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僕の幼なじみは今夜も知らない誰かに抱かれる(R15版)  作者: 碗古田わん


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四、初体験

挿絵(By みてみん)

 加藤(かとう)小春(こはる)と別れた塚田(つかだ)純希(じゅんき)は、私鉄を乗り継いで地元に帰ってきた。

 マンションに着き、エレベーターで三階まで上がる。

 廊下を歩いて、小春の部屋を通り過ぎて自宅の部屋の扉まで来た。

 鍵を使ってロックを解除する。

 それから、部屋の中に入った。

「ただいま」

 だが、返事はない。

 それで純希は今日も母がパートだという事を思い出した。

 そのままリビングには行かず、自分の部屋に入る。

 部屋の隅にリュックを放り投げてから、純希はドサッとベッドに寝転がった。

「小春は今日も仕(・)事(・)か……」

 そして、溜息を漏らす。

(小春が仕(・)事(・)を始めたのは、おばさんの事故がきっかけだ……)

 純希は考えた。

(それは小春の家の事情だし、僕が口を挟む問題では無い……)

 さらに思考は続く。

(でも、僕と小春はエッチする関係だ……)

 思考が迷走を始める。

(だからこそ、小春はちゃんと僕に本当の事を言ってくれたんだろう……)

 迷走した思考は、制御不能になり、後悔を思い出させる。

(もし……僕が小春の恋人になっていたら、小春は仕(・)事(・)の道を歩まなかったのだろうか……)

 そこまで考えて、純希はいつもの答えに辿り着く。

(どうして、僕はあの時、好きって言わなかったんだろう……)


 それは小学校六年生に上がってすぐのことだった。

 純希は部屋に一人きりで、ベッドに横たわっていた。

 念(・)の(・)た(・)め(・)、窓のカーテンは閉められていて、部屋の中は薄暗い。

 スエットズボンはブリーフごと膝まで下げられ、右手は露出した股間を握っていた。

 左手にはスマホを持ち、その画面には淫らに乱れる女性の姿が映し出されていた。

 AVを見ているのだ。

 純希の両親は、フィルタリング機能を設定してなかった。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 荒い息が部屋中に響く。

 右手の動きが速くなる。

 あと少しで絶頂を迎えようとしたとき、

「純希?」

 突然、小春が部屋に入ってきた。

「わぁ-!」

 驚いた純希は、スマホを落っことした。

 衝撃でヘッドホンが外れ、女性の淫らな声が部屋中に響く。

「純希……」

 小春は目を丸くして驚いた。

「こ、小春……!」

 慌ててズボンとブリーフを同時に引き上げながら、純希は気まずそうな顔をした。

「ノックぐらいしろよ!」

「したよ」

 気まずすぎて逆ギレする純希に、小春は反論した。

「でも、返事がなかった」

 ヘッドフォンで耳を塞いでいたので、ノックに気付かなかったのだ。

 ついでに、いつもはロックしておく部屋の鍵も今日はかけ忘れていた。

「純希も男の子なんだね」

 部屋に入った小春は、静かに落ちたスマホを拾うと、動画を止めた。

 そして、起き上がった純希の隣に座る。

「別に恥ずかしいことじゃないよ」

 それから柔らかく微笑んだ。

「年頃ならみんなしてるし」

 しかし、その優しさが今の純希にはいたたまれなかった。

「…………小春もするのかよ?」

 なので、ふてくされながら余計なことを聞いてしまう。

「するよ」

「えっ?」

 あっさり答える小春に、純希は呆気にとられた。

「あたし、人より性欲が強いみたいなんだ」

 幼なじみの思わぬ告白に、純希は唖然となった。

「だから、今も興奮してる」

 小春は笑みを零しながら、あっけらかんと言った。

「だから、ね……」

 小春は身体を横にずらして、純希に近づいた。

「二人ですれば、もっと気持ちいいと思うんだ」

 肩と肩が触れ、微かなと吐息が聞こえる。

「だから、しよ?」

 潤んだ瞳で見詰められて、純希は小春の誘惑にあらがえなかった。


   ♢♦♢♦♢♦


「はぁ……はぁ……はぁ……」

 荒い息のまま、二人は放心状態になっていた。

「ちゃんと外に出してくれたんだ……♡」

 絶頂の余韻に浸りながら、小春は聞いた。

「まぁ、ね……」

 すると純希は照れくさそうに顔を背けた。

「気持ち良かったね♡」

 小春はまだ蕩け顔のままで言った。

 純希は言葉無く頷く。

「また、しようね♡」

 それにも純希はコクッと頷いた。

 こうして二人は放課後、身体を重ねる関係になったのだが……。

(どうして、あの時、好きって言わなかったかなぁ)

 メルセデスAMGクーペのサイドシートで小春は頭を抱えた。

「どうした?」

 運転していた剣(つるぎ)銀治郎(ぎんじろう)は、そんな小春の様子を気にした。

「ううん、なんでもない」

 それに小春は首を横に振った。

(結局、好きって言いそびれたから、あたしと純希の関係は曖昧になっちゃたんだよなぁ……)

 小春は、溜息をついた。

(今更、好きって言うのは遅いよね……こんな仕(・)事(・)、始めちゃったし……)

 純希が自分の仕事のことをよく思ってないのは薄々感ずいていた。

(もし、仕(・)事(・)を始めなければ、別の未来もあったのかな……?)

 小春はまた一つ、溜息をついた。

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