邪馬台妄想記
姫巫女と呼ばれる、剣姫騎士の組織と『穢れ』の戦いの歴史。
天羽々斬、素戔嗚による大蛇退治より始まり、神代の時代から続く長き歴史。
感想としては――絵が下手過ぎる。
話がなかなか入ってこない。下手と言うか怖い。愛情の足りていない子供の描く家族の絵みたいな、おどろおどろしいと言うか、なんだ、どうしたらいいんだ。なんなんだよ母さん、そんな絵下手だったのかよ。
八岐大蛇は四足のついた太鼓から何本かのロープが出たような妙なデザインに、何を思ったのか赤い線が執拗に引かれている。
「にぃ、わかった?」
「全然わからん……」
何とか思い返すが、天下五剣がうんたらかんたらで、剣姫騎士が使える剣は特別製だとか。
「『穢れ』は神格だ。『荒魂』を犠牲により『和魂』に変える。その結果が剣だ」
……ん? 犠牲? 『穢れ』を『和魂』にする?
「え? 剣って『The END』なの?」
「ジエンド? 剣自体は終りではない。剣を以て『穢れ』を狩る内に、担い手も『穢れ』に変化する。終りはない」
「堕ちた剣姫騎士で何本も剣がつくられた」
すっげぇキナ臭くねぇかソレ?
「ナギも元人間、『穢れ』に飲まれて、加工されて剣になった」
ニコっと笑いながら言うが、どう反応していいやら。
「天叢雲剣、草薙剣、つまりはナギ。その娘は現存する中で最も原初に近く、最も強力な『穢れ』を基にした剣。最強の剣だ」
そんな存在だったのかナギ……。てことは年齢は――
「にぃ?」
眼が、輝いている。その赤い光が、俺を刺す。
「なんでもないです」
「さて、今回の戦い方は余りにも被害が過ぎる。今後はもっと落ち着いた戦いをしてもらう」
そのために訓練と実践あるのみだ。そう言うとサヨコさんは俺に冊子を手渡す。
「……マジで?」
「大マジだ」
そこに描いてあったのは、戦い方を示した図解――のはず。その冊子は『作画:サヨコ』であった。地獄絵図、どこかの狂ったおっさんの書いた魔道書もかくやといった様子だ。
「座学、実践を積み、天叢雲剣の担い手として恥ずかしくない剣姫騎士となって欲しい」
「男があんな格好をするのは恥だろう!?」
「にぃ」
ナギが俺の裾を引き、声をかけてきた。彼女の方を向くと、彼女は親指を立てる。
「どこに出しても恥ずかしくない姫騎士だった」
「俺は恥ずかしいわ!!」
「安心しろ、嫁の貰い手ならアキラが、婿の貰い手なら私が居る」
「サヨコさん!? どこまで本気で言ってるの!?」
「にぃ、嫁ならナギが居るよ?」
――本気だ。二人の眼が語る。冗談じゃあない。俺からしても冗談じゃない。
というか、だんだんと距離を詰めてきた。なんか、怖いぞ!?
「ただいまーっ! しゅーくん? サヨちゃん? ナギちゃん? ケーキ買ってきたよー?」
そんなことをしていると、声がした。なんでこんな地下で聞こえるんだよとも思ったが、聞こえないと困るわけで。そういう機材があるんだろう。
「ほら、上がろうぜ?」
「ちっ……」
「ふむ、そうだな。ここがバレても困る」
ナギ、そんな舌打ちなんてして……。お兄ちゃん悲しいよ。
ともあれ、助かった。これからの事は考えたくないが、今はただ家族の団欒とケーキを楽しもう。




