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第一話 新参者

 残暑厳しい9月の休日の午後にYouTube越しに出会った彼女は個人勢のVTuberだった、VTuberという存在は弟が大手事務所にお熱であった為に有名どころはちらほら知ってはいたが、たまにチラッと見るくらいで俺の中ではさほど興味を引かれる存在では無かったが俺のコメントに対し彼女は『みんなに愛を届けたい』と挨拶を返してくれた、初めて味わう不思議な感覚だった。

 画面越しとはいえコメントに反応があったことでこれがライブ配信なのかと思いつつ特に予定の無かった俺は彼女の配信を見続けることにした。

 彼女の配信は都道府県を埋めることを第一に掲げていたが、該当する人間がいないときは常連組のリスナーとおしゃべりすることを重視しているように感じられた、そんな中で彼女は自分自身に自信が持てない性格だと知った、俺は勝手ながら配信をする人間は自己肯定感の高い人間ばかりだとこの時は思っていたので意外だった。

 彼女の話は他愛もない雑談や真面目な話、リスナーのネタに爆笑したりと落差の激しいジェットコースターのような配信で飾らない等身大の言葉で話していて、俺自身も気づいたらその世界に引き込まれていた。

 その日からちょくちょくと彼女の配信に通うようになり11月にリアルイベントを開催することを知ったが、この時の俺は新参者であり、たまにコメントするくらいでリアルイベントに参加する気など毛頭無かった。

 そんな中で俺が彼女を推すきっかけになる出来事が発生した、9月も終盤となった土曜日の配信、その日は俺の誕生日だった、いつもの都道府県を埋めている最中に俺のコメントを見た彼女はライブでハッピーバースデーを歌ってくれた、そしてコメント欄には他のリスナーからの祝福コメントが流れていた、それは俺の人生で初めての経験であり、むず痒い感じと嬉しさが込み上げてきた。

 こんなに温かな気持ちにさせてくれる彼女を応援したいと強く感じた俺がそこにはいた。



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