中国古代の王朝~「商」と「漢字」~
商王朝が発明した物の中に「漢字」があることは前に書いた。いわゆる「四大文明」とよばれる古代文明が使っていた文字の中で、唯一現代に残っている文字でもある。
「漢字」というからには「漢帝国」と係わりがありそうだが、漢字の始まりには全く関係がない。古代中国では単に「字」か「文字」と呼んでいたであろう。漢字の成り立ちは諸説あるが、今現在は白川静博士の解説が一番信頼性を得ているようである。だが、他に様々な説がなりたつのも漢字の魅力だろうと思う。なにしろそこに正解はないのだから。
漢字の数は今や100000字にもなるという。この多様性こそが漢字の凄さであろう。「部首」「扁」「造り」一つ一つに意味を籠めることによって、新しい文字を創る事が容易になるのだ。この「部首」等の開発は、漢字が神と対話をするためのツールとして必要であったからと思われる。人間同士であれば言葉が通じなくても、ジェスチャーや物を指し示すだけでそれなりに通ずる物がある。しかし、祭神に対しては直接会話も対面もできないわけであり、何か物を通して会話をする必要がある。神は人間の都合で動かない存在なのだから、こちらの願いを神に捧げる時は、神に人間の要望を分かりやすく伝える必要があったろう。また、神からのお告げを読み取るときには、神の意思を誤解するわけにはいかないので、正解に読み取るための物を必要としたであろう。その時に曖昧な表現の者では解釈が異なってしまう。楔形文字では書き方次第で、後で見た者が間違いそうである。そこで、身近なものや人間の動作、動物等の形を文字にして、一文字で意味を持たせることにより、より正解な言語を創ろうとしたのではないか。そして神の啓示が来る際に、どんな言葉でも対応できるように、沢山のツールを用意して臨機応変に漢字を創り出していったのではないだろうか。
それにしても「白」が頭蓋骨からきているとなると、王宮の中にも身近に頭蓋骨があったということとなる。おそらくは儀式に使ったものであろうが、やはり商王朝は血腥い王朝だと言わざるをえない。




