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勉強しろと人は言うが、勉強するなとは誰も言わない

国王「子供に『なんで勉強しなきゃいけないか』って聞かれた時にどういう返事を返せばいいかを考えよう」


イナカ「それについて国民の何割が悩んでて、何割が犠牲になってるんですか?」


国王「国民の3割が悩んでて、そのうちの3割がうまく答えられないことを理由に自殺未遂まで陥っている」


イナカ「へぇ、エルム王国にしては普通ですね」


マリア「イナカさんもこういうのもずいぶん慣れてしまったのね」


サンダー「いちいち怒鳴るようにツッコミをしていたのが懐かしいな」


国王「だが、初心は忘れてはいけんぞ。思わぬところで足をすくわれてしまうから」


クルス「その通りですね。初心忘れるべからずってよく言いますしね」


国王「と、いうわけで、久しぶりに思いっきり叫ぶようにツッコミをやってみないか?」


イナカ「こんなクソみたいな国民のために消費するエネルギーなどありません」


サンダー「エルムの政治に関わる者としてあるまじき発言…」


国王「かつては国のためにその目を輝かせながら、今の地位を目指した若い芽も、現実という天災によって枯れてしまうのだな」


マリア「こうして政治は腐敗してゆくのね」


国王「前置きはここら辺までとして…そろそろ本題に入ろう」


クルス「子供に勉強をしないといけない理由を如何にして伝えるかということですね」


国王「うむ。最近のませたガキにも分かるような理由を考えて欲しいのだ」


イナカ「ませたガキの見本みたいな国王が言うのもおかしなものですね」


マリア「とりあえず、勉強は将来役に立つということを教えればいいのではないでしょうか?」


国王「役に立つとは具体的にはなにがどう役に立つのだ?」


マリア「例えば、国語なら読解力、数学や理科なら論理的思考、社会なら知識が養われると思いますわ」


国王「うむ…確かに読解力は必要だ。だが、そんなものは普通に生きていけば勝手に養われていくものだ。わざわざ勉強する必要を感じない。数学や理科に至っては学ぶ理由など皆無だろ。将来使う機会などほとんどない。それに論理的思考のためとか言っているが、世の中の大人は中学レベルの数学を忘れて出来なくなってる人がほとんどだぞ?。それでもやっていけるのなら論理的思考などいらんだろう。社会で知識を養える?。その知識が何の役に立つのだ?」


マリア「…確かに、今の説明では勉強の大切さを実感するまでには至りませんわね」


クルス「大人になれば、もっと勉強しとけば良かったなと思う時がありますが、子供にそれを伝えるのは難しいですよね」


大臣「その通りですな。大人になると、こんなことも知らない自分が恥ずかしくなる時がありますからな」


国王「イナカは設定上では若き才女(笑)とか呼ばれてるくらいだし、勉強の大切さも伝えられるんじゃないか?」


イナカ「人の努力を(笑)とか言わないでください。そうですね…私には世界征服という夢がありますから、勉強するのは夢の為にも当然のことだと思ってましたから」


国王「そういえば、イナカの夢って世界征服(笑)だったな」


イナカ「人の夢を(笑)とか言わないでください」


クルス「でもイナカ君の言う通り、目標や夢があるのなら、勉強の意味も十分分かっているでしょうから、勉強も捗るでしょうね」


国王「それもそうだな。夢や目標、やりたいことが無ければ、勉強する意味も分かりにくいだろうな。…だが、今回の本題はそういう夢や目標もやりたいこともなくて、勉強をする意義を見出せない子供に勉強が如何に大切かを伝えることだからな。少し話が逸れてしまっている」


マリア「それもそうね。話を元に戻さないとね」


国王「しかし…どうやって勉強の大切さを伝えればよいのやら…」


サンダー「そんなの簡単だ、国王」


国王「ほう、サンダーはどうやって伝えるというのだ?」


サンダー「『勉強できる奴はモテる』と伝えればよいのだ」


イナカ「…は?」


国王「とりあえず話を聞こうじゃないか」


サンダー「国王は知っているか?今のご時世、小学生でも足が速い子供よりも、勉強ができる子供の方がモテるということを」


国王「確かに、勉強できるやつのほうがモテているな…私のように」


イナカ「…えっ?。国王ってモテるんですか?」


国王「モテるぞ、そこはかとなく」


イナカ「モテるって言っても、どうせ玉の輿目当ての底の浅い女からモテるだけでしょ」


国王「私は年上のお姉さんからはモテないが、同級生や年が近い人からはモッテモテだぞ?」


イナカ「気のせいじゃないんですか?」


国王「よく考えてみろ。王様で地位も名誉も金もあって、若干10歳で国を統治できるほど優秀で勉強もできて、おまけに美少年だぞ?。ここまでくれば性格がド畜生でもモテるのは自然の摂理だろ?」


