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「・・・・・・自分のこと、
口先だけの女だと思ってんの?」
俺、演劇向いてるのかも。悪役。
「偽善者だと思ってる。」
「・・・・・・全っ然、分かってないんだね・・・・・・」
「何を?」
それからの杏奈の行動は、想定外だった。
どん、という衝撃が、胸元に響く。
その反動で、いい匂いが鼻をくすぐった。
俺は驚きのあまり、固まる。
杏奈が俺に、しがみついて・・・・・・いや、
抱きついてきたのだ。
「どう思われたっていい!
あんたの言う通り!そうよ!
大地が大好きよ!!悪い?!」
キンキンと、高い声が耳を突く。
めまいが、した。いや、これは、ヤバい。
「・・・・・・い、いや別に、悪い、とは・・・・・・」




