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僕の幼なじみは今夜も知らない誰かに抱かれる(R15版)  作者: 碗古田わん


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二十五、下野薫救出作戦

挿絵(By みてみん)

 翌朝。

 いつもの時間に起きた加藤(かとう)小春(こはる)は、朝の身支度をした。

 が、そこで行き詰まった。

 今日は、下野(しもの)(かおる)という荷物を抱えていたからだ。

「あたしだけ、朝食って訳にもいかないよなぁ」

 仕方なく、塚田(つかだ)純希(じゅんき)にメッセを送る。

 『委員長が一緒だから、朝食には行けない』と。

 すると、すぐにメッセが返ってくる。

 そこには、『もう五人分用意しちゃった』と書かれていた。

 続いて『おいで』と二人を誘うメッセが送られてくる。

「甘いなぁ」

 それを見た小春は、溜め息をついた。

 だが、その甘さが純希の魅力であることも小春は知っていた。

 部屋を出た小春は、リビングへと向かった。

 そこには、制服に身を包んだ薫がソファーに座っていた。

 制服は夕べの内に乾燥機から出して、アイロンを掛けた。

 そのため、ほとんど寝られなかったが、不思議と眠くはなかった。

「純希ん家で朝ご飯食べるから、一緒に行くよ」

「えっ!?」

 小春の言葉に、薫は驚きの声を上げた。

「いいの?」

 それから遠慮がちに聞く。

「純希から誘ったから大丈夫」

 それに小春は太鼓判を押した。

「行くよ」

 そして、機微を返すと玄関へと向かった。

「待って!」

 薫は慌ててソファーを立つと小春を追った。

 薫のローファーは乾いていなかったので、小春は自分の予備のスニーカーを貸した。

 そのまま二人は加藤家の部屋を出ると、隣の塚田家の部屋の前に立った。

 インターフォンを押す。

『はぁーい』

 すると、すぐに塚田(つかだ)希美(のぞみ)が返事をする。

「小春です」

 インターフォンのカメラで相手は誰だかわかっているはずだが、それでも小春は名乗った。

『今、開けるわね』

 トタトタと音が近づいてきて、玄関のドアが開けられる。

「いらっしゃい」

「おはようございます!」

 出迎えた希美に小春は元気に挨拶した。

「お、おはようございます!」

 それを見た薫も慌てて挨拶する。

「おはよう」

 そんな二人に、希美は慈愛たっぷりの微笑みを返した。

「あなたがコハちゃんのお友達ね?」

 それから薫に聞く。

「えーっと……」

 その言葉に薫は言い淀んだ。

「事情は聞いてるわ」

 だが、その答えを待たず、希美は話を進めた。

「さぁ、入って」

 そのまま二人を招き入れる。

「お邪魔します!」

 これまた元気よく小春は玄関に上がった。

「……お邪魔します」

 それに対して薫は、遠慮がちに玄関に上がった。

 ダイニングに行くと、そこには純希と塚田(つかだ)純生(すみお)がテーブルについていた。

「おはようございます!」

 ここでも元気よく、小春は挨拶した。

「お、おはようございます」

 小春の元気さに圧倒されながら、薫はテンパり気味に挨拶する。

「おはよう」

 純生はタブレットでニュースをチェックしながら、寡黙に挨拶した。

「おはよう、小春、委員長」

 一方、純希は笑顔で挨拶を返した。

「委員長?」

 茶碗を運びながら、希美は首を傾げた。

「あっ、それはあだ名で……」

 それを聞いた純希は、説明しようとした。

「下野薫です!」

 それより先に薫が頭を下げる。

「薫ちゃんね」

 希美はニッコリ微笑んだ。

「そこに座って頂戴」

 それから、テーブルの縦側に置かれた予備のイスを勧める。

「はい」

 まだ緊張しながらも、頷いた薫は席に着いた。

「いただきます」

 希美が席に着くのを待ってから、五人は朝食を始めた。

 塚田家で取る朝食は、薫にとって夢のような時間だった。

 談笑したり、テレビの話題で盛り上がったりと絵に描いたような一家団欒だった。

 朝食も家族別々の下野家では考えられない光景だった。

 朝食が終わる頃には、薫は寂しささえ感じた。


 朝食が終わり、歯磨きも済ませて――――薫の分は予備を出した――――登校する時間になった。

「お弁当、持っててね」