イナカ「うーむ…確かにそう言われればモテない道理はないけれど…。納得がいかない」


国王「まぁ、私がモテるモテないは置いといて、サンダーの話に戻そう。『勉強ができる奴はモテる』、だから勉強は大切だと言いたいんだな?」


サンダー「その通り。俺も小学校の頃、勉強が出来てたら…小学生のロリとキャッハウフフ出来てたのに…」


マリア「勉強が出来るからって、必ずしもモテるわけじゃないわよ」


イナカ「結局、人間付き合いは内面が大切ですからね」


国王「だが、勉強が出来ることは女子への一つのアピールポイントとなることは確かだろう。勉強が出来たらモテやすいというのは確かなことだ」


イナカ「でもその説明では、一部の邪な男子は説得できても、それ以外はまるで興味を示しませんよ」


マリア「女の子に限っては、勉強出来ることが全くと言っていいほど男子からモテる要素にはならないしね。…むしろ勉強出来ることがモテない要素になるかもしれないし」


国王「それもそうだな。誰にでも伝わるような理由か欲しいところだ…」


イナカ「国王ならどうやって勉強の大切さを伝えるんですか?」


国王「私か?。そうだな…私なら『勉強をするのは、自分のためになる環境作りのため』と説明するかな」


イナカ「環境作り?」


国王「そうだ。これはあくまで私個人の独断と偏見によって出来ていて、根拠も証拠も何もない考えなのだがな、『学力で人間性は違ってくる』という考えだ」


イナカ「…また思い切った発言をしますね」


国王「初めに言っておくが、別に学力が低いから人間的に劣ってるとか、学力が高いから人間的に勝っているとかそういうことを言いたいんじゃない。ただ学力で人間性は違う傾向にあるということを言いたいんだ」


イナカ「でも根拠もなにも無いんですよね?」


国王「確かに根拠と言えるほどのものは無い。ただ考えてみてくれ、今のご時世、勉強するにも金がいる。進学校に行くとしたら塾に通うのが必須事項となって来ている。塾というのは学校のような公的機関とは違い、塾によっては何十万も金が必要となる。そして、子供の勉学に何十万も払えるということは、その子の家庭環境はそれだけお金に余裕のある家庭ということになる。つまり、進学校に進学できる子供は自ずとお金に余裕のある家庭の子供が多くなってくる。家庭というのは子供の人間性を決める上で大切な環境の一つだ。だから似たような家庭環境の子供、つまりは似たような人間性の子供がその学校に集まるというわけだ。だから学校ごとに、その学校環境も違っていて、人間性も違うということになる」


イナカ「でも、中には貧しい家庭環境でも進学校に入学する人もいますよ?」


国王「もちろんその通りだ。勉強する上で最も大切なものはお金でも環境でも先生でもない、大切なものは勉強する本人の意思だ。だから本気になればどんな環境下でも勉強出来る。だが、そいうのはごく少数の例外だ。全体的に見れば似たような収入の似たような家庭環境の似たような人間性の人が集まる。もちろん、何度も言うように、そこに優劣を付ける気はない」


イナカ「仮に国王の言う通りだとして、それがどうしたと言うのですか?」


国王「学力によって人間性が変わってくるのなら、自分に合った人間性が集まった学校に行きたいだろ?。勉強が出来て学力が高ければ、それだけ選択肢が増える。当たり前のことをいうが、偏差値の高い学校に行くのは大変で、偏差値の低い学校に行くのは簡単だ。だから、自分に合った環境に進むためにも、学力はあるに越したことはないということだ」


