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機械仕掛けの人形師  作者: 六轟
第3章

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57:

 母さん、僕は今、王宮に来ています。

 あれ?ダロスママには会った事ねぇな?

 どうもダロスです。

 なんか、第2王子に呼び出されました。




 昨日の夜、王都内の隠れ家を作ってから家に帰ると、俺の客だっていうすごく奇麗なお姉さんが待ってたんですよね。

 サキュバスかなってくらいのないすばでぇ。

 4時間くらい応接室で待たされてたらしいのに、よく帰らなかったなとちょっと感心。

 通信機で連絡してくれればいいのにと思ったけど、家にいた皆は、

「第2王子絡みだってわかったらどうせ優先してまで帰ってこないでしょ?」

 なんて感じで口を揃えて言っていたので、まあ確かにそうだと納得。

 応対したエリンによると、出された紅茶もケーキも手を付けず、最近俺の名前のブランドで出している個包装のクッキーだけ食べたらしい。

 ちょっと待て。

 そのクッキーのブランドも俺知らんぞ?


「お待ちしておりました、ピュグマリオン男爵。私は、エリクト王子殿下の秘書をしておりますアルゼと申します。」

「お待たせして申し訳ありませんね。それで、本日はどのようなご用件で?」

「突然でまことに恐縮なのですが、明日にでもご都合がつく時間に、王城にて殿下と会って頂けないでしょうか?」


 え?やだよ!明日はディとフレイと一緒におでかけするんだもん!


 って言ったら怒るかなぁ……。

 第1王子と違って前もって連絡して来てるし、姫様と結婚したら義理とは言え兄弟になるんだし、あちらから危害加えてこなければ、わざわざこっちも喧嘩売るつもりもないんだよなぁ。


 あ、でも第2王子って姫様に暗殺者差し向けてたんだっけか?

 じゃあもういいんじゃね?


「明日は、ちょっと大事な用が……。」

「10分程度でいいのです。どうにか都合をつけて頂けないでしょうか?」

「いやぁ……、ちょっと……。」

「もし出席して頂けるなら、私のおっぱいを揉んでもいいですよ?」



「女の子がそうやって自分の体を売るような事を言っちゃいけません。」

「でも今ちょっと考えましたよね?」


 とても冷静な目でアルゼに指摘される。

 めっちゃ揉みたかった!!!!!!!


「はぁ……。もうわかったよ。行ってやるから旨いジュースでも用意しておいてって言っといて。」

「お酒ではなく果実水なのですね?」

「俺は、酔っぱらうとおっぱいの事しか頭になくなるらしい。胸を揉まれて良いなら酒を用意しろ。」

「申し訳ありません。実は私、極度の潔癖症なため誰にも触らせたことが無いんです。責任を取ってくださるおつもりがあるなら構いませんが?」

「ジュースね。」


 この女……冗談なのか本気なのかわかんないのだ……。

 純情少年弄びやがって……。


「では、明日の午前10時に王城にお越し頂ければ、私が会談場所まで案内いたしますね。」

「はいはい10時ね。ドレスコードとか無いよね?」

「女性は競泳水着では如何でしょうか?ダロス様がお好きだと伺っているのですが。」

「なぁ、それって本気で言ってるのか?本気で言っているなら着て来てくれ。俺は本気で見たいから。」

「申し訳ありません。肌の露出が多いと、後から奇麗に拭かなければいけない部分が増えてしまうので、私的にはナンセンスです。」


 じゃあなんで提案したんだよ。

 ショック療法で潔癖症治してやろうか?

 ちょっと古代の遺跡に行って虫だらけの部屋にお前を投げ込むだけの簡単な治療だぞ?


 約束を取り付けてアルゼは帰っていった。

 帰り際、ダロスブランドから新発売の液体石鹸(ハンドソープ)をポンプ容器ごとプレゼントしたら、今日初めて表情に変化があった。

 今度は、使い捨てのビニール手袋でも贈ってやろうかあのアマ。




 そして至る現在。

 王宮の入り口までくると、アルゼが待っていた。

 手からは、昨日渡した液体石鹸の匂いがする。

 若干昨日より親しみのある表情な気がするな。

 便利だろうあれ?

 そう言うのが前世で有ったって言っただけなのに知らない間に商品化してたぞ。

 詰め替え用が欲しかったら、今日の会談中ちゃんと俺に有利な進行をするんじゃぞ?


「ピュグマリオン男爵……いえ、ダロス様。この液体石鹸をトン単位で購入することは可能ですか?」

「いや落ち着けよ。昨日の今日で大丈夫か?俺依存性のある成分入れてないよね?」

「これさえあれば、あのクソ王子に触られそうになって手を払いのけるたびに手を洗うのが楽なので怖くありません。」

「それさぁ、液体石鹸大量購入する前にやるべきことあるんじゃねぇかな……。」


 大丈夫?

 話きこか?


 にしても、第2王子はセクハラマンだったか。

 第1王子はパワハラモラハラ上等のカスだったけど、王子ってマジ碌なのいねぇな。

 第3王子とか糞過ぎてエンカウントする前に死んだし。

 第1王子だけでもまともになれるようにカリストつけておいてよかったよ。

 どのくらい調教は進んだかなぁ……。


 しばらく歩くと、建物を出て中庭みたいな所に出た。

 すごい豪華な感じのフラワーガーデンといった感じの風景で、これだけで前世ならお金を取って見物客呼ぶ商売してそうな規模。

 大人700円、子供300円、園内で売っているドリンクは1つ最低500円って所か?


