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二十話 ドラゴン襲来2


 辺境へ向けて馬車に乗って帰り、もうすぐの所迄差し掛かると、異変に気付く。


「なんか、煙上がってない?」


 リンのその言葉に俺は煙が上がっている場所を確認するとすぐに二人と目が合い、御者に


「辺境の街へ急いでくれ!様子がおかしい!」


 近づくに連れて、逃げ出してきた住民とすれ違うことが多くなり、住民は口々に


「ドラゴンが来たーー!」「早く王都まで逃げろ!」

「だれかー!助けてくれ!まだ妻が見つからないんだ!」

「うぁぁぁーん!!!」


(何だ?この光景は!?ドラゴン!?)


「斗真さん!これ以上は人が多すぎて馬車では行けねー!」


「ここまでありがと。リン、シルクさん!」


「ええ、早く行かないと!」「みんなが心配だわ!」


 急いで人の波をかき分け辺境の街に近づこうとするも辺境から出ていく人が多すぎて街までたどり着けない状況だ。それでもなんとか入口まで来てみると馬車や、人がごったがえして、さらに状況はひどい。


「どーする?北門から行くか!?」


「えぇ、そっちの方が早そうね。」


 俺たちは普段森に魔獣を討伐に行く時に使用している北門を目指して街を回って、北門から辺境の街に入る。街に入ると火事の影響で街全体が熱い。中央に近づくと更に状況はひどく、家は燃え、倒壊し、血を流し倒れてる人、すでに動かない人。。。


(なんだこれは!?まるで地獄だ。。。)


 噴水のある広場付近に近づくと、喧騒、爆発音など戦闘している様子がわかるようになる。すると、知った顔を見つける!


「レイラさん!」


 レイラさんはその声に振り返るとこっちにすぐ駆け寄ってきて、


「斗真君、リンちゃんとシルクさんも!帰ってきたのね。」


「ドラゴンが!って言ってるのを聞いたけど、、」


「急にドラゴンが現れて、ギルマス達や騎士団が対応してるわ!私たち非戦闘員はヒーラーとして動いてるの!広場に行ってギルマ…………」


 その時、まさにギルマスが吹っ飛ばされて来た。レイラさんを他所にギリマスの所まで駆け寄り、


「ギルマス!大丈夫ですか!?」


「よく帰ってき、くっ、、」


「レイラさん!早くポーションを!」


 レイラさんがポーションをギルマスに飲ますと、、


「はぁはぁ、よく帰って来た!ドラゴンは双竜!首が2つある!帰って来て早々に悪いが、首の1つを斗真とリンで受け持って欲しい。片眼のドラゴンを頼む。俺が首を切り落としたらすぐ応援に駆けつける!それまで時間を稼げ!シルクはジャックの指揮下に入れ!」


 立とうとしたギルマスが立ち上がれず、すぐ片ヒザをつく。


「ギルマス。。」


「斗真!リン!勝とうなんて甘さを捨てろよ!相手はドラゴンだ!今までの相手の比じゃない!」


「はいっ!」 

(不思議だ。こんなにぼろぼろになってるのに、どうにかしてくれる期待、信頼感が半端じゃねー。)


「じゃあ行くぞ!」


 戦場へと向かうと指揮をしていたジャックが俺達とギルマスを見るなり


「騎士団!散開の陣形から再び防御の陣形!ギルマスを守れ!」


「冒険者は後衛は騎士団の援護!近接は背後、死角からの攻撃を徹底的に行え!」


 1度やった陣形な事もあり、騎士団はギルマスの前に速やかに陣形を敷いた。


(これがドラゴン、、、ヤバい。圧倒的な存在感に飲まれそうになる。)


「斗真!」


「あぁ。」

(やるしかない……ドラゴンは左目が見えてない。行くなら右側から!)


 俺が走り出すのを見てリンが援護でドラゴンに向かって炎を放つ!威力より数を重視して、目眩ましも兼ねてくれてくれている。相変わらずこっちの意図をよく汲んでくれる。ドラゴンの胴体を殴る!