イナカ「国王の言いたいことは分かりました。学力によって環境は違うから、自分に合った環境に行くために、勉強をして選択肢を増やせということですね?」


国王「そんなところだ」


マリア「国王があんなに真面目に何かを語ったを見るのは久しぶりね」


イナカ「っていうか、国王って真面目なことも話せたんですね」


国王「私のことなんだと思ってるんだ?。私はいつだって真面目だぞ…どっちかっていうと」


イナカ「もうブレブレじゃないですか」


クルス「でも国王の説明だと、自分に合った環境が低い学力の学校の場合、勉強しなくてもいいってことになりますよね?」


国王「それもそうだな。だが、私が最初に言ったのは『勉強するのは、自分に合った環境作りのため』ではなく『自分のためになる環境作りのため』と言ったのは覚えているか?」


イナカ「…確かにそう言ってますね。なにが違うんですか?」


国王「学力が高い学校ということは、少なくとも勉強という努力をした者が通うものだ。だから高い偏差値の学校というものは少なくとも勉強という努力をしてきた者たちの集まりだ。そういう者はいままでも努力してきたため、努力することに慣れており、努力をすることに抵抗が少ない。だからこれからも努力する可能性が高い。だか、学力が低い学校だとどうだろうか?。そこに入学する者たちは必ずしも勉強という努力をしたとは言い切れない。もちろん、部活やその他のところで努力をした者もいるだろう。だが、中には何の努力もしたこともないような者もいる。そしてそういう者は努力が何なのかを知らないから、これからも努力が出来ない可能性がある。先ほども言った通り、学力で人間性が違う傾向がある。何度もしつこいように言うが、あくまで傾向の話だ、必ずしもそう言い切れるわけではない。そして、朱に交われば赤くなるという言葉があるように、努力をしない人たちの環境にいれば、自分も努力しなくなる…そういう可能性が高い」


イナカ「えっと…要するに、学力と努力は比例するから、学力が高いと努力をしやすい人が集まる環境になるということですか?」


国王「そうだ。そして環境というのは人間性を決める重要なファクターだ。学力が高いところと低いところ…どちらが『自分の将来のためになるか』は明白だと思う」


サンダー「…なるほどな、一理あるな」


イナカ「でも、学力が低くたって、それが全てでは無いですよ」


国王「もちろん、学力が全てでは無い。何事にも例外はあるし、学力が低いところにも良いところにも良いところはある。でも、私はいままで10年生きてきていろんな大人から散々勉強しろ勉強しろと言われてきたのだがな…『勉強するな』と言われたことはないのだ」


クルス「…確かに、勉強するなと言う大人はいませんね」


国王「勉強するな、と言わないということは、少なくとも勉強することで損をすることはないということだ。そして…やって損をしないなら、やる価値はあると私は思う」


マリア「…そうですね。損をしないならやる価値は十分にありますね」


クルス「さすがは我らが国王。真に必要なのは勉強ではなく、努力だと言いたいのですね」


サンダー「良いこと言うじゃねえか、国王」


国王「そんなに褒めるな、照れるであろう」


マリア「ここまで話せば、きっと子供も納得してくれると思うわ」


クルス「ええ、これなら胸を張って子供に言えますね」


サンダー「これで、この悩みを苦に自殺未遂を図る国民も減る」


国王「うむ、そういうわけで、この会議は一件落着だな」


イナカ「えっと…これで良いんですか?」


国王「なんだ?イナカよ。なにか問題でもあるのか?」


イナカ「いや、その…今回いつになく真面目な話で…笑いどころとか無いですよね?」


国王「たまには良いだろ、たまには」


マリア「そうよ。というか、本来ここは真面目な話をする場よ」


イナカ「しかしですね…」


国王「じゃあ、代わりに最後にイナカが一発ギャグやって笑いどころ作ってくれよ」


イナカ「無茶振りやめて下さいよ」


国王「一発ギャグの一つや二つ出来なくてどうする?」


イナカ「そこまで言うなら国王がやってみて下さいよ」


国王「…仕方ねえな。それでは一発ギャグ…『壊れた時のイナカのモノマネ』」


イナカ「…は?」


国王「話し合おう話し合おう話し合おう話し合お話し合お話し合話し合話し話し話話はなはなはなはなはなはなはなははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは…」


イナカ「人の古傷えぐるのはやめろぉ!!」

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