 その中に、ポツンと1軒東屋が。

 白くてピカピカのテーブルでお茶を飲んでいる雰囲気イケメンが、今回俺を呼び出した奴なんだろう。


「よく来たな!私が我が神聖オリュンポス王国第2王子、エリクトである!」

「用件を聞こう。」


 さっさと帰りたい。

 帰ってディとフレイとピクニックしたい。


「せっかちな奴だな……。まあいい。単刀直入に言おう。私につけ!」

「お断りします。帰りますね。」

「まあ待て、お前はそう言うと思っていた。だからこちらもちゃんと交換条件を用意しておいたのだ。アルゼ!」

「はっ、こちらを。」


 そう言って渡されたのは、羊皮紙に書かれた何かの目録だ。

 見た感じ人名っぽいけど、なんだこれ?


「私につけば、その女たちはお前のものだ!好きなように扱うと良い!ついでにそこのアルゼをつけてやってもいいぞ!」

「いえ、私はエッチな事は結婚する方としかするつもりが無いのでお断りです。」

「……だそうだ。すまんがアルゼは諦めろ。私もまだ触れさせてもらえないのだ。」


 第2王子よりアルゼの方が発言力が上なのかな?

 何者なんだろう?


 それよりも、人間を売り渡すことで忠誠誓わせようとか、やっぱこいつとは分かり合えんな。

 せめて、本人たちをここに呼んでいればまだ破壊力も有っただろうに。

 水着で並んでたら危なかったかもしれない。


「残念だけど、女なら間に合ってる。4人も子供が生まれるんだ。」

「……まあいい。今日の所はここまでとしておこう。だが私は諦めんぞ。」

「では、ダロス様をお送りしてきますね。」


 そう言って、あっさりと帰らせてもらえた。

 第1王子みたいに、だったら家族を人質に……とか言い出した時のために、3号に光学迷彩機能つけて待機させてたのに。


 城の入り口まで残り半分といった辺りで、アルゼがおもむろに話し出す。


「今回貴方に渡した目録の女性たちですが、貴方の所でお世話になった方が幸せだと思い選ばせて頂きました。」

「なんだ?今は性奴隷にでもされているのか?」

「そんな事はありません。彼女たちは、親の咎で貴族籍を抜かれた令嬢たち。皆美女ぞろいですが、生活能力など皆無です。今彼女たちに選べる道は、修道院に入るか、娼婦になるかのどちらかでしょう。下位の貴族令嬢であれば、他家の使用人となる道もありますが、元上位の貴族令嬢ともなると、使用人になってもいびられて死が早まるだけ。それくらいならば、貴方の所にお世話になるのが良いかと思いました。それに皆生娘ですよ?」

「あのさ、俺って周りからそんなに女好きだと思われてるの?」

「はい、それはもう。周りを女性で固めていますし、今も私の胸の揺れに目が奪われてるでは無いですか。」


 周りが女の子ばっかりなのは、俺が作れる人形が女形ばっかりだからなんであってだな!

 あと胸に目が奪われてるのは……その……。


「まあいいや。今の所第2王子の下に着くつもりはないけど、その女の子たち本人たちが来たいって言うなら連れて来てくれよ。仕事できるようになるまでくらい世話するから。」

「成程、男が取れるようになるくらい教育を施すと……。」

「お前、俺よりよっぽど頭の中ピンク色じゃない?」

「私、ジョブが淫魔なので。」

「呪いじゃんそれ。」


 やっぱり本気なのかどうか真意がわからないノリで、フフフと笑いながら話すアルゼ。

 こっちは貴族教育を受けた令嬢なら、イレーヌの新事業で使える場面も多いだろうと思って提案しただけなんだぞ?

 別にエッチな事とかそういうんじゃないんだぞ?


 なんて話していると、いつの間にか入口についていた。


「それでは、本日はありがとうございました。久しぶりに楽しく会話ができた気がします。」

「なぁ、さっきの令嬢の話じゃないけど、アルゼも今の職場嫌なら家で働いてくれてもいいんだぞ?」

「それは……。いえ、私は私で目的があってここで働いていますから。もしクビになったら、その時はお世話になりますね?」

「ああ。その時を待っとくよ。じゃあまた。」

「ええ。さようなら。」


 にこやかにお別れか。

 予想外だったな。


 ……城から出た辺りで襲われるのかとも思ったけど、特にそういう雰囲気も無いな。

 逆に調子狂うわ。

 とっとこついてきてる3号も不満顔。

 いや、光学迷彩で顔見えないし、感情とか無いだろうけど。


 念のため、路地に入ったりいきなり逆方向に歩いたり、食堂に入って食事してみたけど、尾行者はいないみたいだ。

 あ、この食堂美味い。当たりだな。


「主様主様、なんで1人でご飯食べてるの?」

「主様主様、どうして一緒にご飯食べてくれないんですか?」


 なんでこいつらがいるんだろうって思ったけど、そういや通信機あれば相手の場所分かるんだったな。

 帰ったら一緒に出掛けようって言ってたし、待ちきれなくて来たんだろう。

 一緒に食べるか?


「「はーい!」」


 そう言って、思い思いに注文する2人。

 ニルファやヒルデたちと違って、まともなメニューをまともな量だけ注文する様をみると、何故だかとっても落ち着く。

 デザートもつけていいぞ?


「いいの!?じゃあディはプリンアラモード!」

「私はチョコレートケーキにします。ディ、半分ずつシェアしましょう。」


 あぁ~、落ち着く~。



 心のHPが少し回復したし、午後は調査頑張るぞ!


「主様主様!はいプリン!あーん!」

「あ!ずるいです!ケーキですよ主様!あーん!」


 ああああああ~



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