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親父が魔法少女で俺まで巻き込まれた件  作者: フジオ
蒼の剣姫巫女篇
32/63

はーどまじ!~集人がんばる~


「サヨちゃん帰って来るって」

 ある日の朝、アキラが言った。


「あぁサヨコさん、一段落付いたのか」

「うーん……なんだか上手く行ってないみたいで気分転換も兼ねて休暇取ったんだって」

「研究職だもんな、よくわからん」


《サヨちゃんって誰ですか?》

 我が家の事情を全部は知らないらしいエイダが俺に尋ねる。

 サヨちゃん――サヨコさん。俺の母親だ。仕事の関係でここ数年家にいなかった。

 親父が魔法少女になったのが最近なのだとすれば、エイダは知らなくてもしかたないか。


《お母さんは何してらっしゃるんです?》

 妙に聞いてくるなコイツ。まぁ、知られて困る事でもない。科学者だと教えてやる。

 まぁ、実際に何をしているかはわからないのだが。俺は母親の事を思いながら食事を平らげる。


「ってことは、ナギも帰ってくるのか」

「うんっ! 久しぶりにみんな一緒にだねっ!」

 嬉しそうに笑うアキラ。まぁ、皆が居るともなれば俺も嬉しい限りだ。


《いや、ちょっと待ってくださいよ突然キャラクター増えすぎじゃないですか!? 管理できませんよ!?》

 管理されるつもりはねぇよ……。

 それに、増えたと言われるが俺からすれば前から両親と妹、四人家族で暮らして来た。感覚的には少なかったってくらいだ。


《全然知らないですよ! もっと前に教えておいてくださいよ!!》


 親父と契約した時点でちゃんと聞いておけよ……。しかし、アキラの仕事(地下闘技場王者)も知らなかったのを見ると意外とプライバシーは守られているのかもしれない。 


《正直、ほかの人に見せないだけで集人さんの個人情報は全部私に筒抜けですよ》

 なんてこった!? そこまで許可した覚えは無いぞ!?

《聞かれてませんので》

 わぁい! 悪徳商法の言い分だな……。

《これに懲りたら簡単に契約をするなんて言わない事ですね》


 させた側がいう事かよ。そうは思いつつ。まぁ、後悔はない。

 表に出る訳でもないし、エイダの事は信頼している。まぁ少々の気恥ずかしさと言うかは感じるが。


《……そういうことは、ちゃんと言葉として、面と向かって言ってください》

 お前とどこでなら面と向かって会えるんだよ。

 こっちで会う場所の指定もできず、こうしてテレパシーのように会話するばかり。


「しゅーくん? 時間大丈夫?」

 アキラの言葉を聞き、時計を確認する。ヤベェ! 遅刻ギリギリだぞ!


 考え事(エイダと会話)が長過ぎたためか。急いで食事をかっ込み身支度を整える。


 鞄を横に置き、座って靴を履く。後ろのアキラが俺に質問攻め。

「ハンカチ持った?」

「ああ」

「ティッシュは? お財布は?」

「携帯も鍵も持った」

「うんっ! 行ってらっしゃい!」


 溢れんばかりの笑顔で俺に言うアキラ。

 自分の父親だとわかっていてもドキッとする。綺麗な笑顔だ。


「ああ、行ってきます」

 そういい、俺は立ち上がる。そんな俺の横をアキラはすり抜け、手早く靴を履き、戸を開く。


 くるりと回り、こちらを微笑みかける。スカートがひらりと舞い、朝日を浴びてまばゆいばかり。


「じゃっ! 行こっか!」


 屈託のない笑みが、俺に向けられた。


 さぁ、学校に行こうって時、隣にさ女子制服着た可愛い顔した奴が居るんだぜ。

 同じガッコの制服、同じクラス、同じ苗字で、同じ性別。


 親父が女子制服着て同じ学校に通ってるってなんだよこの状態!?


《まぁ、これを望んでいる人もいるという事デスヨ。学園物は根強い人気ですからネ》

 ぜってぇ許さねぇ! 覚えてろ別次元の視聴者って奴らめ!


「やぁ、アキラちゃん。今日も可愛いね」

 六花だ。同じバス停を使うのだ、時間帯も同じようなものなのだから、こうして会うのも当たり前か。


 彼女の顔を見てか、アキラは俺の後ろに隠れ、小さく唸り声をあげている。

「おはよう、シュート。嫌われているのかね、私は」

「おはよう、氷室。そういうんじゃないとは思うんだが……」


 毛嫌いと言うか、妙な敵対心が出ている。


《まぁ、貴方がその娘に妙にデレデレしてますからね、面白くありませんよ》

 解せん。というか、アキラ、いい年してるんだから落ち着きを持ってくれ。


「しかし、君たちは似てないな」

「突然なんだよ」


「いや、双子(・・)にしてはまったく似ていないじゃないか」

「……気にしてるんだ、あんまり触れないでくれ」


 そう、双子だ。俺と同じクラスに転入するため、アキラは俺と同い年と言うことになっている。

 そう紹介するしかない。親父が同じクラスに来てるなんて誰が思うんだよ!?


「しかし、本当に楽しいな」

 そういい、やさしく微笑む六花。《え? どこがです?》


「なんだよ、それ」

「いや、転校の前はこんなに楽しくはなかった」

「どんなところだったんだ?」

「……ん? どんなところだったろうか」

「おい!」


「ははは。思い出せないほど、今が楽しいという事だ」

「まぁ、なら良いんだけどな」

 そんな話をしていると、アキラがクイクイと袖を引く。バスが来ていた。


「さぁ、シュート、アキラちゃん、今日も一日頑張ろう」

「そうだな、がんばろう」


 学校に行けば、またアキラの事や、魔法少女だのでゴタゴタするのが目に見えている。

 だが、頑張るしかないのだ。


 あぁ、がんばるよ。




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