二十、海斗の悪行
あれから一週間が経った。
「委員長の元気がない?」
いつものように一緒に下校していた塚田純希は、加藤小春の言葉に素早く反応した。
「うん……」
それに小春は曖昧に答える。
「無視されてるのは相変わらずなんだけど、なんか寝不足みたいで、授業も上の空なんだよねぇ」
「あの下野が、か……」
一年生のときの下野薫を知っている純希は、神妙な顔になった。
品行方正を絵に描いたような薫が、生活リズムを崩すとは考えにくかったからだ。
「また、なにかトラブルに巻き込まれてるのかな?」
純希は独り言のように呟いた。
「かもね」
それに小春は頷いた。
「でも、あたしたちには関係ない話だから」
そして、突き放す。
小春は基本的に人がいい。
だが、相手は自分を一歩的に嫌っているのだ。
助ける義務はない。
「まぁ、そうなんだけどね」
純希もそれをわかっているから、肩を竦めることしかできなかった。
(それでも……気になるなぁ)
これまた人がいい純希は、そんなことを思った。
翌日の昼休み。
薫は、自分の席で弁当を食べていた。
隣の席の小春は、親友の山野美都子と別の席で弁当を食べている。
”ブルッ”
すると、薫のジャンパースカートのポケットにしまってあるスマホが震えた。
(誰だろう?)
スマホを取り出し、画面を確認する。
「……」
送信者の名前に薫はげんなりとした。
それから、急いで食べかけの弁当を畳んで、席を立つ。
そして、教室を出た。
(委員長……?)
そんな薫の様子を、小春は気にした。
「どうしたの?」
と、美都子も小春につられて、教室の出入り口を見る。
「ううん、なんでもない」
自分には関係ない。
そう言い聞かせる小春だった。
薫はメッセで指定されたとおり、第一校舎の空き教室まで来た。
そこには、神谷海斗が待っていた。
「来たか」
待ちわびたように海斗は口角を上げた。
「何の用ですか?」
そんな海斗を薫はギッと睨みつけた。
「俺がおまえを呼び出す理由なんて一つだろう?」
海斗は不敵に笑った。
「ここでするんですか!?」
突拍子もない提案に、薫は嫌がった。
「学校の教室で、一人でしてた奴の言う台詞じゃないな」
だが、それを海斗は鼻で笑った。
「そこの机に手をついてケツを出しな」
それから命令する。
「……」
既に抵抗は無駄だと諦めていた薫は、言われたとおりに机に手をつき、臀部を海斗の方に突き出した。
それに満足そうな笑みを浮かべた海斗は、薫のスカートをめくり上げると、ショーツを下ろした。
そして、自分もズボンのファスナーを下げると、海斗自身を取り出した。
♢♦♢♦♢♦
「しかし、おまえ、もう少し色っぽい声とか出せないのかよ?」
身なりを整えながら、海斗は聞いた。
「感じてないのに、声なんて出せません」
同じく身なりを整えながら、薫は答える。
「もしかして、不感症か?」
「それはあなたが……!」
そこまで言って、薫はしまったと思った。
「俺が、なんだって?」
それを聞いた海斗は、鋭い目つきで問いただす。
「……好きでもない人としても、感じないわ」
薫はモゴモゴと口の中で文句を言った。
「ああっ」
聞こえないかと思ったが、海斗の耳にはしっかり届いていた。
「そういうことか」
薫の言い分に、初めて気付く。
「なら、次は強引にでも感じてもらうからな」
「……」
海斗の言葉に、不安を感じる薫だった。
結局、五時限目の授業はサボり、六時限目前の休み時間に薫は教室に戻った。
自分の席に座ると、隣の小春が訝しげに自分を見ていた。
それを無視して、次の授業の準備を始める。
すると、美都子が寄ってきた。
「五時限目はどこに行ってたの?」
「お腹が痛くて、保健室で休んでたの」
美都子の問いに、薫は嘘をついた。
「……」
それを聞いた小春は、違和感を抱いた。
しかし、その理由まではわからなかった。




