史記~史記の書式~
史記には様々な特徴があり、史記から始まった物もある。そのなかで「紀伝体」という記述を初めて導入したのが史記である。というより、史記によって創られた形式というべきか。史記の内容は、主に王、皇帝クラスの伝記である「本紀」、諸侯クラスの「世家」、将軍や著名人クラスの「列傳」、王家の家系図などの「表」、儀式や礼法を記述した「書」である。この中の「本紀」と「列傳」の文字をとり「紀伝(傳)体」と呼ぶようになった。
そのうち「本紀」、「世家」、「列傳」は、年表形式ではなく人物本位の書き方となっている。やはり「史記」の面白さは、人への関心の高さであろう。「李陵の禍」を経て、本当の悪を知った司馬遷は、歴史上悪人とされたものは本当にそうであったか、後世悪とされた行為はどうだったのか、そこに余計な先入観を入れずに筆致している。冤罪や権力者に嵌められた人物の描写は力を籠めているが、基本的には極めて平易に書かれている。
漢王朝にとって厄災のような「呂氏」や劉邦と覇を争った「項羽」を「本紀」に入れたり、人びとにとっては悪であるはずの「酷吏(酷い役人)」や暗殺者たる「刺客」を「列傳」に取り上げる史書はなかなかないだろう。刺客に関しては、その中の一人が映画にまでなっているのだから、司馬遷の人物描写は現代まで通用するということなのだと思う。