 すると希美は、いつもの純希と小春の分に加えて、薫の分も差し出した。

「えっ?」

 薫は反射的に固まった。

 今日はコンビニでパンでも買おうと思っていたからだ。

「お弁当箱が純ちゃんの予備しかなくって、男の子のみたいなお弁当になっちゃたけど」

 希美は少し困ったような顔をした。

「いいんですか?」

 至れり尽くせりの対応に、薫は思わず聞いてしまった。

「もちろん」

 それに希美は慢心の笑顔を浮かべる。

「ありがとうございます」

 丁寧に頭を下げてから、薫は弁当を受け取った。

 そして、三人は塚田家の部屋を出た。

「とりあえず、学校ではいつも通り過ごして」

 登校途中で、小春は薫に指示した。

「神谷先輩から連絡が来たら?」

 薫は、神谷(かみや)海斗(かいと)を恐れるように聞いた。

「従うフリをして」

 それに小春は、真剣な目で答えた。

「多分、放課後までには銀兄ぃから連絡があるはずだから」

 それは半分は小春の憶測だったが、それでも薫を安心させるために力強く言った。

「決まれば、あとは銀兄ぃがなんとかしてくれるはず」

「わかった」

 薫もまた真剣な目で頷いた。


 (つるぎ)銀治郎(ぎんじろう)から小春にメッセが入ったのは、ちょうど昼休みになったときだった。

 小春は周りにバレないように、薫にソッとメモを渡した。

 メッセのIDはバタバタしていたので、交換し損なっていたのだ。

 メモ通り、薫は階段の踊り場まで来た。

 そこには小春の他に、メッセで呼び出された純希の姿もあった。

「事務所の代表からOKがでたって」

 開口一番、小春は結果を伝えた。

「本当!?」

 薫は驚きと安堵が入り交じった声を上げる。

「本当は、()()との面談があるんだけど、緊急案件の特例で今日にも保護してくれるって」

 それに小春はメッセでやり取りした内容を説明する。

「放課後、()()()のスタッフが迎えに来るから、心しておいて」

「わかった」

 小春の言葉に、薫は頷いた。

「よかったね」

 それを聞いた純希は笑顔を零した。

「ありがとう、塚田」

 薫はホッと胸を撫で下ろした。

「あと、加藤も」

「別に、下野のためじゃないから」

 恋敵(ライバル)にお礼を言われて、小春はツーンとした。

 裏表のない小春にしては珍しいことだ。

”ブルッ”

 そのとき、薫のジャンパースカートのポケットが振動した。

 一同が顔を見合わす。

 純希が頷いたのを見て、薫はスマホを取り出した。

 案の定、海斗からのメッセだった。

「放課後に家まで来い、だって」

 メッセを読み上げてから、薫は不安になった。

「どうしよう?」

「とりあえず、従うフリをして」

 それに小春は、指示する。

「無視して、直接来られたら面倒だから」

「わかった」

 薫は真剣な顔で頷いた。


 放課後になった。

 薫は、純希、小春とともに校門を出た。

「あっ……」

 すると、小春が声を上げる。

 校門のすぐ先に黒のメルセデスAMG・GT63SEパフォーマンス4ドアクーペが停まっていたからだ。

 銀治郎の車だ。

 小春がドライバーズシート側の窓をコンコンと叩くと、窓が開いて銀治郎が姿を見せた。

「とりあえず、乗ってくれ」

 銀治郎の指示で、純希、小春、薫の三人はリアシートに乗り込んだ。

「ちわーっす」

 するとサイドシートから青年が挨拶した。

 年の頃なら二十代半ば。

 ロン毛の茶髪の一部をショートポニーにして人なつっこそうな顔をしたチャラ男だ。

「鋼君!」

 小春は驚いたように青年を見た。

「久しぶりっすね、コハちゃん」

 青年はニンマリと笑った。

「この男性(ひと)は?」

 純希は小春に聞いた。

 ()()()には何度も遊びに行っているが、会ったことがなかったからだ。

(かぶと)(はがね)君」

 それを受けて小春は紹介した。

()()()のスタッフだよ」

「君が塚田純希君っすか……名前はコハちゃんから聞いてるっす」

 鋼の言葉に、純希は無言で会釈した。

「そして、君が下野薫ちゃんっすね?」

 それから鋼は、薫に聞く。

「……はい」

 陽キャラオーラ全開の鋼に圧倒されながらも、薫は怪訝そうに答えた。

「俺、下野ちゃんのボディガードに選ばれたっす」

 あくまでチャラく鋼は言った。

「よろしくっす」

「……はぁ、はぁ……」

 それに対して薫は、若干引き気味だった。

(相性最悪だなぁ)

