表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステータス、始めました。〜神社に通い続けて10年、人生が数値化された俺は、日常の全てを「修行」に変えて世界の解像度をハックする〜  作者: KZUCCA
人生が数値化された件

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/15

第1話「家の隣の神社に10年通ったら、人生がステータス化した件」

数ある作品の中から目にとめていただき、ありがとうございます。

本日から『ステータス、始めました。』の連載を開始します。

毎日更新を予定しています。よろしくお願いします。

家の隣に神社がある。


小さい。というか、ちゃんと神社と呼んでいいのか迷うくらいの規模だ。鳥居と石畳と本殿だけ。社務所もなければ神主もいない。お守りも売っていない。近所の人間ですら、その存在を忘れているんじゃないかと思う。


俺――直哉がそこに通い始めた理由は、もう覚えていない。


小学生の頃、なんとなく入った。誰もいなくて静かで、自分だけの秘密基地みたいだった。放課後に一人で来て、ぼーっとしたり、考え事をしたりしていた。


いつの間にか手を合わせるようになり、いつの間にか毎日来るようになった。


毎日やっているから、やる。


習慣なんて、だいたいそんなものだ。


今日も帰り道に寄った。いつものように。


朝から降っていた雨が、家まであと少しというところで急にやんだ。傘を閉じながら、もう少し学校で時間を潰せばよかったと思う。急ぐ理由なんてなかったのに、わざわざ濡れながら帰ってきた。


鳥居をくぐる。石畳を歩く。本殿の前に立つ。


二礼二拍手一礼。


願い事はない。ただやる。毎日やっているから、やる。


そのときだった。


視界の右上に、何かが浮かんだ。


半透明の文字。なのに、はっきり読める。



【ステータス】


体力 72   筋力 58

敏捷 61   耐久 60


知力 74   知識 65

集中力 68  精神 83


器用 55   魅力 62



「……は?」


思わず声が出た。


まばたきする。目をこする。左右を見る。


消えない。


どう見てもゲームとか漫画でよくある、ステータス画面だった。けれど装飾はなく、数字だけが淡々と並んでいる。触ってみても指は素通りした。


現実感がない。


なのに、雨上がりの空だけ妙にリアルで。


そのせいか逆に、これは本物かもしれないと思ってしまった。


怖さは、あまりなかった。


それより――


「なんか面白いな」



「ただいま」


玄関を開けると、廊下の奥が騒がしかった。


父さんがしゃがみ込み、腰を押さえている。母さんが困った顔でその横に立っていた。


「どうしたの」


「物置が雨漏りして、中の荷物がびしょびしょでね」


母さんがため息混じりに言う。


「お父さんが片付けようとして――」


「腰を……やった……」


父さんが低い声で言った。


「お大事に」


「待て、直哉」


父さんが俺を見上げる。


「頼んだぞ、息子よ」


「え」


「あとは任せた」


目だけは真剣だった。


そういうわけで、俺は一人で物置の片付けをすることになった。



中はひどかった。


天井の染みから水が垂れ、段ボールはふやけ、古い家電の箱は湿っている。なぜか誰のものかわからないスキー板まで出てきた。


全部出して、使うものと捨てるものに分け、また戻す。


単純作業だが、地味に重労働だった。


気づけば二時間近く経っていた。


部屋に戻り、床に倒れ込む。


なんとなく視界の右上を見る。


まだあった。



【ステータス】


体力 73   筋力 59

敏捷 61   耐久 60


知力 74   知識 65

集中力 68  精神 83


器用 55   魅力 62



「……増えてる」


体力が1。筋力が1。


さっきまで72だった。58だった。


二時間、荷物を運んだだけで。


しばらく数字を見つめて、理解する。


やれば、上がる。


その事実が妙におかしくて、笑いがこみ上げてきた。


「……あ、そういうことか」



夕飯のとき、試しに母さんへ聞いてみた。


「なあ、このへんに何か見える?」


視界の右上を指差す。


母さんは箸を止め、俺の顔を見た。


「何も見えないけど。どうしたの」


「いや、なんとなく」


「頭、打った?」


「打ってない」


「物置で何かぶつけた?」


「ぶつけてない」


しばらく心配そうにしていたが、俺が普通に飯を食べているのを見て、母さんは肩をすくめた。


「変なこと言わないでよ」


どうやら見えているのは、俺だけらしい。



食後、自室で問題集を開いた。


理由は単純だ。


知力が上がるか試したかった。


しばらくして、母さんが扉を開けた。


「……直哉、勉強してるの?」


「してる」


「熱ある?」


「ない」


「おでこ貸して」


「いいから閉めて」


納得していない顔のまま、母さんは首を傾げながら扉を閉めた。


リビングからテレビの音が聞こえる。


視界の数字をチラチラ見ながら勉強するが数字は変わらない。


知力74のままだ。


そう簡単には上がらないらしい。


でも、体力と筋力は上がった。


やれば、上がる。


翌日、友人の柊斗に言ってみた。


「俺、ちょっと鍛えようと思う」


「何があったん?」


真顔だった。


「なんか思い立って」


「お前が“思い立って”で動くわけなかろう」


ごもっともだった。


だが、この発見を誰かに話す気にはなれなかった。


やれば上がる。


その秘密は、まだ自分だけのものにしておきたかった。


そして、思う。


もしそうなら――



(第2話へつづく)

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

もし少しでも『面白いな』と思っていただけたら、この下にある【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援してもらえると、数値化された僕のモチベーションが爆上がりします。よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