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38「VS天才勇者」

「はい。というわけで僕の料理の完成だよ。名づけて二十種のスパイスによる黄金カレー、ナンを添えてだよ。前回、僕が決勝戦で出した勝利の冠を頂いたカレーだよ」


「出ましたー! シン選手のカレー料理! 無数のスパイスを一つの鍋に入れ、そこから取り出した黄金のルーをナンと呼ばれるシン選手の故郷アラビアルの料理に挟んで食べる! まさに画期的! これぞ前大会優勝の香しきカレーの真髄ですー!!」


って、めちゃくちゃ去年のやつを流用してきやがったーーーー!!!

ま、慢心だーーーー!! ここに来て、こいつめちゃ慢心してるーーーー!!!

AUOのフラグを回収したーーーーー!!!


わあああああああああああ!! と観客の歓声が響き渡りシンが出した料理に歓声と大絶賛を行っている。


なお、審査員たちも大絶賛であったが、グルメマスターのみ評価は控えめであった。


「ま、これで勝負はついたようなものでしょう。というかーあれー? キョウさんー。この前一緒にいた料理人のミナさんはどうしたんですかー? まさか料理人でもない魔物を栽培するしか脳のない人が僕と対戦するつもりなんですかー? ぷぷっー」


と、こちらを挑発する始末。

あ、まあ、そうだよ。

そりゃ、慢心するよね。君も。うん。


多分、一回戦のオレとカサリナさんの勝負もまともに見てなかったんだろうな。

カサリナさんの敗因とか、オレが勝てた理由とか。


うん。これ、行けるかも。


そう思ったオレは早速、鍋に用意しておいたキラープラントの実を入れて、それを煮込み出す。


それを見ていたシンや審査員、司会者も途端に呆然としだす。


「こ、これはどうしたことだー! キョウ選手! いきなりキラープラントの実を煮込みだしたぞー!!」


「ち、ちょっと君。分かってるの? これカレー勝負だよ? カレー出さないと失格だよ? 今更キラープラントのソースとか作って鶏肉でも合わせる気?」


「いや、これにスパイス入れるけど」


そう言ってオレはカサリナさん直伝のスパイスを入れていく。

どの魔物の種を何グラム、実をどのくらい削って、茎と葉はどのくらいかもしっかりとこの体に叩き込んだ。


十分に濃厚に溶けたキラープラントの実の中にスパイスが次々と入っていき、その甘い匂いがカレー独特の旨さの匂いへと変化していく。


「こ、これはまさか! 水を使わずキラープラントの実を水がわりとして代用! 水そのものに濃厚な味があり、それをスパイスで調理! まさに味を深める調理法ー!

 キョウ選手、まさかの隠し玉だー!!」


「……面白い」


オレの調理に驚く司会とシン。一方でグルメマスターのみはオレの調理に対し、興味深そうに笑みを向ける。


「く、そんなのハッタリだ! 僕が生み出し、調理し、最高のスパイスの組み合わせで作ったカレーが負けるはずがない!!」


ああ、確かにそうだろうよ。シン。

多分、単純な旨さならお前が上かもしれない。

だが、オレはオレのやり方でお前の上をいく。


小細工、あるいは奇抜とさえ、思えるオレの最後のこの調理。

おそらく、この世界にとっては前人未到となる新たなるカレーの可能性、魅力をここに見せてやるよ。

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