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「え?おい、日下部?」
すー、すー、と寝息が聞こえてくる。
嘘だろ。寝落ち?
こんなタイミングで?
「起きろって。」
肩を揺するが、起きそうにない。
その反動で、杏奈の身体が後ろに
ひっくり返りそうになった。
それくらいに、脱力している。
俺は慌てて、背中を支えた。
杏奈の首が、がくんと後ろに落ちる。
髪が零れ、自分の嚙んだ部分が
目に飛び込んだ。
4つの、内出血のような跡。
これは、まるで・・・・・・
キスマークじゃないか。
急に、恥ずかしさと後悔が
大波となって押し寄せた。




