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弱さという罪

ナッチェは空腹を満たしたことで人心地着いたのか、眠った。

他人の生活にアレコレと口を挟むつもりはないが、決して豊かな生活をしていたわけではなさそうだ。


アイシャは、ただ、哀しかった。

ナッチェから直接聞いたわけではないが、獣人の多く、特に力の弱い者達は迫害される。

珍しいから、人とは少し違うから、目を引くから、理由は様々だが。


弱いということは、それだけで罪なのか。

何時もそれが目の前に立ち塞がる。

シャアリィは、私の考えを見抜き、又、呆れるだろう。

しかも、今は自分たちの尻にも火が着きそうな状態だというのに、知り合ったばかりの他人の人生に首を突っ込もうとしているのだ。

アイシャは虚ろな瞳でそんなことを考えていた。


シャアリィはあらゆることが気に入らなかった。

ほんの少し気を許せば、全てが毟り取られるような世界で、自分は何を大切にすればいいのか、わからない。

ただひとつ、わかっていることはアイシャだけは失いたくない、それだけ。


「教会なら、ナッチェの姉の行き先を知っているはず」

「既に手遅れかも知れないけれど、ね」


手遅れという言葉だけが、何故か信憑性が高いことを二人は理解している。


「私は、こんな黒猫のことなんてどうでもいい」

「でもね、アイシャがそんな顔をしているのが我慢ならないの」

「何度でも、命くらい掛けてあげる」


この世界で生きる上で最も敵にしてはならないのが教会だ。

言葉ひとつ違えたなら、不信心のレッテルを貼られ、次は国外に逃げるしかなくなる。


「夜が明けたなら、教会を訪ねましょう」


アイシャは、ただ、シャアリィの言葉に頷いて身体を丸めた。


・・・


夜が明ける。

ナッチェの案内で仕事を受けている教会に足を運び、まだ姉が戻らないことを告げた。


「そうか・・・まだ戻ってないか・・・無事だといいんだが」


アイシャは教会の神父だという男から、罪悪感の匂いを感じ取っている。

しかし、藪から棒に問い詰めれば、筋書き通りの最悪を選択することになる。

アイシャの怒気が漏れる前に、決着を付けなければ・・・


シャアリィが神父の前に跪いて、目に涙を浮かべながら嘆願する。


「このコには姉しか身寄りがないのはご存知でしょう?」

「神父様に必要なものを用意すると約束しましょう」

「是非、ご慈悲を示して頂けないでしょうか」

「冒険者如きの身の上ですが、魔石千個程度ならば遠からずご用意致します」


神父の胸にぶら下がっているのは聖職者の証、銀枠純金十字。

シャアリィは、心の中で叫ぶ。


(お前が欲しいものを揃えてやるって言ってんだよ。

ほんの少し、口を滑らすだけだろうが)


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