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親父が魔法少女で俺まで巻き込まれた件  作者: フジオ
蒼の剣姫巫女篇
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剣と魔法のクロス


「助けられなかった助けられなかった助けられなかった」

 壊れたラジオもかくやと同じ言葉を繰り返すアキラ。

 呼吸は荒く、あの一撃を受けるよりもよほど効いているようだ。


「やはりやはりやはり」

 自らの肩を抱き、リピートを続ける赤い靴。

 呼吸は荒く、恍惚とした表情で時折嬌声を上げている。


 そうして、俺は左半身を千切って投げ捨てたので血がビュービュー。

 まぁ、剣姫騎士の力で止まり、今では気持ちの悪い断面が良く見える。


 地獄絵図か何かか。


「だっ、大丈夫ですか!?」

 そう言い、俺の千切り捨てた半身を持ってくるエイダ。

「何とか、止めてる。ショック死はない」

「もっとスチューワーデスみてぇに気を付けて持って来いよ」

 軽口を叩く。その位には、今の俺は冷静だよ。


「そんな冗談言ってる場合ですか!?」

「それより、アキラはどういう状況だ?」


 そりゃアキラとは長い付き合いだ。それでも初めて見る状態異常だ。


「貴方があんな無茶な方法で庇うからですよ!」

 まったく繋がらない。俺の半身も、エイダの言葉も。


「私も詳しい話は知りませんが、他人が傷つくのが嫌いなんですよ、取り乱す程に」

 言う事が、少しだけ腑に落ちた。確かに、アキラは誰かが傷つくのが嫌いだ。

 しかし、ここまでだっただろうか――しかし、今はそれどころじゃない。


「いてぇ」

 そう、痛い。ナギとエイダの献身的な回復作業により、痛みを感じる余裕が出て来た。

 つまりは、危険なのだ。意識が遠のく。


「そんな事言ってる場合じゃないでしょう!」

 そんな事じゃないんだよ、今にも気を失いそうだ。


――そんな朦朧とした状態だからこそ、ソレを試そうと思ったのだろう。

 

「エイダ」

「何ですかッ! 少し黙っててくださいッ!」

 本当に必死な表情だ、俺の残った腕をナギが必死に引き止める。


「にぃ、それは、無理」

「何をする気で――ッ!?」

 それは、口付け。


 仕方ないだろう、片手が無くて、もう片方も抑えられている。

 そんな状態で、イニシアチブを取る方法が他に思いつかなかった。


 朦朧とする意識、鋭く変化する感覚。


 意識の手が届く。引き金を引く――わが身を(変)変える(身)。



 剣姫騎士の状態で、更に上へ、魔法少女の姿(力)を重ねる。


 多重ログインにも似た不正行動なのだろうか、ぐわんぐわんと頭が揺さ振られるようだ。

 いや、それは今の痛みがもたらすものか? 


 エイダが必死に抑えていたその左腕には、魔法少女の補助器具(デバイス)たる魔槍(エイダ)が握られている。そして、その感覚が俺に伝わる。


 右腕に持つは黒き刃。剣姫騎士の力の根源(ルーツ)、天叢雲剣(ナギ)を支えに立ち上がる。


 脳が揺さぶられるような感覚――否、身体が軽すぎる。剣姫騎士の基礎能力(ベース)への強化(足し算)を更に魔法少女による補助(掛け算)で強化(ブースト)する。その結果がこの異常なまでの身体の軽さ、か。


 ゆっくりと立ち上がろうと思った、その思考そのままの速度で動いていた。


「出来た、か」


 魔槍を振るい、地を砕く。瓦礫の下、跳ね上がった姿見が垂直に落下、俺の目の前ですっと立つ。


 朱と蒼の合わさった(紫色をした)長髪、蒼の外装に赤の給仕服。

 二つの有り方を混ぜ合わせたような姿。


「これなら、勝てるか、な?」

 更に色物になったなと、自分のことながら苦笑いが浮かんだ。

 さっさと帰りたいぜ、本当にさ。

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