 そのやり取りを見た純希は、心の中で冷や汗笑いした。

「でっ? 状況はどうなってる?」

 一通り顔合わせが済んだところで、銀治郎は聞いた。

「例の男子生徒から、今日も呼び出しがあった」

 それには小春が答えた。

「下野の家は……帰ってないからわからない」

 そう言った小春は、薫を見た。

 薫は無言で頷いた。

「ふむっ……」

 小春の報告を聞いた銀治郎は、思案した。

「男子生徒の方から決着(ケリ)をつけよう」

 そして、方針を決める。

「できれば、()()を押さえたい」

 銀治郎は薫に聞いた。

「もう一度、()()をすることはできるか?」

「できます」

 それに薫は気力充分に答える。

「では、段取りはこうだ」

 薫を見た銀治郎は、()()を説明し始めた。


 海斗の家まで一人で来た薫は玄関のインターフォンを押した。

『おう、来たか』

 すぐに海斗がインターフォンに出る。

 ドアの鍵を開けて、海斗は応対に出た。

「上がれ」

 と言って、海斗は海斗はすぐに背を向ける。

 それを確認してから、玄関のドアを閉めた薫は、鍵は掛けずに廊下に上がる。

 そのまま二人は二階へ上がり、海斗の部屋に入った。

 そこには男子生徒が立っていた。

「こいつが、今日の()だ」

 海斗は男子生徒を親指で指さした。

「福山誠です」

 誠は緊張気味に頭を下げた。

「よろしくね」

 それに薫は微笑んで応える。

「……?」

 いつもならイヤイヤ答えているのに今日は余裕そうなので、海斗は訝しんだ。

「じゃあ、こいつを……」

 それでも海斗はいつもように媚薬入りのオレンジジュースを飲ませようとした。

「今日はいいわ」

 しかし、薫は断った。

「その代わり、たっぷり前戯してね」

 と、誠に微笑んだ。

「はい!」

 その言葉に誠は直立不動になって応えた。

「……」

 その態度に海斗はますます訝しんだ。

(そう……これは予行練習)

 薫は思った。

(ここで媚薬に頼ってたら、おじさんの相手なんでできない……)

