわねー」
「”氷雪”の皆さんは一緒には住まないんですか?」
サーリャさんの呟きに疑問を投げてみる。
「無いですよ。冒険でずっと顔を突き合わせているのって、意外にストレスなんですよ?」
「うちは用事が無ければ、基本個人の自由にさせてるから」
セイカさんとイクリスさんが口々に言うので、サーリャさんはどうなのかと見てみれば
「私も、遊びに出てるの監視されるの嫌いだわ」
こてん。と首を傾げてみせる。
「それはお前が遊び歩いているからだろう……。自分は普段は借りている家に居るが、用事が有れば実家に呼ばれている事も有る。要するに普段はバラバラと言う事だ。冒険しない間も情報収集で集まる日は決めているが」
なるほど。冒険に出ていれば場所によっては24時間一緒に居る事も有る。それなら敢えて普段一緒に住む選択肢は無いわけか。
「あ!でもセルフィちゃんがご飯作ってくれるなら、良い家借り直すわよ!」
ぱあぁっと輝いた笑顔をサーリャさんが向けてくるが、毎日この量のご飯を作るのは困るので、ご辞退申し上げた。男性陣はうずうずしてたけど、見なかったことにしよう。
私は食事も摂らないくせに、いらんことしぃなベルジュの面倒で手いっぱいなのだ。
ここまでで一部完です。すぐに次にとりかかりまっす。
いらんことしい=関西弁らしいですね!知らんかった……。
一緒に登場人物紹介アップしますので、そちらをご参照下さい。
第一部が終わったので、気が向いたら★お願いします。でも、アカウント無いと押せないらしいですね~。
自分も知らんかったです(アカウントだけ持ってた人とは思えぬ発言)ログインしてなくても困らなかったから……。




