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親父が魔法少女で俺まで巻き込まれた件  作者: フジオ
インターミッション
30/63

戦士の條件


「まぁー、これで二期も完成、と言うわけで」

 完成したVを再度再生し、一息吐く。


「まぁ、後は放送してみて視聴率が出るのを待って、ですね」

 流れる映像。コーヒーを飲みながら、内容を再確認する。

 まぁ、なんとも楽しい時間でした。


 二倍速で流れる映像。一話三十分×十二話=六時間。アキラさんの活躍を主軸に展開する三文芝居(ストーリー)


 撮影としては集人さんとの時間がメインでしたが、まぁ酷い目に会ってばかりですねこの人は。


「折井、集人」

 本契約、したんですよね。(エイダ)と折井集人。

 あぁ、本契約って本当に、簡単にしていい事じゃなくて!!

 私たち、魔道具の種族からしたら、本契約って結婚とかそういう事でして!!



 まぁ、落ち着いて、ゆっくりと、関係を進めていきましょう。

 集人さんにもいろいろと学んでもらう必要がありますし、今の世界の事ですとか、私達の種族のことですとか。



 自分と集人さんとの契約シーン。これ、流すのかなり恥ずかしいですね。しかも足りない魔力をアキラさんから補ってるの、言うなれば『当て馬』ですよ。かなり特殊な契約シーンで、これ良いんですかねぇ……。


「まぁ、契約シーンはちょっとしたお色気シーン見たいなものですしオスシ」

 特殊すぎるって言われたら否定できませんが、まぁこういうのも仕方ないでしょう。

 巻き戻し、特殊エフェクトを盛り、いくらかのカットを切り取る。元データは……。このぐらいの役得、許されるでしょう。懐にしまう。


「おおい、エイダちゃーん」

「はっ! はい!!」

 その瞬間に声をかけるのはちょっと酷いでしょう!?

 私に声をかけてきた先輩の顔を確認し、ぺこりと一礼。なんででしょうかね、なんか後ろめたさがありますね。


 彼女もまた、私と同じ(魔道具の)種族で、かなり腕の立つ人です。


「これ、確認しておいて」

「これは?」

 そう言い、ビデオテープを渡される。い、今時ビデオですか……。


「大襲撃、確かに魔法少女、特に貴方達によって鎮圧されたわ、でも変なの」

「変?」

 全く見当がつかないですね。


「そう、どうも別のルールに則った、我々魔術文明とは別のシステムで戦う存在が確認されたのよ」

「なっ!? そんなことありえない!!」


――そう、ありえない。


 我々、魔術文明が『The END』と戦えているのは、超越した科学技術と魔法技術の融合によるものだ。


 魔法技術により、効率的に高純度のエネルギーを生成。科学技術により、『The END』の位相のズレを瞬時に計算。

 高純度エネルギーを叩き込み、ズレを丁度ピッタリと()にすることで『The END』を消滅させている。


「『The END』を消滅させられるのは私たちだけのはずです!」

「だけれども、実際に観測されたのよ」


 ズレがあれば『The END』はいくらでも戦うことができる。高純度のエネルギーでなければ『The END』のズレを消す事ができない。


 通常の物質、純度の低いエネルギーは全て吸収されてしまう無敵の化け物。


 その駆除手段を確立するまでに長い、永い時が過ぎ去った。多くの血が流れ、倫理も捨て去った。そうして生み出されたのが私たち、魔道具だ。


「とりあえず、確認しといてちょうだい」

「もし、もし本当だとして。本当にそんなシステムがあったとして……」


 もし、私たちの文明以外に戦う術があるというのなら。


「じゃあ、私たちってなんですか?」

――私たちはなんで、こんな姿になってまで生きて来たんですか。



 先輩は、何も言わずに去って行った。



 Vの再生が終わる。チェックは終わった。もとより何度目になるかもわからないチェックだったのだ、今更何が変わるでもない。


 手には、先輩から渡されたビデオテープ。内容の加工保護がなされているそれは、間違いなく真実であると告げている。これを見たとき、私は……。


 ですが、見ないわけにも行かないですよね。


 ため息を一つ。私はそのビデオをデッキに入れ込み、再生を始める。



 そこに映っていたのは、剣を担う少女の姿だった。一人ではない、何人も居る。

 剣の種類、形状も違う。一つの大剣を振るう少女、二本のダガーで舞うように戦う少女。無数の剣と無数の少女達。


 皆一様にそれは少女の姿をし、まるで物語のお姫様のように煌びやかなドレスで身を包んでいた。頭部には(クラウン)。その手には似合わない剣。


 剣を持ったお姫様と言うような姿。本当に戦えるのかと思ってしまいますね。ですが、その剣が触れた瞬間、砕け散る『The END』。


 その戦いを見て、確信する。彼女たちは、間違いなく『戦える』。


 皆同一のメカニズム、システムによって成り立つ彼女達。


「本当に、なんでこんな姿になってまで、私たちは戦ってるんですかね」


 ため息が漏れる。


 ただ、彼女たちも無制限に戦えるわけではないでしょう。どうやって戦っているのか、何をもって『The END』を倒しているのか。


 渡された情報だけでは、まだわからないことが多すぎる。


「はぁ、現場の人間ですものね。調べろ、と」


 まぁ、落ち着いて、ゆっくりと、調べていきましょう。


「何とかまだ、時間はありますしね」


 伸びを一つし、席を立つ。


 また、明日から集人さんで遊んでやりましょうか。そう考えると、自然と笑っている自分に気が付く。


「楽しい事は良い事です。ね、集人さん(マスター)



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