第15話「【地蔵クエスト】現代の笠地蔵やってたら、なんか強くなってた件」
まずビルのクエストに向かった。
自転車で10分ほど走ると、古いビルが並ぶ一角に出た。ビルとビルの隙間、細い路地の奥に入っていくと、薄暗い空間があった。
そこに、地蔵があった。
小さな石の地蔵が、ビルの壁際に置かれていた。苔が生えていて、長い間誰も来ていない感じがした。
眼力を使った。
【クエスト発生】
この地蔵を磨きあげろ
「地蔵か」
思わず笑えてきた。現代の笠地蔵みたいだ。
でも、やるか。
持っていた布で、地蔵を磨き始めた。苔を落として、汚れを拭いて、細かい彫刻の溝まで丁寧に。
器用さが必要な作業だった。細かいところまで気を配りながら、丁寧にやる。
30分くらいかかった。
地蔵が、きれいになった。
視界の端が光った。
【クエスト達成】
器用 +5/魅力 +5
地蔵に向かって、手を合わせた。
ありがとうございます、と声に出して言った。
なんか、神社でいつも言っているのと同じだと思った。
帰り道から、式神の探索を続けた。
カラスに目を書いたメモを貼って、視界を借りる。並列思考のおかげで、自転車を漕ぎながらカラスの視界も見られるようになっていた。
でも、カラスだけでは限界がある。気まぐれに飛んでいく。
他のものにも試してみることにした。
信号待ちで止まっている車のボンネットに、目を書いたメモを貼った。
車が動き出した。
視界が揺れた。道路が見えた。車の目線から、街が流れていく。移動距離が長い分、広いエリアをカバーできる。でも、どこに行くかわからない。駐車場に入ったら、ただの定点カメラになった。
渡り鳥にも試した。
公園にいた1羽に貼った。長距離を移動する鳥なら、広いエリアを探索できるはずだ。
視界が大きく広がった。
でも、高く飛びすぎると地上の細かいものが見えなくなる。靄の確認には眼力が必要で、距離が遠いと精度が落ちる。
試行錯誤を続けながら、少しずつコツをつかんでいった。
1週間の探索で、クエストを3個見つけた。
そして、靄がかかっている人間を5人見つけた。
全員が、自分の町の中にいた。
今まで捕まえてきた2人とは別の、5人だ。
5人。まだ動いていない。でも、いつ動くかわからない。
地図を見ながら、靄の人間の位置を整理した。全員、自分の行動範囲の中にいる。偶然じゃない気がした。
帰り道、視界の端が光った。
【スキル】
メモ Lv.2
「上がった」
立ち止まって、メモを出してみた。
何ができるようになったか、試してみた。
付箋をいくつか出して、あちこちに貼ってみた。
色が変えられることに気づいた。
赤、青、黄色。自由に変えられる。
「……色が変えられるだけか」
しばらく、その事実を前に立ち尽くした。
複数貼るときに色で区別できるのは便利だ。でも、それだけだ。
気を取り直して、歩き始めた。
ステータスを確認した。
【ステータス】
体力 108/筋力 78/敏捷 93/耐久 84
知力 86/知識 80/集中力 83/精神 101
器用 67/魅力 79
【スキル】
眼力 Lv.2
メモ Lv.2
自然回復
並列思考
器用と魅力が、大きく上がっていた。
全部のステータスを100にしたい。そう思い始めていた。筋力、器用、魅力。まだ低いものがある。クエストを探せば、効率よく上げられるかもしれない。
それより、靄の5人のことが頭から離れなかった。
すぐ近くに能力者が5人もいる
(第16話へつづく)




