気高き風紀と悪しき風潮
サンダー「路上でキスをするリア充を取り締まる法律を作ってください」
国王「…どうした?」
サンダー「路上でキスをするリア充を取り締まる法律を作ってください!!」
国王「だからどうした?」
サンダー「奴らは著しく町の風紀を乱す害獣です!!。一刻も早く奴らを町から排除してください!!」
国王「…とりあえず落ち着くのだ、サンダー将軍よ」
サンダー「これが落ち着いてなどいられますか!?。奴らを見るたびに私の心にポッカリ空いた穴には酷く冷たい北風が通るのです!!。そして私は人知れず涙を流すのですよ!?」
国王「落ち着け。なんかキャラ変わってるぞ」
サンダー「お願いします…奴らを取り締まってください。じゃないと私の心が持ちません…私を助けると思ってどうか…どうかお慈悲を…」
国王「ま、まぁ、お前が普段から苦しんでいるのは分かったよ」
イナカ「じゃあ今回はそれについて話し合うんだね!?。楽しみだなぁ〜」
マリア「…あれ?イナカさん?」
イナカ「早く話合うよ!。早く早くぅ〜。話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう話し合おう」
マリア「…イナカさん壊れたままじゃない!?」
国王「じゃあ今回は路上でキスをするリア充を取り締まるかどうかを話し合おう」
マリア「まさかのイナカさんスルー!?」
国王「いや…だって…手の施しようがない」
マリア「国王が諦めてどうするんですか!?」
国王「次回までにはなんとかするからさ、とりあえずいまは目の前の議題について話し合おう」
マリア「…本当になんとかしてくれるんですか?」
国王「大丈夫、なんとかする」
マリア「…分かりました。とりあえずこの件は置いておきます」
国王「よし、では路上でキスをするリア充を取り締まるかどうか話し合おう」
サンダー「話し合いの余地などありません!!。即刻リア充共を死刑にする法律を制定して下さい!!」
国王「いいから落ち着け。ではまず、なぜ路上でキスをするのがいけないことと言うのかを教えてくれ」
サンダー「理由は簡単。奴らはこの国の風紀を乱しているのです。路上という公共の場で破廉恥な真似をするその低俗な輩達のおかげで、この国の風紀そのものが乱れていると他国に思われてしまいます。我らがエルム王国の誇り高き文化を保護するためにも、即刻リア充に首切りの制裁を!!」
国王「ふむ…首切りはともかく、風紀を守るためにも必要なのかもしれんな」
クルス「そうですね…なにもキスをするなと言っているのではなく、公共の場でそのようなことをするなと言っているだけですからね。エルムの高尚な風紀のためにもそういう措置を取るのは致し方ないですね」
国王「ふむ、クルスも賛成のようだな。…では、反対意見も無いようなので路上でキスをするリア充を取り締まる法律を…」
マリア「お待ちください」
国王「…どうした?マリアよ」
マリア「…誇り高い文化?高尚な風紀?。…ふん、笑わせてくれますわね。そんなものでこの国を守ることができるのかしら?」
サンダー「なんだと?」
マリア「そんな物より、もっと大切なことがありますわ」
国王「…ほう、では教えてもらおうか。その大切なこととやらを」
マリア「路上でキスをするリア充を取り締まるということは、恋の営みを抑制するということですわ」
国王「…それがどうかしたのか?」
マリア「恋人を…パートナーを作ることをしなくなった若者が増えているというデータを聞いたこと無いかしら?」
クルス「…確かに今の若者中には一人の方がいいと思う者が増えているというのは聞いたことがあるな」
マリア「そんな若者が増える現状の中で、そのような恋の営みを抑制するような法律ができたら、なにが起こるか分かりますか?」
国王「…分からん、なにがおきるというのだ?」
マリア「恋に弊害が多くなり、パートナーを作ることを諦める者が増え、結婚率が低下し…そして…出産率が低下する」
クルス「ま、まさか…」
マリア「そう…そして最後に行き着くのが…少子化よ!!」
国王「少子化…だと…?」
マリア「ええ、路上でキスをするリア充を取り締まるということは、最終的に少子化をより促進させることになるわ!!」
クルス「…確かに路上でキスをするリア充を取り締まる法律を制定すれば、リア充に対するイメージも悪くなり、より少子化に拍車をかけることになる…」