(全然ダメだ。硬いとかそーゆー次元じゃない。この威力でいくら殴っても無駄だ、もっと速く、一点集中!)


 殴られたことでドラゴンの首がこっちを向き襲いかかってくる。


「速い!が距離を保てばここまでは来れない!」


 首の長さを計算して下がる範囲を目測する。


(あっちの首もあるからむやみに歩き回れないはずだ。)


 この形をベースに、リンが左後方から援護、その隙をついて俺がドラゴンに向かって攻撃を繰り返し時間を稼いでいる。


(もっと速く!もっと一点集中!)


 何度かアタックしていくと、ドラゴンの鱗に亀裂が見え始め、


「これでどうだ!」


 俺は走り出し前方に回転しながら更に勢いをつけて、気の力を右踵に一気に集め、


「胴回し回転蹴り」


 バキバキッ


(よし!鱗は割れた!後はこの鱗の下を攻撃!)


 攻撃した勢いを利用して後方宙返りしながら安全なラインまで下がると、目の前に炎が!


「うわぁーー!」


 リンがピンポイントに炎をドラゴンの眼に当て、ブレスはすぐおさまった。


「大丈夫!?」


 リンが駆け寄りポーションを渡してくれた。ドラゴンの目に炎が当たりはしたものの視力までは奪えていない。


(相手は鱗1枚。に対してこっちは全身火傷寸前!それだけ実力差があるってことか……ギルマスは!?)


 ちらっとギリマスの方を見るとまだ、気を溜めている状態だ!


(気を溜めるのがいつもより遅い!そのぐらい溜めないとダメなのか!?怪我の影響なのか!?だとしたらこのままで果たしていいのか………)


 その後も一進一退の攻防を繰り広げている、段々ドラゴンの気の流れを把握していく。


(ブレスの時、喉に気が集まっているな!ならそれ利用して、)


 次にブレスを放った瞬間のタイミングで俺はドラゴンの死角から首もとに飛び込む。ドラゴンはそれに気づかず、俺がさっきまでいたところにブレスを吐き続けている。


(今だ!)


 俺は下顎を蹴りあげた!すると、さっきまでブレスを吐くために開けていた口が閉じ、ドラゴンが首を振るっている。


(効いたか!?なら、ついでにここもだ!)


 鱗1枚剥がしたところへ拳を突き放つと、ドラゴンから黒い血がドロッと流れ始めた!


(こいつも黒い血が………だが、そんなことは今関係ない。なんとか形が見えてきたんだ!次は首もとに!)


 それから俺は攻撃を一切やめ、気を溜めながら防御に専念した。


(時間はかかるがこの溜めた気をドラゴンへ!)


 俺が攻撃しないのをリンが察知し、自分に注意を引くため攻撃の手数を増やしてくれている。


 気が充分溜まると俺はドラゴンから見える位置に積極的入り、次のブレスのタイミングを計る。するとなかなか攻撃の当たらない俺にイライラし始めたのか、喉元に気が集まってくる。


(放つ瞬間を見逃すな!ここだ!)


 俺は先ほどと同様に飛び込みドラゴンを見上げる!


となぜか目が合った。瞬間、口を開けて襲いかかってきた。


(ヤバいっ!!)







(あれ!?生きてる。。。)


 目を開けると俺と戦っていたドラゴンの首が切り落とされていた。


「ギルマス。間に合っ…………」


 よく見るとギルマスが戦っていたドラゴンに噛みつかれてくわえられていた。


「クソドラゴンがぁぁぁーーー!!!」


 ドラゴンの眼を目掛けて拳を振り抜く!眼に当たり、ドラゴンは痛みでギルマスを離した。


「ジャーーック!!!!」


 俺がそう叫ぶとジャックはすぐさま


「総員!全力でドラゴンを抑えろ!全力を出し尽くせ!ここで力尽きてもいい!」


 俺はギルマスを抱え一旦後ろに下がり、


「ヒーラー!!!ポーションだ。急げ!」


「ギルマス、、、どうして、、、」


「ガハッ、、どうしてかな。まぁー、いーじゃねーか。首一本切り落としたんだから、、、残るは一本だぞ。斗真。」


 ヒーラーが急いで走って来て、ギルマスにポーションをかけている。


「ギルマス!ポーションです。早く飲んで下さい。斗真さんも飲んで!」


(俺のミスだ。。。ドラゴンに嵌められた。ギリマスを待ってればよかった。。ギルマスがやられた今、勝てるかどうか……)


