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親父が魔法少女で俺まで巻き込まれた件  作者: フジオ
紅の魔法少女篇
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ご飯・クラフト


「夢……いや悪夢だな」


 薄ら笑いを浮かべながら、体を起こす。

 親父が魔法少女で、俺も魔法少女にされて、そんなことがあるかよってんだ。


 夢の中の様に魔法の力でポップアップを浮かべようとしても、そんな事は起りえない。


 そりゃそうだ、現実じゃありえないんだからな。


 そうして思考するが、それに対しての精神感応(テレパシー)染みた返答は無い。

 それがまた俺に魔法少女等と言う非現実を夢であったと認識させる。


「やれやれ、なんだってあんな夢を見たのかね……」

 そう思う事にしよう。そうとしか言えない。


 なぜこんな時間なのか。なぜ右腕に違和感があるのか。多くの認識したくない事象が並ぶが、全て忘れることにした。


 そう、そうだ。全部夢だ、今日は寝過してしまったんだ、そう、忘れるんだ……。


 最早言い聞かせるように思考する。そんな俺の耳に聞こえる三回のノック。


「シューくん? だいじょーぶ?」

 アキラの声。どうにも嫌な事(悪夢)を思い出しそうになるが、返事をする。


「あぁ、大丈夫だ」

 その言葉を受け、アキラが戸を開け、部屋に入る。


「よかった……シューくんずっと意識がなくて……タクシーで運ばれて来た時はどうしようかと……」

 なぜタクシーに乗って来たのか! なぜェ意識が無かったのかァ! ――やめろぉ!!


 またも答えに至るヒントが浮かび上がり、それを出来得る限りの方法で忘れた。


「別に問題は無いさ、悪いな心配させて」

 そうして、当り障りの無い言葉で答える。そんな俺にアキラは抱きつく。


「よかった……本当に……何にもなくてよかった……」

 俺の胸を濡らしながら、涙ながらに語るアキラ。

 そんなアキラの頭をゆっくりと撫でながら、言葉を掛ける。


 それは自分は大丈夫だと語る言葉であり、もうこんな事は無いだろうと言う気休めに近い言葉であった。だが、そうした態度と行為が、アキラを落ち着かせたのだろう。


「ごめんね……本当につらいのはシューくんなのに」

 泣き疲れたような声で、俺から離れ、アキラは言う。


「気にすんな」

 ぶっきらぼうに答える。

 そんな様子に満足したのか、アキラは少々腫らしたまぶたを擦る。

 そうして、ふわりと今のアキラに出来る限りの笑顔を作る。その表情が余りに可愛らしいく、いじらしい物で、ドキリと胸を鳴らす。そうして、そんな自分に嫌悪を抱く。


「じゃあ、ボク、急いでご飯用意するねっ!」

 外を見れば、日の光は無く、黒い空と、金色の月が顔を出していた。

 小さく、ぐぅと腹の音が鳴った。


 待つ時間と言う物は、大概待たせる者の時間より長いものである。だが、待たせる者がその時間を短縮できると言うのなら、話は別だ。


「出来たよーっ! シューくん!」

 風呂にでも入ってしまおうか、そんな事を考えていたが、アキラが部屋から出てほんの数秒。その言葉を聞いた時には、正気を疑った。


――『第一次魔法少女速度』。日常生活において、確実に使用されない単語が脳裏に浮かぶ。


「いやいや」

 ワザとらしく首を左右に振り、その思考を捨てようと努力する。


 電子レンジ。電子レンジって便利な文明の利器が有るんだ、それに違いない。


 そう考え、俺はリビングへ向かい、そこに並んだ無数の料理を確認した。


 寿司、蟹、すきやき、ビーフステーキ、冗談のような並び。それ以外にも手間ひまかけてつくられた料理の数々。


「シューくんが問題無く起きてくれたんだもんっ! 今日は御馳走だよっ!」

 ニコニコと笑みを浮かべ、言うアキラ。並ぶ料理は、全て出来たてであると自己主張し、五秒やそこらで用意が出来るとは思えない。


「さぁ、食べよっ?」



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