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9.おチビちゃんの挑戦その1-2

「大丈夫かっ?!」

「いったぁ……」


 慌てて駆け寄り、靴と靴下をかかとあたりまで脱がせる。


「ちょっとっ、なにす」

「動くな」


 騒ぐチビすけを黙らせ足首にそっと触れると、既に熱を持ち始めていた。


「捻挫だな」

「えっ」

「帰るぞ」


 捻挫は、冷やして患部を動かさないことが一番だ。できればすぐにでも湿布をして、固定した方がいい。可能であれば、整形外科などで治療を受けた方が、なおいい。

 中学時代に部活で何度か捻挫をした事があるから、よく分かる。

 大したこと無いからと放置しておくと、悪化して後遺症が残る事もある。

 俺のように。

 俺は、中学時代に部活のサッカーの練習中に捻挫をし、放置して悪化させたせいで、もう以前のようにサッカーをすることができなくなっていた。

 だから、高校では気ままな帰宅部。

 別に、挫折して人生を投げた訳ではない。

 今の状況は、それはそれで気楽で気に入っている。

 ただ、おチビちゃんは、高飛車で強引で減らず口ではあるが、一応女子だ。

 後遺症なんて、残らないに越したことはない。

 それに。

 これ以上歩くのが遅くなると、合わせるのも大変だ。

 ……なんか、今後もずっと一緒にいる前提で考えてないか?俺。

 ともかく。

 見たところ軽い捻挫のようではあったが、万が一の事を考えると、このまま放置する訳にはいかなかった。


「なんでよ。これくらい、大したこと」

「いいから、帰るぞ」


 まだ立てない状態のおチビちゃんの前に屈み、背中を見せる。


「乗れ」

「えっ?」

「歩けないだろ、そんなんじゃ」

「だから大丈夫だって」

「いいから乗れ」


 彼女なりに意地があって、葛藤をしていたのか。

 それでも、しばらくするとモゾモゾと動きだし、俺の肩に手がかかった。


「変なところ、触らないでよ」

「誰が触るか」


 そのまま、体重が掛けられたのを確認し、俺は立ち上がった。

 予想以上に、軽い。

 まるで、小さな子供を負ぶっているようだ。

 ……体形的には、小さな子供とそう変わらないのだから、当たり前ではあるが。


「家まで送るから、着いたらすぐ応急処置しろよ。病院やってるようだったら、診てもらった方がいい」

「……うん」


 公園から駅まではおチビちゃんを負ぶって歩き、さすがに駅と電車内では下ろしたが、彼女の足に負担を掛けないように体を支え、彼女の家の最寄り駅から家まで再び負ぶって歩いた。

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