 ギルマスはポーションを飲まされると、大剣の柄から金具を取り外し、体から血をダラダラ流しながら、金具を持った手で俺の胸を叩き、



「お前なら出来る。」



 叩かれた拳を握ると金具を渡された。


「ギルマス………これは、指輪?」


「傲慢の大剣といわれてるがなー、、実は違う。籠手に付けろ。サイズは自由に変わる。」


 受け取った指輪に魔力を込めるとサイズ代わり、前に魔道具をはめると教わったくぼみにはまった。


「ギルマス、もしかして最初からこの指輪を俺に………」


「傲慢の指輪だ。貫けないものはない。。。リンの指輪も意味がある。リンに伝えてくれ。ガバッ、、」


「ギルマス!!!」


「お前が望めば二人の時間が止まると。」


「二人の時間?」


「早く行け!今がチャンスだ。今しかない。」


 そう言われ、リンの方を見ると足から崩れおちて、膝で立っている状態だった。


「ギルマスを頼みます。」とヒーラーに伝えてリンの所に急いで駆ける。その間にも魔術師が魔法を、戦士が隙を見てドラゴンを攻撃しているが、限界が近そうだ。


「リン、おいっ!リン。しっかりしろ。」  


 リンの正面に立って両肩を揺さぶりながら声をかけると、目の焦点が合ってないながらも俺を見て


「親父が、、親父が、ドラゴンに、、、」


「ギルマスなら大丈夫だ!気をしっかりしろ。周りをよく見てくれ!リンがいないと勝てない。」


「あぁ、、斗真?」


「そうだ。みんな限界が近い。俺たちがやらないと勝てない。」


 リンは両肩においた俺の手を振りほどいて立ち


「親父がやられたのにこんな状態で勝てるわけないわ!!」

 俺はリンの胸に拳を当てて、まっすぐリンの目を見て

「大丈夫だ。リンなら出来る。」


「斗真?」


「俺もさっきギルマスに同じことやられた。ギルマスがリンの指輪は望めば二人の時間を止める事が出来るって言っていた。」


「指輪?成人になった時に貰ったこの指輪?」


「あぁ、俺もギルマスからさっき託された。二人で勝ってギルマスに早く報告しよう!」


「わかったわ。やってみる。」


「じゃあ、行くぞ!」









「よく来た。新しい英雄!タイガの死は残念であった。が、よくぞドラゴンを倒してくれた。何か望むものはないか!?タイガの持っていた大剣か!?何でもすきなものを望むが良い。褒美をとらせよう。」


 壇上に立つ王が威厳のある声でそう言う。


「僭越ながら私の望みはただ1つ。エルフの国への訪問許可を!」


 周りがざわつき、貴族の1人が、


「なりませんぞ!王!我々とエルフは不可侵条約で結ばれております。破ればどうなることか!?」


 王は貴族の言葉を手で遮り

「斗真よ。エルフの国に行って何をする?戦争でも起こすつもりか?」


「違います。」

 俺は一息入れて、

「人探しです。ギルマスからの、ギルマスからの最後の依頼です。。。」


 そう答えると、ギルマスの名前を出すと、ギルマスとの情景が目の前に広がり不意に涙が流れた。


「そうか、誰を探すのか?、、、と野暮な事は聞かないでおこう。あい、わかった。ワシからは許可を出そう。エルフの氷の女王にも掛け合っておこう!おって伝える。」


「ありがたき幸せ。。。」



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