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『吸血鬼協会』から調達されている、
血のデザート。1日一回摂取。
俺も親父も、それがあれば
生きていけるらしい。
物心ついた時からの習慣だし、
吸血鬼についての詳しい事は、
今まで両親に聞いたことがない。
それがなければ、
自分が吸血鬼だという事を忘れるくらい
普通だからだ。
知ろうとも、思ったことがない。
昌耶は血のデザートを、優雅に封を切って
口にする。一瞬で、無くなる。
それを見ていたら、飲みたくなった。
「母さん。俺も。」
「ごはん食べてからでしょう?」
「食欲ねぇ。血のデザートで十分。」
奏子は何か言いたそうな顔をしていたが、
素直に俺の分を持ってきてくれた。
封を開けて、吸い込む。
味は、そうだな・・・・・・甘くて、美味しい。
普通の人間なら、
そうは思わねぇんだろーな。