↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親父が魔法少女で俺まで巻き込まれた件  作者: フジオ
蒼の剣姫巫女篇
54/63

マジカール


――何故、こんな事になっているのだろうか。


 俺はとエイダは正座をし、ナギに睨まれている状態だ。


「にぃ、何故言わなかったの?」

 ここで言う、”言わなかった事”は、エイダが居る事ではなく、魔法少女の件。

 つまりは、過去の契約について説明する必要があったという事だ。


「それは、ですね……」

 エイダが口を広くが、紅い瞳が、それを睨む。スゴ味がある。エイダすらも言葉を止めるだけの圧が。


「……言いたくなかった」

 嘘を吐けば、すぐにバレる。そう言う相手だ。だからこそ素直に答える。


「何故?」

 僅かに意味が変わる。言わなかった理由から、言いたくなかった理由へと。

 しかし、それも言いたくないのだから困りもので。


 無言を貫く俺と、それを睨むナギ。


「恥かしいからですよ」

 沈黙を破ったのは、あっけらかんと答えるエイダの言葉だった。


「恥かしい?」

「ええ、そりゃまぁ恥かしいですよ。集人さんは、剣姫騎士になるために生まれたとはいえ――」


 すっと立ち上がり、俺とナギを囲うように歩くエイダ。


 その手には、いつの間にか小冊子(パンフレット)が一つ。


「――男性が、このような格好をするのは、ねぇ?」

 それは!


 気が付き、止めようとするが、動くことができない(アシガシビレタ)。


「これは……」

 ふぁぁ、と息を飲むナギ。

 その小冊子に描かれているのは、俺だ。


 給仕を模した、硬さを含む落ち着いたシルエット。露出は少ない。しかし過剰なまでのFrill(フリ)・Frill(フリ)。少ないながらも過剰な露出、綺麗に開いたその腹部。魔法少女(俺)の姿だ。


 それ親父の事書いてある奴じゃん!!


《これはですねェ! 私の秘蔵の原本です!! オリジンなんですゥ!!》


 エイダの声が脳裏に聞こえる。悲しみや怒りを含む声色だ。

 よくよく見てみれば、小冊子ではなく、カバー? 文字列や加工の無い、俺の写真だけだ。


 え、嫌だけど。なおの事、嫌だよそれ。


「……悪くない。否、むしろ、良い」


 ふんすふんすと鼻息の荒いナギ。えぇっと、ナギさん?


「わかっていただけましたか?」

 そう言い、手を差し出すエイダ。返せと言うジェスチャー。

 それを見たナギは丁寧に写真を畳み、抱きかかえる。返す気は無いと言うジェスチャー。


「っ……」

 ピクリとエイダのこめかみ辺りが動くのが見えた。しかし、商売用の笑顔を絶やさない。


「……見たい」

 小さく、ぼそりと言う声。

「なんて?」

 聞こえていたが、ある意味では再確認の意味で訊く。


「私も、にぃの魔法少女姿を、見たい」

 ピシリと、体が固まる。何故、Why、脳裏をグルグルと回る思考。

 エイダの笑顔に。加虐的な意味合いが足されるのが見えた。

 ナギの眼の色、怒りから期待へと変わって居る。


――逃げろ!


 一歩遅い意識、しかしながら最適解を導き出した俺は立ち上がり――


 走る激痛(アシガシビレタ)。


――倒れ込んだ。


 期待から爛々と輝く紅い瞳。

 蛇に睨まれた蛙(ナギと俺)。


 愉しもうと蒼い瞳が見つめる。

 猫の前のネズミ(エイダと俺)。



 あ、詰んだ、詰んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。