マリア「その通り!!。少子化がどんな悪影響を及ぼすかなんて今更ここで話すことでもないわ!!。どんなに誇り高き文化も、どんなに高尚な風紀も、生まれくる子供が居なければただの夢物語!!。そんなものより大切なのはLOVEよ!!」
クルス「風紀や文化に目を向けてばかりで、もっと大切なものを見失っていたのかもしれない…」
マリア「そもそも、路上でキスをすることが白い目で見られるのなんて日本とエルム王国だけよ!!。そういう風潮のせいで日本は少子化なのよ!。海外ではもっと過激なことをしているわ」
国王「…マリアの言うことももっともだな。リア充を取り締まるのは早計だったかもしれん」
サンダー「そんな!!それじゃあ私の心に空いた傷は!?」
国王「二次元にでも癒してもらえばいいだろ?」
サンダー「そ、そんな…。確かに二次元に癒せぬ傷はないけど…」
マリア「私の主張を分かってもらえたようね」
国王「ふむ、マリアのいうことはよく分かったぞ。リア充を取り締まるのは良くないな」
マリア「ええ。むしろ私はリア充達が路上でキスをしやすくなるような法律を制定することを提案するわ」
国王「キスをしやすくなるような法律?」
マリア「ええ、そんな法律があれば、よりリア充が増えて少子化に歯止めがかかると思うわ」
国王「例えばどんなのだ?」
マリア「路上でキスをするたびにそれを目撃した周りの人がリア充に募金しなきゃいけない法律とか」
国王「…それでキスがし易くなるのか?」
マリア「例えばですね…友人以上、恋人未満の関係だけど、いまいち仲が発展しない二人の男女がいるとしますわね」
国王「お互い好きだけど、告白する勇気も、付き合うきっかけもない焦れったい仲の男女のことだな?」
マリア「ええ。そんな二人はある日、発展途上国の子供を救うために募金活動をしていました…」
ここから先は大塚君とA子に実演してもらいました。
A子「…なかなかお金が集まらないね」
大塚「そうだな。こんなに頑張っているのにな…」
A子「あと一万円集めなきゃ、カンボジアに転校してしまったマイケルを救えないのに…一体どうすればいいの…」
大塚「マイケル…奴はいい奴だったよ」
A子「アメリカからの留学生のくせに、英語が苦手で…私たちがいっつも勉強に付き合ってあげてたっけ…」
大塚「そうだったな…。結局、英語で赤点を取っちゃって夏休みは補習で潰れて母国に帰れなかったんだっけ…」
A子「それでどうしても英語を勉強したいからってカンボジアに留学することにしたんだっけ?」
大塚「そうそう、マイケルはおっちょこちょいのくせに行動力はあるからな」
A子「ほんと、おっちょこちょいだよね。カンボジアの公用語は英語じゃなくてクメール語なのにね」
大塚「そうそう、帰りの飛行機代すら持たずに旅立ったからな…俺たちがこうやって募金して飛行機代を送ってやらないといけなくなったし…」
A子「マイケルには本当に振り回されてばかりだね」
大塚「でも…あと一万円足りないんだよな…」
A子「もしかして…このままマイケルを助けられないのかな…」
大塚「A子…」
A子「もう…マイケルに会えなくなったら、マイケルのエセ関西弁も聞けなくなっちゃうのかな…」
大塚「………」
A子「マイケルの拙い英語で『ディスイズペン』って言うだけの一発ギャグも聞けなくなるのかな…」
大塚「………」
A子「マイケルがくれた冷ややかな嘲笑はもう無くなっちゃうのかな…」
大塚「…そういえば最近、路上でキスをして、それを目撃したら募金しなきゃいけない法律が出来たから、今ここで俺らがキスすれば一万円くらい集まるかもな…なんて…」
A子「………」
大塚「……ごめん、冗だ…」
A子「…いいよ」
大塚「え?」
A子「…いいよ。…キスしても」
大塚「…で、でも…」
A子「マイケルのためだよ…。それとも…私とじゃ、いや?」
大塚「そ、そんなことないけど…」
A子「…じゃあ、しよ…」
大塚「A子…」
A子「大塚君…」
マリア「と、このようにキスをする大義名分が出来るので、キスしやすくなると思うわ」
クルス「具体例、長っ!!」
国王「ふむ、まぁ、採用してみようか、面白そうだし」
大臣「やけに適当ですな」
国王「そろそろ終わらせたいし、大塚君を登場させるノルマも達成したし、これを採用で終わっていいんじゃないか?」
クルス「なんて不純な動機なんだ…」
イナカ「次の話し合いはまだかな?まだかな?まだかな?まだかな?まだかな?まだかな?まだかな?まだかな?」
マリア「…国王?」
国王「わかってる。次までになんとかする」