 そして、自分自身に言い聞かせる。

「さぁ、脱ぎましょう」

 なので、薫は積極的に誠を誘った。

「ひゃい!」

 誠は声を裏返しながら、応えた。

 それを可愛らしく思いながら、薫は制服を脱ぎ始めた。

 ブレザーを脱いだ薫は、それを丁寧に畳んで床の上に置く。

 続いて、ジャンパースカートの横のファスナーを下ろした。

 左肩のスナッポボタンを外して、足から抜く。

 脱いだジャンパースカートは畳んで、ブレザーの上に置いた。

 それから薫は、ブラウスのボタンを外した。

 全部外し終わると、ブラウスを脱いで畳んでから制服の上に置く。

 ブラ透けよけのキャミソールの裾を掴んだ薫は、一気にたくし上げた。

 薄いブルーのスポーツブラと飾りっ気のない白いショーツが露わになる。

 その姿に誠は思わず、手を止めた。

 誠の視線は感じていたが、薫は躊躇なくスポーツブラを頭から脱ぐ。

 最後にショーツを脱いで、足から抜く。

 慌てて誠も残りの衣服を全部脱いだ。

「おいで……」

 ベッドに寝転がった薫は、誠を誘った。


 ♢♦♢♦♢♦


「お見事だ」

 それまで二人が()()のを見ていた海斗が手を叩いた。

「媚薬がなくてもできるじゃん」

 海斗はそれを素直に褒めた。

「そうね」

 息を整えながら、薫は頷いた。

「この世界で生きていくって決めたから」

「なに?」

 だが、海斗はわからないような顔をする。

「確かにお見事っす」

 と、突然、ドアが開いた。

 そして、男性二人が入ってくる。

 銀治郎に鋼だ。

「誰だ!?」

 驚いた海斗は、警戒した。

「下野ちゃんのボディガードっす」

 それに鋼は、奥目もなく言った。

「貴様が神谷海斗だな?」

「そうだけど?」

 鋭い眼光で見られ、ビビりながらも、海斗は虚勢を張った。

「下野薫は我々の保護下に入った」

 銀治郎は、海斗を睨みながら言い切った。

「身柄を引き渡してもらおうか」

 そして、迫る。

「もちろん、動画は消してもらうっす」

 そこに鋼が付け加えた。

「はぁ?」

 その要求に、海斗は眉を顰めた。

「いきなり不法侵入してなに言って……!?」

 イキる海斗に、銀治郎は素早く間合いをつめると、手刀を喉元に突きつける。

「我々は交渉に来たのではない」

 銀治郎は断言した。

「今すぐ、下野薫を解放しろ」

「くっ!」

 脅しを掛ける銀治郎をバックステップでかわした海斗は、服を着ている最中だった薫をギッと睨みつけた。

「裏切ったな!」

 そして、ポケットからスマホを取り出した。

「そんなに有名人になりたきゃ、してやるよ!」

 あらかじめ裏で立ち上げていたアップローダー画面を呼び出すとアップロードボタンを押す。

「!?」

 しかし、回線エラーでアップロードできない。

「な、なに!?」

 焦った海斗は、何回もボタンを押した。

 だが、ネットに繋がっていない、とエラーが出てアップロードできない。

 そこで海斗は、スマホのアンテナが圏外になっていることに気が付いた。

「何度やっても無駄っすよ」

 そこに鋼が追い打ちをかける。

「この辺りのネットは妨害電波(ジャミング)で遮断してるっすから」

「なっ……」

 海斗は、驚愕した。

「素直にスマホを渡してもらおうか」

 銀治郎が再度要求する。

「それとも、ちょっと痛い目に遭うっすか?」

 鋼は笑みを浮かべながら、指を鳴らした。

「くっ……」

 その目が本気だとわかって、海斗は渋々スマホを銀治郎に渡した。

 銀治郎にアイコンタクトされ、鋼はポケットに入れていた妨害電波発生装置(ジャマー)をオフにする。

 電波が回復したのを確認してから、銀治郎は()()()()()()()()から削除ツールをダウンロードした。

 そして、削除ツールを使って、動画をクラウドも含めて復元不能なまでに削除する。

 それから、削除ツールをバックドアに残してアンインストールした。

「いいか少年」

 スマホを海斗に投げ返してから、銀治郎は冷たい声で言った。

「今後、下野薫への手出しは無用だ」

 そして、警告する。

「もし、手を出したら我々があらゆる手段を用いて報復する」

 銀治郎は、鋭い眼光で海斗を睨んだ。

 それにビビり、海斗はコクコクと頷いた。

「返事は、はい、っすよ?」

 鋼もやはり鋭い目つきで睨みをきかす。

「は、はい!」

 思わず直立不動になって、海斗は返事した。

 その態度に銀治郎は満足そうに頷いた。

「撤収だ」

 既に制服を着ていた薫に、銀治郎は声を掛けた。

「はい」

 薫は、頷いた。

「さよなら、先輩」

 悔しそうな顔をしている海斗の横を通り過ぎるとき、薫は別れを告げた。


 神谷家から少し離れた場所に駐車していたGTに薫と銀治郎と鋼は乗り込んだ。

「どうだった?」

 待っていた小春が身を乗り出して聞く。

「全部、うまくいったっす」

 それに鋼が親指を立てる。

「よかったぁ」

 小春はホッと胸を撫で下ろした。

 その様子を薫は意外そうな顔で見た。

 視線に気付いた小春は、なに? と首を傾げた。

「いえ……心配してくれるんだ、と思って」

「そりゃね」

 小春はほんの少しだけ照れた。

「いろいろあったけど、今は仲間だから」

 その言葉に薫は目を丸くした。

「……ありがとう」

 それから素直にお礼を言った。

「次は下野(しもの)(しげる)だな」

 ドライバーズシートで銀治郎はスマホを確認した。

「今は会社にいるみたいだ」

 茂のスマホに仕掛けられたバックドアには、位置情報(GPS)も読み取れるようになっていた。

 それによれば、茂は現在、六本木の会社内に居た。

「とりあえず、()()()に向かおう」

 銀治郎は段取りを指示した。

「そこで、兜は彼女と下りて、基本的な手続きをしてくれ」

「了解っす」

「その後は、彼女の新しい住居だ」

「それも了解っす」

 銀治郎の言葉に、鋼は頷いた。

「自分はその足で、下野茂に会いに行く」

「あたしたちは?」

 小春は銀治郎に聞いた。

「彼女についていてやってくれ」

 少し考えてから、銀治郎は言った。

「うん」

 それに小春は首を縦に振った。

「それでは行こう」

 銀治郎はアクセルを踏んで、GTを発進させた。

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