大乘蓮華寳達問答報應沙門經第二十一 ~声叫喚地獄
宝達はさらに、声叫喚地獄にやってきた。
八熱地獄のひとつ「大叫喚地獄」と名前が似てるけど、やっぱり別物?
その地獄では猛火が燃え盛り、真っ赤な熾も炎を吹き上げて、罪人を徹底的に苦しめている。
西の門から沙門たちがやってきたが、うめき声と泣き声でとで大地も震えている。
馬頭羅刹が鉄の棒をふるい頭を殴ると、罪人たちは悲鳴や絶叫を上げて逃げ惑う。獄卒の夜叉たちは競ってこれを殴りまくる。
罪人がなんとかして外へ逃れたいと思い東の門へと走ると、たちまち門が閉じられてしまった。南の門、西の門、北の門でもこれと同じことが起きている。
生きようとしても叩き殺され、もう死にたいと思っても死ねない。
宝達は馬頭羅刹の一人に尋ねた。
「この沙門たちはなんの報いでこんな罰を受けてるんスか?」
馬頭羅刹が答えるには、
「この坊づどもは、出家して戒律を受けながら心に慈しみが無かったんだ。無慈悲にも棒で畜生(動物)を打った。その因縁でこの罰をうけているのさ」
つまり、「目には目を、歯に歯を」というか、「馬鹿って言ったら自分が馬鹿」っていう世界でしょうか。
宝達は悲しみに泣きながら立ち去った。
-つづく-




