39/646
1-29
一度失敗したせいか、変に踏ん切りがついた。
今度は、思いっきり嚙みつく。
「っ!」
杏奈の様子が気になる前に、
考える暇がなくなった。
口の中に流れてくる、滑らかな温もり。
いつも飲んでいるやつとは、全然違う。
なんだ、これは。
デザート、なんかじゃない。
最上級の、メインディッシュ。
美味い。美味すぎる。
ヤバい。止められない。
「・・・・・・ん、あぁ・・・・・・」
吐息混じりの声。
ここで、杏奈の様子がおかしい事に
気がついた。
はっとして、離れる。
「おい、日下部!大丈夫か?!」




