オリエンテーション ①
う〜ん眩しい
太陽の光が顔にあたって眩しくて目を覚ます。
『あ、そうだたまご!』
珍しく1人で朝起きてカンガルーのぬいぐるみに入れたたまごを取り出して丁寧に拭く。
『早く生まれないかな〜』
「優ちゃん!朝だよー」
階段を上る夏希の声がして慌ててたまごをカンガルーのぬいぐるみの中へ戻す。
温めるためにカイロ入れたしすぐに生まれそうだな
「入るよー起きてる?」
『起きてるよ!おはよぉ』
部屋の中に入ってきた夏希に挨拶をする。
「おー珍しい優ちゃんえらいね!」
いきなり夏希が飛びついてきて優希の頭を撫で回す。
『離れてよ!暑苦しい』
「えーどうしようかな〜優ちゃんから抱きついてくれるなら考えてもいいけどな〜」
ニヤニヤしながら僕を見てくる。すごくめんどくさい見る限り抱きつかなかったらほんとに離れてくれ無さそうだ。
『ん!』
夏希に軽く抱きついてわざと体重をかける。
ふっどうだ!
「可愛い〜よしよし」
逆に夏希のテンションをあげてしまったらしい抱きしめる力が強くなった。
『は〜な〜し〜て〜』
夏希の頭を必死で押し返すと渋々という感じで離れていく
「仕方ないな〜また今度にするよ」
『朝から疲れた。また今度ってもうさせないからな!』
「はいはーい、わかったわかったじゃあ下に降りようか」
夏希は流されるように返事をしているが本人からは冗談を言ってるようにしか思えない。考えても仕方ないので下に降りることにした。
「あら、おはよう早かったわね」
『起きてたからね!』
「珍しいよね」
リビングに入りご飯の用意をしていたお母さんに挨拶をする。
「今日は学校でしょう、早くご飯食べなさい。」
『朝は食べないって言ってるのに…』
「もう、ゆうちゃんためだよ!ただでさえ女の子になってから食欲落ちてるのに!」
『男から女になったんだから食べる量も減るよ!』
全く僕をなんだと思ってるんだよ
「男の時から女の子と同じくらいか少し多いくらいしか食べてなかったから、これじゃ食べなさすぎて心配たよ!」
夏希がそう言いながらこのくらい食べろと言うかのように目の前にご飯を置いていく。だが、前食べていた時より減っているので夏希なりの配慮だろう。
夏希が怖いのでしぶしぶ食べる。
『なんか昔より野菜の率が高くなってる…』
「あんまり食べない人が文句言わないでくださーい」
「そうねぇ、食べない分栄養も偏るからこれは夏希の言う通りね」
むっ、何も言い返せない
『ご馳走様』
黙々と食べ続けて席を立とうとしたら、素早く手を掴まれて座り直される。
「残してるよ!」
『おなかいっぱいだから仕方ない!』
「野菜だけ綺麗に残していなければ仕方ないと思うけど、さすがにアウト!これだけでも食べて」
そして食べる分と食べない分を分ける。
『多い!!』
「全部食べたいの?ほら、あ〜ん」
『絶対むっ!?うぇ』
喋ってる間に口にご飯を入れられ、涙目のままだべる
『なにすっ!』
さっきと同じ手口で口の中に放り込まれる。
「あと少しだよ」
『もう無理だから〜』
「あ、ゆうちゃん待って」
制止の声をを聞かずに全力で部屋に逃げ込み、学校へ行くギリギリまで部屋から1歩も出なかった。




